ナショナリズムとセクシュアリティ 市民道徳とナチズム (パルマケイア叢書 7)
- 柏書房 (1996年1月1日発売)
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感想 : 3件
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Amazon.co.jp ・本 (284ページ) / ISBN・EAN: 9784760113828
感想・レビュー・書評
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同じテーマだけど『男のイメージ』よりもわかりやすかった。たぶんテーマが明確だから。respectability(市民的価値観)とナショナリズムとセクシュアリティの三すくみ構造。近代が前期から中期へ進んでいくにつれ、ナショナルなものや標準的なセクシュアリティからの逸脱者を外側に生み出して、respectabilityが純化されていく。「自民族にとって排除すべきものは、異常なセクシュアリティを持っている。異常なセクシュアリティを持つものは、国家の存亡を危うくする。」同じコインの裏表。つまり、(近代ドイツの)同性愛とユダヤ人への嫌悪は同根なのだ、という結論になる。もちろんクライマックスはナチ批判になるわけだが、著者は近代ドイツとナチス体制の、断絶よりも連続性を強調している。
説としては非常に大きなものなので、わかったようなわからないような気になるが、記述のダイナミックさに惹かれた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
近代の国民国家形成において、「よき市民」であろうとする人々の気持ちを利用して、男性も女性も支配されていくことや、その中ではセクシュアリティもご都合主義で変化させられていく様子などが述べられる。『男のイメージ』の中で述べられるモッセの歴史の中でも特に、男性性が近代国家形成に用いられるところに重点を置いて書かれている。2008年度S大D課程Eゼミテキスト。ナチズムという語は原題には含まれていないが、まさにその形成の理由を探るものとなっている。
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