逃げる公家、媚びる公家―戦国時代の貧しい貴族たち

著者 : 渡邊大門
  • 柏書房 (2011年11月1日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784760140725

作品紹介

命が大事か、家か、それとも金のためか?天皇を京都に残して、地方へ脱出。朝廷の仕事もサボタージュ。乱世を生き抜く非武装の男たち。

逃げる公家、媚びる公家―戦国時代の貧しい貴族たちの感想・レビュー・書評

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  • 主に中世の公家の生き方をいくつかの視点から描き出す内容です。​

    公家というと、「ノホホホ、まろはプリンが食べたいでおじゃる」みたいな印象しかなかったものですから、お恥ずかしながら、中世の公家の​生活なんてこれまで考えたこともありませんでした。

    食い扶持を確保するために書物の書写をしたり、地方へ出向いて大​名と交流したり、荘園を守るために自ら地方へ下って戦って死んだ​り、etc.食うためとはいえ、意外な公家連中の必死さ、たくましさを垣​間見ることができました。

  • 室町~戦国~安土桃山~江戸時代と、
    幕末・明治時代以降の公家の生き方。
    何はともあれ学問は身を助けております。
    でも、交通手段が貧弱だった時代に、
    意外と広範囲で移動しているのは驚きです。
    武士たちとの攻防と交流は興味深いものでした。

  •  「戦国の貧乏天皇」と対を為す、不遇の時代を生きた公家の奮闘の歴史書である。

     同じ著者の「戦国の貧乏天皇」にも登場した一条兼良や西三条実隆ら戦国を生きた公家達の生き様を紹介している。
     戦国時代の中心といえば当然武士であって、教科書レベルでは天皇ですら影は薄く、公家などほとんど出てこない。それでも日本の身分社会において公家はしっかりと一つのレイヤーを構築しており、武家レイヤーと綿密に絡み合って歴史を編み上げる。確かに武家レイヤーは派手であるが、公家レイヤーがあって細部に神が宿る。

     ともすれば脳筋などと揶揄されがちな戦国武将たちであるが、それでも文化、芸能を尊ぶ大名、武士もいて、その指南役として生き延びた公家も少なくない。まさに「芸は身を助ける」である。
     そもそも大名達も数代遡れば貴族に辿りつく者は多く、素養はあったのである。

     そんな中で異質な存在として君臨したのが豊臣秀吉であって、(諸説はあるが)百姓身分から成り上がって関白に至ったのであるが、それがいかに異例かといえば、公家の中にもランクがあって、摂政、関白に昇進できるのは摂関家と呼ばれるわずか五家のみだったのである。
     貧乏天皇が貧乏ゆえに何らかの儀式を簡略化しようと思っても数百年の歴史を紐解いて前例を探すような公家社会で、二代続けて関白となった豊臣家はどう見られていたのか。内心は煮えたぎる想いを抱きつつ、長続きなどしないと、いずれ復権はなると信じていたのだろうか。
     本書では江戸以降も軽く触れられており、第二次大戦の敗戦、日本国憲法の制定に並行して貴族、華族制度は終わった。現在も末裔として各界で活躍する家があれば、歴史の中に消えていった家もある。過去の記憶となりつつある中、鎌倉以後800年の不遇を生きた公家という存在に改めて想いを馳せるのも悪くはない。

  • 室町時代以降なので、知らない人ばかり……。
    なので、若干難しい印象ですが、読みやすく。

    最後は近現代も書かれていて、ボリュームたっぷりでした。

  • 武家社会が続いた時代にも天皇や公家・朝廷が存続していたのは何故か、ずっと不思議なのだけれど、なかなかすっきりした答を出してくれる本に出会っていない。この本でもすっきりはしなかった。政治的な実権はなくとも、文化的な面で武家を圧倒する、権威があった、武力だけで人は尊敬されない、と書かれた「おわりに」に到達して、そうか、とは思ったものの、それだけなの?とやっばり、不思議。これはもう、人の心理にかかわることになってくるのかな。
    公家社会からみた日本の歴史を眺めることができたことは、面白かった。公家社会を扱った時代小説はないのかな。探してみよう。

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