殴り合う貴族たち―平安朝裏源氏物語

著者 : 繁田信一
  • 柏書房 (2005年9月1日発売)
3.53
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  • レビュー :25
  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784760127894

殴り合う貴族たち―平安朝裏源氏物語の感想・レビュー・書評

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  • 前提としている現代の私達が思い描く平安貴族のイメージの「雅」「優雅」というのが間違っているのかもしれない。もっと粗野で乱雑な時代だったんだろう。
    「紅楼夢」でもやたら打ち据えるシーンがあり、痛かったのを思い出す。
    そして藤原実資の人柄と資料にとても信頼を寄せているけれど、案外ゴシップジジイで「何言われるかわからないから近寄らないでおこう」的人物だったのかも、なーんていろんな妄想広がる本。
    歴史的ゴシップってけっこう楽しい。

    ただ常に現代人の判断基準で描かれているのが違和感。
    その頃の18歳、40代が現代人の同年と同じ精神年齢とは思われないし。
    殿上人がそれ以外の人を「人」として扱っていたのかな。
    (高田崇史の読みすぎ?)
    やたらと「光源氏」を引き合いにだすので、「源氏物語」がハーレクインロマンスにさえ思えて来たし。
    「詳しいことはわからないが」「だったのかもしれない」も多すぎて、こりゃやっぱり週刊ナンタラくらいに読むのがよさそう。
    それにしても暴力事件の文献をよく拾ったなあ。

  •  繁田信一『殴り合う貴族たち』

     友人からの薦めで読みました。
     最初からクライマックスすぎて笑いました、それはもう。
     著者が言っているように、一般の人から見れば平安貴族というのは=光源氏であって、雅な存在でした…が、この本はそんな雅さなど宇宙のかなたまですっ飛ばしてくれます(笑)
     平安時代の貴公子たちは、それはもう拉致監禁虐待は通常運行だったようで…「おい、お前ちょっと表出ろや」という平安貴族なんて見たくない(笑)
     そして烏帽子の取り合いの激しさと言ったら…烏帽子を取られる事がいかに恥ずかしい事であったかを著者は再三再四述べていますが、だからといってこれはひどい。
     まあ、確かに平安時代は自力救済の時代でもありましたから、貴族がそんな事をしていても、確かに問題はない気もしますね…中世になるとこれが一族、国単位になるから大変ですが。

     それにしても最後の火薬庫のような宴…本当に何もなくて良かったですよ(笑)

  • 「あの優雅な生活をしていた意外な一面を知ることのできる一冊です!」平安時代の優雅で有名な貴族たちの暴行などの事件を起こしたものをまとめた一冊です。貴族だけでなく、天皇に関するスキャンダルも書かれてしまっています!【中央館2F-東2 210.37/SI】

  • 高校で習う古文や日本史に出てくる王朝貴族。そのイメージで最初に浮かぶのは、「華やか」、「豪華」、「穏やか」といったものだろうか。

    しかし、この書を読むと、実際はそうではなく、もっとおどろどろしいものだったことがわかる。
    確かに権力争いなどについては、日本史の授業である程度知ってはいるが、その内実知らない。

    教科書に出てくる有名な藤原氏一族(とその従者たち)の「暴力事件沙汰」の数々。

    今なら刑罰を与えられてもおかしくないものばかりだが、いずれも、沙汰なし。
    ある時には、揉み消しということになることも。

    花山天皇(法王)にまつわる事件が興味深かった。


    本書は主に藤原実資『小右記』に書かれていることをもとに紹介されている。(一部藤原道長『御堂関白記』あり)
    個人的には、『小右記』の本文も読みたかったが、あるいは、原文の長さの関係もあるのかもしれない。また、分量も多くなってしまうので、筆者がうまく要旨をまとめ、読みやすくしているのかも知れない。

