ゼロ年代日本の重大論点―外交・安全保障で読み解く

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  • 柏書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784760140176

作品紹介・あらすじ

9・11テロとともにスタートし、巨大変動の止まない21世紀の世界、その中で日本はどこへ向かうのか。新進気鋭の学者と政府・民間の実務にある論客が共同研究を行い、日本の位置と進路を鋭く検証する。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で拾い読み。日本とアメリカ(蓑原)、日本とASEAN(福田)、日本とサイバー安全保障(土屋)だけ読む。ジャカルタポストの若干皮肉めいた記事から始まるASEANの章は特におもしろかった。

  • 中国の海洋進出に関して日本が直接共通利益を持つのはASEANの海洋諸国。
    日本は対中輸出で多額の貿易黒字を稼ぎ出しており、中g国は最大のお得意様。

    同盟は友情ではない。
    一般に抑止力とは、相手の行動を思いトドマセルための力だと位置づけられてるが、この力は本来、軍事力だけで構成されるものではない。外交や国際経済、さらには文化交流の活性化なども抑止力の構築・維持に大きな役割を果たしている。

    われわれがコンピュータとネットワークの利便性を切ることができない以上、そこに脅威は存在し、その安全保障が必要となる。
    サイバー攻撃に対処するには、通常兵力も核兵器も不釣り合いである。攻撃者が国家かどうかもはっきりせず、どこにいるかもわからない場合には抑止も成立しにくい。
    サイバー攻撃はしばしば攻撃されていることすらわからないという恐れがあるため、犯罪捜査を行う法執行機関、警察機関だけはなく、インテリジェンス機関の役割が重要になっている。特に国家安全保障にかかわるような攻撃は事前に阻止されなければならないため、インテリジェンス機関の関与も重要になる。

    サイバー攻撃の主体が誰だかわかりにくいという点で、サイバーセキュリティはテロ対策と似ている。非対称な主体による、いつ行われるかわからない攻撃に対しては、国際法はほとんど無力であり、単純な防衛は不十分である。そうした計画を未然に察知し、食い止めるインテリジェンス活動が必要になる。
    実際に各国のサイバーセキュリティ対策ではインテリジェンス機関が深く関与している。

    日本のサイバーセキュリティ対応というとき、どうしても憲法上の制約を考えなくてはならない。日本が憲法9条の制約から専守防衛に徹するとして、それはサイバースペースでも同じように適用されるのかという問題である。

  • 貝原君の書いた8章を取り敢えず読了。駆け足な感ありで、もっとじっくり読みたいなーと思いました。90年代どころか、ゼロ年代ももうPart of historyって感じ。

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著者プロフィール

簑原俊洋(みのはら・としひろ) 1971年、カリフォルニア州出身。カリフォルニア大学デイヴィス校卒。神戸大学大学院教授およびインド太平洋問題研究所理事長。日系アメリカ人で大学卒業後は大手金融機関に勤務。のちに神戸大学に留学し、同大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(政治学)。専門は日米関係、国際政治、安全保障、アメリカ外交。99年に神戸大学助教授、2007年から現職。02年に『排日移民法と日米関係』(岩波書店)で、アメリカ学会より「清水博賞」を受賞。著書に『アメリカの排日運動と日米関係』『「戦争」で読む日米関係100年 日露戦争から対テロ戦争まで』(朝日新聞出版)など多数。

「2023年 『大統領から読むアメリカ史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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