- Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
- / ISBN・EAN: 9784760140398
作品紹介・あらすじ
ニューヨークの自閉症児クラスで学んだ主人公、カムラン。級友のアンドレ、ランダル、クレイグ、エリザベス…そして恩師レベッカ。カムランは彼らを再訪する旅に出る。仲間たちのその後の人生と、彼らが見た世界を描き出すために。自らの人生に向き合うために。「自閉症」のイメージをくつがえす、感動のノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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自閉症である著者が、通っていた自閉症クラスの級友や先生達を大人になってから訪ねたことを元に書いたもの。
家族や他の人達との繋がりが不可欠で、けれどそれが非常に難しい、自閉症。
人によって濃淡もまるで違う。
自閉症でない人達から、笑い者にされたり、自尊心のために利用されたり。
胸の痛む話も多かったが、文章がウエットになり過ぎることはなく(それももしかしたら感情ではなく論理で書く自閉症の特性も関係しているのかも知れないが、でも単純に著者本人の上手さも大きな理由だろう)、こちらも落ち着いて読み進められる。
自閉症を持つ人との関わりの中で、他の人とは違う、特別な対応も必要にはなる。
しかしそれは対応が特別なだけで、その人の全てが特殊で自閉症でない人とまるで違うわけではない、「人が生きている」ということには何も変わりはない。
当然なのに、何てあっさり忘れてしまえるんだろう。
自閉症に限らず、だけど。
読んで良かった。
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美しい小説を読んだような読後感。自閉症児クラスで学んだ旧友を訪ねた旅の記録であり、自閉症へのステレオタイプな見方をくつがえすために書かれた本だけれど、ていねいな観察にもとづいた人物描写としっかりした構成で、とにかく読んでいて楽しい(苦いエピソードもたくさんあるけれど)。旧友を訪ねる旅の記録として、個人的に米原万里『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』、菅野ぱんだ『1/41』と並ぶ、心に残り続ける本になりそう。
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読みにくかった。なかなか進まなかった。
著者の表現によるものなのか、訳者の表現によるものなのかわからないけど。
ただ、ニキリンコさんが訳したらどうなるのか読んでみたいとは思った。
エピローグはよかった。共感した。
自閉症の箱舟。すてきな夢だと思った。