FBI美術捜査官―奪われた名画を追え

制作 : Robert K. Wittman  John Shiffman  土屋 晃  匝瑳 玲子 
  • 柏書房 (2011年6月発売)
3.52
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  • 32レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (437ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784760139965

作品紹介

レンブラント、フェルメール、ノーマン・ロックウェル…美術館の壁から、忽然と姿を消した傑作の数々。潜入捜査でたくみに犯人をおびき寄せ、歴史的至宝を奪還する。美術犯罪捜査に命を賭けた男と、そのチームの物語。

FBI美術捜査官―奪われた名画を追えの感想・レビュー・書評

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  • こんな捜査官がいるだろうか?
    逮捕者から後日Eメールがくる捜査官。それも恨みや脅しのメールではなく、
    「打ちのめされたのは確かでも、きみとの時間は楽しかった。紳士でいてくれてありがとう。(略)きみがきみの仕事をしなければ、おそらく別の誰かが同じことをしていたんだろうし、その相手をきみのように好きになれたとは思えない」「この手紙は冗談でもいたずらでもアピールでもないし、まして字面以上のことを訴えるメッセージでもない。幸運を。」
    などと?

    美術犯罪などと言うと、小説や映画の中の華麗なる犯罪を思い浮かべてしまうけれど、美を愛するがゆえの犯罪などない、すべて金のため、というのが現実らしい。
    また、FBIに美術犯罪の専従チームが出来たのはここ10年のこと、というのも意外である。

    そして、潜入捜査の5つのステップ
    1、ターゲットを見つけ、2、自己紹介し、3、信頼関係を築き、4、そして裏切り、5、最後に家に帰る
    の1〜3は、まるで恋愛のようでもある。相手を見つけ、相手の心に入り、共有共感関係をつくって信頼を得る。
    そのあと、(相手にとっては)ドンデン返し、捜査する方としては本領、となるわけである。

    まさに小説か映画かというようなシーンがたくさんあるのに、これはあくまで現実。
    無事に、妻や子の待つおうちに帰れてよかったね、とも思ってしまうのであった。

  • FBIの美術犯罪チームが設立されたのは2004年その時唯一の潜入捜査官だったボブは55年に東京で米空軍の父と日本人の母親の間に生まれた。一旦は父親を手伝いサラリーマンとなるが、32際でFBIの募集に申し込む。最初の上司が美術犯罪に力を注いだこともきっかけとなり、美術の鑑定を学び、サラリーマン時代の経験を生かして97年に潜入捜査官としてデビューする。マッチョな同僚が麻薬やギャング、強盗を相手とする中次々と潜入捜査を成功し10年の間に2億ドルを越す美術品を回収する。
    そしてキャリアの最後に取り掛かったのが全米史上最大の窃盗事件である90年に起こったボストンのガードナー美術館から総額5億ドルの11点の美術品が盗まれた事件だった。
    美術犯罪は盗む以上に売ることが難しいらしい、そこで買い手を装った潜入捜査官の出番となる。犯罪者に近づき信頼関係を作り、取引をすると信じさせてやっと美術品を回収できるのだが邪魔をするのは手柄を立てたい味方で、足は引っ張る、首は突っ込む、横から手を出すと何でも有りだ。
    捜査を外され、後を引き継ぐはずの同僚のヘマで一旦は手掛かりを失うが、まだボブを信じる犯罪者から連絡が有り最後のチャンスが訪れる。そして。

  • 驚くべきことに、1990年から2005年の間に世界中で総額10億ドルを超える絵画が盗まれてきたそうだ。ルーブルは混雑する土曜の午後にコロ―を持ち去られ、オックスフォードでは大晦日にセザンヌが、リオではマティスにモネにダリ、スコットランドの城ではダ・ヴィンチの名作も盗まれている。

    こうした美術品および骨董品の盗難は、越境犯罪としては、麻薬、資金洗浄、不法武器輸出についで四番目にランクされる。ネットや通信手段、物流手段の発達、ヨーロッパ連合内で行われた税関の改革なども、犯罪を容易にすることを助長しているという。

    本書は、こうした美術盗難品における捜査の一部始終を描いた知的ノンフィクション。著者は、FBIの中で長らく美術捜査官として活躍してきた人物で、日本人の血を引いているそうだ。

    美術品犯罪の技量は、盗み自体よりその売却にある。作品が有名で価値のあるものほど、売るのが難しいのだ。著者によると美術品泥棒は十人十色であるが、一つだけ共通点があるという。彼らが盗むのは美のためではなく、金のためである。本当に芸術を愛する泥棒であれば、売却しようとはしないはずなので、足が付く可能性も低いのかもしれない。

