国民国家論の射程―あるいは“国民”という怪物について (KASHIWA CLASSICS)

著者 : 西川長夫
  • 柏書房 (2012年3月1日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784760140961

作品紹介

「国民国家が存在し、私を含めた国民が存在する限り、国民国家批判は終わらないし、終えることはできない。」国民統合の原理を可視化する刺激的な言説。最新の世界情勢に応答する論考を増補。

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  • 入荷先:品川区立大崎図書館

    1998年に刊行された同名の著書の増補版に当たる。

    下地となっているのは、1980年代後半から1990年代全般にわたって記録された講演録や雑誌投稿のエッセイであるためか、西川長夫の名前を仏和辞典以外では聞いたことがない読者でも、取っ掛かりとして読むことができうるだろう。改めて読み直した西川自身が「果たして再読に耐えられるだろうか」という一抹の不安を抱いたという。
    でありながらも、今理解できたこととして、国民国家論に対する(教養的な)反発の出所には、反発をする側がその場を安住しているがゆえにその基礎が崩れることへの自覚があったからにほかならなかったからではないのかと西川は認識している。

    増補するに当たってはいわゆる「3/11」後の国民国家への幻想について挿入してほしいという版元側の要望があったことを明かしている。西川はそれに対して、「僕はそれについて語る資格がない」としたうえで、鶴見俊輔が2001年に出した『転向再論』における「国家の強制を感じさせないですすむ転向」を引用する形で、一度破綻したはずの国民国家の再蘇生に寄与した65年のとどのつまりではなかったかと指摘する。

    西川がかつて在籍していた立命館大学のシンポジウムで発言を中止させられた原稿の中にある「人は反体制運動を通じてさえ国民国家に回収される」という指摘がある。それはいまや、(俄仕立ての)反原発運動と、(俗に言う)「ネット右翼」という―一見すると正反対のようで根っこにある欲望は同じ―「反体制運動」に見て取れるという皮肉な現状だ。

    だとするならば、本書がまったく古くなっていないばかりか、読み手一人ひとりが国民国家という怪物を奈落の底から疑いなおし続けなければならないということを感じざるを得ないのである。

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