ぼくらはそれでも肉を食う―人と動物の奇妙な関係

制作 : Harold A. Herzog Jr.  山形 浩生  守岡 桜  森本 正史 
  • 柏書房 (2011年6月発売)
3.88
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784760139620

作品紹介・あらすじ

イルカ殺しはかわいそう、でも、焼肉もマグロ丼も大好き。この矛盾、いったいどうしたらいい?人間のある重要な側面についての、魅力的で、思慮に富む、痛快な探求の書。

ぼくらはそれでも肉を食う―人と動物の奇妙な関係の感想・レビュー・書評

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  • イルカ殺しはかわいそう、でも、焼肉もマグロ丼も大好き。この矛盾、いったいどうしたらいい?この疑問にありとあらゆる角度で迫ったのが本書であるといえます。第6章と7章は個人的に非常に参考になりました。

    この本は先日書店で見かけたのと、新聞でも書評がいくつか掲載されていたので、手にとって読んでみました。自分もまぁ、肉を食べることに関しては、まったく嫌いじゃないんで、しかし、最近は控えていますね。それはさておき、めちゃくちゃこの本は分厚いんですけれど、人と動物についてのかかわり方に関して、一石を投じるものであることは間違いがないようです。

    ペットを愛でつつ、肉を食べる。諸所の矛盾を巡って、この本がいったいどのような回答をしているのか?それは本書を読んでいただくとして、はっきりいって、前半はあまり面白くないです。しかし、第六章『見る人しだい―闘鶏とマクドナルドのセットメニューはどっちが残酷?』と第七章。『美味しい、危険、グロい、死んでる―人間と肉の関係』この2章に関しては僕が本当に読みたかったことが書いてあって、僕個人の感想はここだけ読めば後ははっきり言ってどうでもいいです。

    その中でも、肉は美味しいがリスクの高い食べ物で、そのリスクを減らすために調理法が工夫されていたり、さまざまなスパイスを施されて来たんだという記述にはやっぱりそうか、なるほどなぁ、と思ってしまいました。
    「自分の体も肉で出来ている」
    この言葉の意味を本当に理解するには、まだ少し時間がかかりそうですが、肉食と人間。人間とペットとの関係。そういったものについて何らかの疑問を盛っていらっしゃる方は読んでみるのもいいかもしれませんが、正直、量が分厚いのと、価格の関係上、中身を書店か何かで一度検討することをお勧めします。

  • 前半は動物トリビアの趣が強かったが「闘鶏とマクドナルドのセットメニューはどっちが残酷?」から問題提起の鋭さが前面に出てきて引き込まれた。翻訳はとても軽妙で読みやすく,感情や理論に溺れて極端に走ることも全くなくて,とても面白く読めました。装丁もタイトルもかわいくてスタイリッシュ。個人的には道徳に対してかなり懐疑的なタイプなので,人間の道徳性というものがいかに気まぐれでいい加減なものかということを動物というフィルターを通して再確認させられました。

  • 人類動物学(またはヒトと動物の関係学)の一般向け読み物。動物好きも動物嫌いも,動物擁護派も人間第一派も,ある程度納得せざるをえず,ある程度居心地の悪さを覚えるであろう内容。
    でもまあ最後には動物に対する態度の諸々の矛盾はどうにもしようがないのよねー,じゃあその上で完全動物寄りから完全人間寄りのグラデーションのどこらへんに自分は立とうかな,と考える気にさせる。
    文体自体は軽妙で読みやすいけど,このタイトルと概要で,あえて手に取ろうとする人はあんまり多くないかもしれないのが残念w

  • 鳥が駄目で魚はありというベジタリアンの考えやペットの生命の権利。戦鶏を戦わせることは?
    など、人間以外の生き物に命や権利やあり方そのものについて軽い調子で綴られた本。
    どうあっても人間は他の生き物を愛護団体を含めて結局自分の都合で扱う点を恐れずに描いている点は面白かったです。
    特になんでもかんでも生き物を擬人化しすぎて「かわいそう」と思ってしまうのは少し納得しました。

  • 動物に対する人間の道徳観の一貫性のなさがよくわかる本。
    どの章も興味を惹かれる話ばかりで読んでいて楽しい
    菜食主義者に関しても肉を食う菜食主義者、体調が悪くなって肉食に戻した菜食主義者、完全菜食主義者といろいろあるのが可笑しい。
    何百万匹ものマウスを殺して薬を作るのはよいことか?いいに決まっている。でもサルだと反対が増える。
    論理も感情も全くアテにならない
    論理を突き詰めればクモと人間の子供が同じ価値になるし、感情はかわいい動物だけを助けたがる。
    この問題はあいまいなままにしておくのが良いのだと思った

