真実―新聞が警察に跪いた日

著者 :
  • 柏書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784760141142

作品紹介・あらすじ

甲84号証-。北海道警察の元大幹部が裁判所に提出したA4判で四〇〇ページ近くもある膨大なその証拠文書には、裏金報道をきっかけに厳しく対立した北海道警察との関係修復を図ろうとする北海道新聞社の幹部らの「秘密交渉」の一部始終が詳細に書き記されていた。

感想・レビュー・書評

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  • 2015年12月27日読了

  • 報道という権力、暴力を、適正な範囲に収める機能は、現代社会にあるのだろうか。

    彼らは、彼らの「正義感」なのか、「商業主義」なのか、外部からは計り知れない原理で、正義の裁きの、リンチの主宰者となる。

    正義の裁きか、私刑であるのか、立場によって、同じ行為に対してであっても評価が分かれるだろう。
    しかし、彼ら、報道機関は「社会の木鐸」と自らを称し、正義の立場をメディアを使い主張する。
    民衆の味方を騙り、自らが敵と認定したものを、独占的に利用できる自社メディアを通じ断罪する彼ら。


    その内部にあり、その組織からはじき出されてしまった著者が紡ぐこの物語。

    報道機関も組織であり、その組織の論理からはみ出すものには、「正義の刃」を向ける。

    「悪人はどこにもいない。どこにもいない。
    そんな思いが頭をよぎった。」

    という言葉が、物語の終章に記される。

    報道機関という、現代の専制君主の恐ろしさと、図らずも、その構成員の無邪気さを浮き彫りにした良著。

  • 組織と個人、企業利益と信念、それらについて考えされられました。本作では北海道の警察、新聞社が舞台となっていますが、フォーマットが変われば同じような話は公にされていないだけで日本、世界には溢れていて人事ではないと感じた。マスメディアが権力に屈するという構図は特に日本に多い気がするし、本作を読むとますますこの国では組織に属している限りジャーナリズムを貫くのは無理なのではないかと悲観視してしまう。著者のようなジャーナリズムの良心が多く活躍してくれることを願わずにいられない。

  • 北海道警察の裏金問題の後日談。新聞と警察の関係に二律背反という言葉が浮かびました。

  • 調査報道に興味があり、高田さんの著作に目を通しています。
    新聞社に職を得られたわけではないので、叶わぬ夢かも知れませんが。

    ススキノのバーで繰り広げられた、若手記者と高田さんの会話はショックでした。
    入社前には調査報道にあこがれていたという記者が、もう調査報道はやりたくないといったからです。

    新聞社に入社できて、調査報道も手がけられるん立場にあってうらやましいし、そのような志を持って記者になったんじゃないのかって思う。
    しかしその反面、報道の現場や組織人としての経験がない自分は、現実を知らないんだろうなとも思う。
    だから調査報道に過剰な期待をを持てているのかもしれない、と。

    それでも読了後、調査報道をいつか手がけられたら、という気持ちは変わらなかったです。

  • 権力と対峙するのが役目である新聞社という矜持を持ち合わせる一記者が、北海道警察の裏金づくりを調査報道で明らかにした。

    しかしながら、警察権力の逆襲が巧妙に開始され、篭絡してしまう北海道新聞のトップ。

    権力側であろうと、権力の外にある組織であろうと、それぞれの組織人が単体であればいい人であるにもかかわらず、組織防衛に走ってしまうという人間社会。

    食うため、生きるため、ひとそれぞれに背負うものを背負っている。

    しかしながら、権力が澱んでしまった世界が世間に及ぼす弊害は過去の歴史がその悲惨さを伝えてきた。

    権力ときっちり対峙すべきジャーナリズムの弱体化はここ日本においてとくに激しい。

    北海道警察を辞職した高田氏の今後の活躍に期待したいものである。

  • 1月4日読了。

  • 地方の小都市で「発表もの」が消えたら、その日から新聞の地方版はおおいに苦しむだろうとも思う
    「組織だもの、そりゃ、いろんなことはある。悪党もいりゃ、いいやつもいる。無駄メシばかり食う奴もいる。騙し騙され、でな。おれなんか、そんな世界いっぱい見てきたからな。でも大事なことはあきらめないこと、それと仲間を増やすこと。多勢に無勢では、いくら正しいことであっても通らんぞ。逆に言えば、多数が味方になっていれば組織的な悪事は簡単、ってことだな」
    ICU 旧日本軍の飛行機を作り続けた中島飛行機の跡地にある
    「組織はトップで変わる。それは事実だ。おれもそう思っていた。それで可能な範囲でできることをやって、社長は退任した。社長のお側用人も失脚した。でもな、気がついたら、まわりはみんな、社長と同じ顔になっていたんだ。わかるか?社長は失脚しても、いつの間にか、社長と同じような人間があとにいっぱい続いていたわけよ」
    「日本社会の特質なのかどうか、私には判断できませんが、治安強化にしても何にしても、日本には明白な独裁者があまりいなんですよね。特高警察にしてもいまでこと悪の権化と言われますが、一人ひとりは非常にまじめで、程度の差はあれ、一生懸命仕事していたわけです。分解すると、みんなけっこういい人なんです。ときどきは組織の中で足の引っ張り合いや競合もおきます。部署ごとの縄張り争いもあります。でも全体として一方向へ流れ始めたら、なかなか止められない。」

  • 終盤に向かうにつれ、歯切が悪くなる印象をもつ。
    記事の細部を付いてくる法廷戦術というのは三浦氏以来の常套手段。相手が警察であるのだから、余計、通常の調査報道以上の緻密さが求められる。佐々木氏の攻撃をなぜしのげなかったか、悪条件が重なったとはいえ、大変残念な結果だったと思う。

  • 半分エッセイみたいな、警察と北海道新聞に起こった出来事の内情あれこれ。

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