    捜査のほとんどは、潜入捜査にて行われる。その潜入捜査、実際には下記のようなステップで行われる。

    ステップ1 ターゲットの見極め
    ステップ2 自己紹介
    ステップ3 関係の構築
    ステップ4 裏切り
    ステップ5 帰宅

    潜入捜査の多くは、営業行為とよく似ているそうだ。要は人間の本質を理解することであり、相手の信頼を勝ち取って、そこにつけ込むということなのだ。そういった意味では著者は、凄腕の営業マンだ。潜入捜査のすえ、実際に、犯人を逮捕し、身元が割れたあと、「今回の件では打ちのめされたが、それもしかないと思っている。打ちのめされたのは確かだが、きみとの時間は楽しかった。だから文句はない。」などという手紙が届いたりしている。

    その著者のキャリアにおけるクライマックスが、美術史に残る史上最大の事件ともいわれるガートナー事件での潜入捜査である。1990年に起きた、この総額五億ドルともいわれる占有捜査の模様が、ほぼ実話そのままに再現されている。この臨場感は、ぜひ本書にてご確認いただきたい。

    著者の美術捜査官としての資質は、いわゆる探偵的なものよりも、美術に関する造詣の深さによるところが大きいのではないかと思う。それは、著者のこんなセリフにも表れている。「美術品泥棒はその美しい物体だけではなく、その記憶とアイデンティティをも盗む。歴史を盗む。」

    そのような美術に関する知識を、著者は重罪容疑で起訴されている最中の、特別授業の中で培った。さらにその変わった経験を通して得たものは、物事を白か黒かということではなく、灰色の目で見るということもあったそうである。有罪無罪の別なく、容疑者が何を心から恐れ、何を聞きたがっているか、自分自身の経験を通して理解することができたのである。一体人生で何が功を奏すかなど、わからない。

    彼がFBIに在籍した18年間で回収した芸術作品、骨董品など、しめて2億2500万ドル相当。しかし、その価値を決して金銭で測ることはできない。取り返した芸術作品は、人類の歴史を捉えた、かけがえのないものなのである。

  • [撃ち合いより,騙し合い]盗まれた美術品を取り戻すために,FBIでのキャリアを捧げた人物による回顧録。組織の理解が得られない中で,いかにして彼は新聞の一面を飾る盗難品の奪回に成功したのか......。著者は,FBI特別捜査官として20年のキャリアを持つロバート・K・ウィットマン。訳者は,土屋晃と匝瑳玲子。原題は,『Priceless: How I Went Undercover to Rescue the World's Stolen Treasures』。


    邦題には明示されていないのですが,潜入捜査ものとしての面白さと,組織の中で孤独に戦う捜査官という面白さが相まって,幅広い方にオススメしたくなるノンフィクション。「化かし化かされ」を地でいくような捜査劇に,ページをめくる手がとまりませんでした。

    〜美術品泥棒はその美しい物体だけではなく,その記憶とアイデンティティをも盗む。〜

    ドラマよりドラマ的かも☆5つ

  • 資料ID: W0163964
    請求記号: 706.7||W 79
    配架場所: 本館1F電動書架C

  • ジャンル、経験は素晴らしい素材だが、素人作文、自分語り、ノンフィクションが故の全体像のわからなさがストレスを感じさせる。
    個々の事件の、担当者目線からだけの記述は、どのような背景、結果だったかがわからないまま、モヤモヤが残る。
    追加取材の上、漫画化などでエッセンスを抽出して料理すればかなり面白くなりそう。

  • 映画みたいなエピソード!!!!
    日本人の血を引いているからか、
    温厚な風貌が潜入捜査に向いてたのかな?
    絵画始めとする美術品への興味や造詣の深さが
    話に深みを与えてるし、面白い‼

    美術館に行きたくなりました。

  • 【73冊目】上司に勧められて読んだ本。どこでも、官僚主義と執行部門の対立はあるのね・・・

    前半の著者の来歴と、最後のガードナー名画盗難事件の章は面白かったけど、中盤で中だるみした感じがする。

  • 元FBI捜査官の回顧録。美術品を専門とする潜入捜査官で、どういう事情でその任務に就くことになったかという経緯から始まり、潜入捜査のステップ、犯人たちの横顔、世界中で盗まれ続けてきた美術品の話など。潜入捜査は基本的に同じ手順を踏んで行われるので、やや単調といえば単調ですが、それが現実かなという気もします。逮捕した後も犯人から親密なメールが来たというくだりは、何だか結婚詐欺師とその被害者のようでした。

  • まんま映画になりそうで入り込みやすい、よって読みやすい。

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