  • k

  •  もともとは仏教思想だろうが、人間は他の生き物を食べずには生きていけない罪深いものだといった考えに触れて衝撃を受けたのは中学生頃だったろうか。最近は知人に菜食主義者が2人ばかりいて、その主張を聞くにつけ、いろいろ考えるところがあったさなか、『ぼくらはそれでも肉を食う』なる、「これだ!」というような本をみつけた。原題は「愛したり、嫌ったり、食べたり──動物についてまともに考えるのはなぜ難しいのか」。動物というか、他の生物種に対する人間の心理を研究する「人類動物学」の研究成果について一般向けに書かれた本である。
     端的に言えば帯に書かれているとおり、「イルカ殺しはかわいそう、でも、焼き肉もマグロ丼も大好き。この矛盾、いったいどうしたらいい?」。どうしたらって、焼き肉もマグロ丼もやめて菜食主義者になるか、イルカでもクジラでも何でも食べてやるか、だ。
     動物を愛護するって、犬や猫はわかる。でもヘビを愛する人に共感できる人はずっと数が減るだろう。実験動物はかわいそうというくせに、家の中にラット(ドブネズミ)が出てきたら大騒ぎ。ましてやゴキブリにはバルサン?
     他方、徹底した肉食主義者になっても、ペットをかわいがったり、犬を食べるのに反対したりするというように、いかに人間が動物に対して一貫性がなく、非論理的にふるまうか、だからといって一貫性をもつのがいかに困難か、というのが本書を貫くテーマ。

     9章はそれぞれ関連しつつも異なった話題である。それだけ問題は多岐にわたる。なぜ人間は動物を愛するのか。なぜ犬はこれほど人間と近しくなったのか。動物を人間化して考えるのは間違っていないのか。動物に対する態度は性差があるのか。肉はどうしてこんなに美味しいのか。動物実験と工業的畜産とどちらが倫理的に問題が大きいのか。そしてそれらの問題にはすっきりした説明はなく、ああでもなく、こうでもなく、著者はひとつの決まった理論を提示しようとせず、あれももっともだが、これももっともという態度をとるところがとてもフェア。
     実際、割り切れないことばかりなのだ。ヒトラーが菜食主義者で、極端な動物愛護法案を制定したなんて話は実に象徴的。ナチスにとって、ユダヤ人は人間以下どころか動物以下、害獣・害虫と同等であったので、何ら論理的矛盾はないのだ。論理に一貫性を求めるとどのようなことになるのか、「動物の権利」論者たちの極論を著者は示してみせる。著者は「愚かしい一貫性は、偏狭な心に住む子鬼のようなものである」というラルフ・ウォルドー・エマーソンの言葉を引用する。

     さらに著者の意図せざるところかもしれないが、アメリカと日本の文化差も垣間見えて興味深い。日本の男の子は誕生日にクワガタをもらって大喜びするが、アメリカではほとんど考えられないという。著者はコンパニオンアニマルという言葉に否定的。例えばザリガニはペットだけどコンパニオンじゃない、と述べる。しかし日本人的な感覚ではザリガニがコンパニオンでもいいような気もする。
     著者は闘鶏について長々と述べており、翻訳に当たってはかなり省略したというが、これも考えさせられる話題。アメリカでは闘鶏は禁止されているが、地下で密かに行われているという。闘鶏家は丹精込めて鶏を育て、残酷な殺し合いの競技に送り出す。彼らは深く鶏を愛しており、鶏たちも闘争本能から戦うのだとその倫理性を擁護する。筆者は闘鶏の残酷さを認めつつも、闘鶏家の愛情も否定できない。そして、ブロイラーで「生産」される食肉用の鶏とどちらが幸福かと考える。

     本書を読んだ後、もう一度、「ぼくらはそれでも肉を食う」と考えてみた時、それは様々な思想や感情を踏まえた上での少し深い陳述になっているはずである。

  • 期待した内容の本ではなかったので、飛ばし読みしまくったけれど面白い本だった。文章のテンポが良くてすらすら読めた。

  • <閲覧スタッフより>
    人類動物学を研究している著者が、動物と人間の間で巻き起こる疑問や矛盾を様々な場面から紹介。動物倫理・動物愛護・動物の権利など、動物と人間との関係を考えるきっかけとなる一冊です。
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    所在記号:480.4||ハツ
    資料番号:10207293
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  • 2014年5月に実施した学生選書企画で学生の皆さんによって選ばれ購入した本です。
    通常の配架場所: 開架図書(3階)
    請求記号: 389//H53

    【選書理由・おすすめコメント】
    人間に食用として扱われている動物とペットとして可愛がられている動物を比較することで、人間の動物に対する価値観が危険なものだと分かりやすく示しています。人間の生活の中に当たり前のように溶け込んでいる動物に対する認識を改めるためにこの本は良いと思います。
    (経営学研究科ビジネス専攻1年)

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