捏造された聖書

制作 : Bart D. Ehrman  松田 和也 
  • 柏書房
3.71
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本棚登録 : 141
レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784760129423

作品紹介・あらすじ

イエスは死を前にして錯乱したのか?毒を飲んでも平気だなんて言ったのか?"三位一体"の教義は新約聖書の中にはっきり書かれているのか?そもそも新約聖書にイエスが「唯一神」だなんて書いてあるのか?-多くの誤謬と捏造に満ちた聖書の謎をめぐるノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • とても面白い。
    キリスト教が誕生して、カトリックと三位一体説が正統派として確立するまでの間、数多くのキリスト教の流派があり、それぞれで議論して闘争していたのがよく分かる。

    つまり、中国の諸子百家、インドの仏教とジャイナ教の対立のように、原始キリスト教も数多くの流派がそれぞれの自説を主張して生存競争をしていたわけだ。

    「捏造された聖書」を読む前に、下記を読んで、キリスト教における三位一体説を理解していたので、聖書が改ざんされた意図や背景が良く理解できた。

    キリスト教の発展、分裂後の東西ローマ帝国 http://www.geocities.jp/timeway/kougi-19.html

    論点は「イエスは神なのか?人間なのか?」
    現存のキリスト教は、三位一体説を奉じるので、イエスは神であり人間でもあるが同質である、という立場。

    原始キリスト教の世界では、イエスは人間だったという養子論、イエスは神であるが旧約聖書にあるユダヤ教の神とは違うという仮現論、イエスは人間イエスと神キリストの二つの物理的存在に分割されているという分割論、など多数の流派があった。

    しかし、三位一体説を奉じる流派が唯一生き残ったことにより、それら流派の解釈を許さないように、聖書の文言を改ざんしていった、というストーリー。

    だから、最近になって、三位一体説を否定するキリスト教の流派、たとえば、エホバの証人、とか、モルモン教などが、現存のキリスト教はおかしいのであって自分達が本来のキリスト教なのだ、と主張しているわけなのか。

    こういう理解ができた後、今のキリスト教を信じている人は、この本は信仰を否定するような内容になるので、危険な本だろうな、と思う。
    読んでいてハラハラした。

    捏造された聖書では、他にも、現代から真の聖書を探していく作業、つまり文献分析学の話を相当詳しく説明してくれているので、とても分かりやすい。

  • トンデモ本のようなタイトルだが中身は理性的。
    印刷機以前の手による写本は、作為不作為を問わず前世代とは異なるものができる。従って、現存する聖書はオリジナルのものとは違う。
    きわめて当たり前の話だが、このあたりが大論争になってしまう宗教学の恐ろしさ。

  • 一般に古文書は、オリジナルが残っていない場合、写本という形で後世に伝えられるが、写本制作時には文字を読み違えたり、意図せずに行を飛ばしたりといったことがまず避けられない。特に聖書の様な主義主張に関わるものは、往々にして写本の中に自己の主張を織り込ませることが少なからずある。聖書については、オリジナルは全く残っておらず、写本のみのよって編纂されているが、その基となった写本もオリジナルと同じものとは言い難い。この写本の違いを分析し、オリジナルを推測しようという学問があり、その手法等がこの本の主題である。推理小説を読む様な面白さがあり、キリスト教徒以外でも十分楽しめる。

  • 一冊目は田川建三の「書物としての新約聖書」の内容を普通
    の読者にもわかるように噛み砕いて紹介しているような、
    いわば入門書。門外漢で、なおかつ少しでも興味があるの
    ならこの本から入るといいかも。

  • 聖書に馴染みがありませんでしたが、印刷がなかった時代から脈々と古くから続いてきた歴史資料と見れば、さもあらん、ということでしょうか。 イエスの磔刑の場面がマルコとルカで異なるのも知りませんでした。それぞれの事情。事情と事情、色んな事情か積み重なって、今に至っていることが理解できました。

  • 壮大なる伝言ゲームの話。そりゃよく考えれば数千年前の印刷技術も無い時代は手書きの書き写ししかないのでどんどん内容変わっていきますよね。
    この本は日経に載ってた河野外務大臣のお気に入りの本として紹介されてたんですが、直後からなのかアマゾンなんかでも価格が数万円単位に高騰(本は絶版)しており探しに探した挙句図書館で借りました。是非、電子化してほしいです!

  • 面白かった!長年自分の中で謎だった、なぜキリスト教には一つの聖書なのに(旧と新はあるが)たくさんの会派があるのか、少し手掛かりを得た。

    意図したりしなかったりで、元々の教義が改変されてきた。
    時には、女性の地位、離婚について、奴隷について…いろんなことを、自分たちの都合がよくなるように、写本する際にテキストを変えてきた。
    その結果だということらしい。

    …と考えると、いわゆるありがたい「教え」の中で決めつけられていることも、その人の考え方でしかなかったりするの…かも。
    そうした「思想」的なものは、所与のものではなく、やはり元を疑ってみる必要がある。そういう考え方をすることで、誰に利益があるのか、そしてどういう経緯でそうした思想が生まれてきたのか。
    和訳も比較的読みやすかった。特に、「エスキモーに氷を売る」と比べると。
    読みやすくするには、ある程度原文から離れるのもしょうがないのかもしれない。

  • 新約聖書は過去に数々の改変(誤記・改ざんなど)がなされて今に至っているのですよ、ということを述べていく本。

    聖書学の世界には「本文批評」なる学問分野(聖書のオリジナルなテキストの再現を目指す)があって、本書はそれを専門とする学者さんが書いたものです。といっても本書そのものは一般の人向けに書かれています。翻訳も少しくだけた感じ。もちろん信仰を否定したりする内容でもありません。

    興味深かったのは、新約聖書の中でも悪名高い(?)1コリント14章の「女性は教会では黙っていなさい。女性には話すことが許されていないのです」に関するところ。本書によると、この部分はパウロが書いたものではなく、女性の立場を低くしたいという意図を持った何者かによって挿入された文章であるという見解です。しかし、amazonのあるレビューによると、本書の見解こそが実は誤りであるとする見方もあるとのこと。「本文批評」、なかなかおもしろい世界です。

    「捏造」というと悪いことをやっているようなニュアンスがありますが、本書は聖書を書き写してきた書記たちへの敬意は忘れずに、その上で事実は述べていく、というスタンスになっています。聖書を書き写してきた人々、そしてオリジナルの聖書を再現すべくアプローチしてきた人々、どちらもすごい仕事をしてきたことが分かります。

    (2015/07/17)

  • [ 内容 ]
    イエスは死を前にして錯乱したのか?
    毒を飲んでも平気だなんて言ったのか?
    “三位一体”の教義は新約聖書の中にはっきり書かれているのか?
    そもそも新約聖書にイエスが「唯一神」だなんて書いてあるのか?
    ―多くの誤謬と捏造に満ちた聖書の謎をめぐるノンフィクション。

    [ 目次 ]
    1 キリスト教聖書の始まり
    2 複製から改竄へ
    3 新約聖書のテキスト
    4 改竄を見抜く―その方法と発見
    5 覆される解釈
    6 神学的理由による改変
    7 社会的理由による改変
    終章 聖書改竄

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:193.5//E36

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