    ただ、少しでも、原文に触れたかった。
    惜しいのは、そこだけ。

    他は、つまり、本書の内容、「王朝貴族の実態」を知ることができて満足。

  • 平安貴族の暴力的なことにも驚くが、藤原家の面々の無軌道さというか、傍若無人さにはさらに驚く。小説などに登場する革命前夜のフランスの、堕落した貴族を見ているようだ。世襲貴族というのは、堕落する物らしい。

  • 暴力に拉致監禁が日常茶飯事と、想像以上にバイオレンスな平安貴族のみなさま。
    あの貴族の屋敷の前を通ると石が飛んでくるとか、
    そりゃ方違えだって絶対必要だよね。強姦・殺人…とくるともう笑えませんが。
    紫式部や和泉式部たちの生きた時代が、ほんとうはどんな時代だったのか
    やんごとなき人々のドリー夢を打ち砕いてくれるような本です。

    面白いけど、一冊読むといい加減うんざりするかも・・・。
    ほぼ藤原実資日記『小右記』からとられているのもちょっと偏っているけど、
    どう考えても頭がおかしい面々を延々とみせられると、
    この実資さんは常識人でほっとします。実際「賢人右府」として有名な方ですし。

    でも、古典研究者はなかなかこんな本は出してくれないので、貴重な視点と思います。西洋の騎士道物語にしても源氏物語にしても理想化されすぎている世界なので、それとは全く違う歴史があるほうが面白いですよねきっと。
    うん・・・そう思うことにします。
    文庫版もでていますが、ハードカバー版の表紙の絵が内容とぴったりで見応えあります。

  • 新聞の読書欄で見かけて「こいつぁ読まないとな!」と思っていた一冊。期待して読んだのに外れませんでした。
    平安貴族って言うと「意中のあの人を射止めるべく歌を贈るでおじゃる」とか「きょうは管弦の宴でおじゃる。グビグビ」とかやってるイメージしかなかったので(失礼なイメージですね)、これでもかと列挙される貴族達の暴力沙汰からもう目が離せません。内裏で殴り合いとかって斜め上過ぎて一瞬理解出来ませんでしたよね。
    しかしそんな暴力沙汰の影にも、借金問題やら権力闘争やら貴族ならではの鬱屈やらが潜んでいて、時代の裏側をかいま見たようで面白かったです。
    軍隊もなかったし警察の権限も(特に貴族に対しては)弱かった時代ですので、問題は私闘で解決するしかなかったのかも。怖いなあ。

  • あとがきで、「「王朝貴族」と呼ばれる人々は、かなりの程度に暴力に親しんでいましたーこれこそが、この本の最初から最後までを貫く主張です。」と書かれています。この本で紹介されている平安貴族、女房までも、全ての人がファイティングポーズをとっています。源氏物語や枕草子などのイメージは、この本で崩されてしまいますが、不思議なことに、平安の世界がずっと魅力的になってしまう本です。この本そのままにドラマ化でもしてほしいものです。

  • やんごとなき貴公子たちの実態は、ぼんくら坊ちゃんだったという…。
    階級社会の背景があるとはいえ、度を越している。
    牛車で前を横切ったから、因縁ふっかけて石ぶつけるとか
    ヤンキーだよ…。政治のトップが不良高校の番長クラスでしかない。

    光源氏など美化された平安貴族の生々しさ、読み始めは面白かったけど
    だんだん腹たってきました。ドイヒー過ぎて……。

  • 花鳥風月を愛でて歌を詠み、恋愛絵巻を繰り広げる的な平安貴族のイメージをぶち壊す本でした。

    相当にバイオレンス。
    監禁とか集団でボコるとか…やんごとなき人のする事ではなかろうに…。
    暴力的なものは北面の人達を始めとする武士の仕事だと思っていたのですが坂東から来た武士が花山法皇の邸宅の門前で被害を受けているし…。
    とにかく平安貴族のイメージが色々な意味で変わりました。

    この本の殆どの典拠となっている『小右記』を読んでみたい。

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