ネゴシエイター―人質救出への心理戦

制作 : Ben Lopez  土屋 晃  近藤 隆文 
  • 柏書房
3.36
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本棚登録 : 96
レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784760141371

作品紹介・あらすじ

人質が生きるか、死ぬか、極限状態での駆け引き。一本の電話回線を介した緊迫の交渉。真実を描くため、実名は明かせなかった交渉人自らが語る、衝撃のノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • "人質誘拐事件は、世界中で思っている以上に発生している。年間に2万件以上報告され、報告されていない件数を含めるとその10倍ほどあるそうだ。
    本書は、人質誘拐の後、犯人と身代金含め誘拐された人を安全に取り戻すための交渉を専門に行っている人物が自らの生業を紹介している。
    一つの産業・市場となっている。Kidnap for Ransom
    映画のような武力で制するようなことは避ける。支払える金額まで金額を交渉し、人質を安全に家族のもとへ送り届ける。その間家族のカウンセリングのようなことも行う。24時間体制でチームを構築して対応する。私にはとてもできない職業だ。"

  • 映画より面白い事実、を勝手に想像した。
    犯罪者心理に精通した巧みな誘導とか、被害者側の人員配置と行動ルールの徹底など
    高リスクのプロジェクトのようだ。
    文章と訳が
    腕の良いノンフィクションライターに書き直してもらえないかな。

  • ・誘拐事件は毎年2万件以上報告されている。
    ・そのうち当局に通報があるのは十分の一にすぎない。
    ・世界で起きる誘拐の数は過去12ヶ月で100%増加している。
    ・誘拐事件の70%は身代金の支払いで解決する。力づくの人質救出はわずか10%。
    ・拉致の78%は被害者の自宅、または仕事場から200m以内で行われている。
    ・ほとんどの誘拐がウイークデイの午前中に行われる。
    ・身代金の要求額の幅は5千ドルから1億ドルまで。
    ・メキシコでは毎年7千件、コロンビアでは1日10件の誘拐が発生するのに対し起訴3%に対しアメリカでは95%が起訴される。
    ・世界的に見て被害者の90%が地元の人間である。
    ・ロンドンでは誘拐対象の保険料が1億3千万ドル以上発生している。
    ・21 ラテンアメリカで人質救出作戦で無事生還する人質のパーセンテージ

    ネゴシエイターと言えばフレデリック・フォーサイス、後は漫画で勇午だが実際の公証人はロイズの代理人として出てきたマスター・キートンのエピソードが一番近い。アクションは無く、偶々運転手に似ていたがために身代金引き渡しをやらざるを得なくなった1件を除けば直接事件には関わっていない。

    誘拐保険は1970年代にプロの人質交渉人が生み出したアイデアで保険を引き受けるアンダーライター、保険を仲介するブローカーに加え警備会社が事件の対処に人員を出しアドバイスをする。
    911の後元軍人が警備会社を立ち上げ一大成長産業になっていたが、心理学を学び交渉人を目指す作者は保険のオプションとして被害者やその家族の精神的なケアをすると言うアイデアを思いつき警備会社の下請けとして協力を始める。交渉人として犯人の心理を予想するだけでなく、内部で手引きした物の有無、誰が信頼できるかや交渉の仕方をアドバイスするが直接表には出ない。交渉人の存在はアンダーライターにとっては保険額を下げるのがメリットで、保険をかけた側とブローカーにとっては被害者が無事に帰ってくることがメリット。警備会社は他社と差を付けるために精神的なケアと言うアイデアを採用した。

    6部構成で拉致ー監禁ー生存証明ー交渉ー身代金の引き渡しー解放と言う事件発生から解決までの流れに沿ってそれぞれ「エンド・ゲーム」、「ビジネス」、「降下地域」、「新しい波」、「不和」、「海賊たち」と言う副題に沿って作者がどうやって交渉人になったかから始まり、様々な実際のエピソードと、並行して仕事の発展と反比例して崩壊する作者の家庭の様子がいずれも生々しく綴られている。

    犯人側から見た際には誘拐は金を受け取る時と被害者の解放時が一番危険な瞬間であり、被害者が死傷するのもこの時が多い。作者の仕事は犯人が受け入れられる範囲まで身代金を下げた上で無事に被害者を家に帰すことであり、犯人逮捕は全く考慮していない。犯人側の話を聞かない強硬な交渉は被害者の危険を高める一方で、簡単に要求通り金を支払うのもまた次の犯行のきっかけになる。実際に同じ犯人に3人兄弟が次々誘拐されたエピソードが上げられているが、この家族からはもう金を取れない、手間がかかる割に儲けが少ないと思わせなければいけない。

    交渉人は犯人と信頼関係を作り同じ目的を持っているー犯人は無事に身代金を受け取り、被害者は無事に家に帰るーこの共同作業をすると思わせる。テレビや映画の様な強襲作戦は成功せず、救出チームが被害者を殺してしまう例も数多くある。有名な例では2002年のモスクワ劇場占拠事件で突入したスペツナズが使用した麻酔ガスで人質129人が窒息死している。実際の誘拐や立てこもりにはジャック・バウアーは迷惑な存在らしい。犯人が人質を返す理由も人質を殺す誘拐グループと思われたら交渉自体が成り立たなくなるからだ。

    「新しい波」に出てくるのは金ではなく政治的な要求をする犯人グループでこれが狂信者ともなると交渉自体が成立しなくなる。テロリストにとっては恐怖を与えることそのものが目的になってきている。また、ATMの発達で日付変更前後に限度額ぎりぎり2日分を引き出す特急誘拐も増えている。ソマリア沖では海賊が船を拿捕するのが産業になってしまっている。誘拐が頻発する地域での自衛手段は警備会社をやとい、誘拐保険に加入することだけだそうだ。

  • 交渉人「ネゴシエイター」。踊る大捜査線のスピンオフ作品「交渉人」でユースケ・サンタマリアが演じたことでもそこそこ知られだした専門職。
    誘拐犯に対して、人質を安全に解放することを求めるプロフェッショナルである。
    映画では誘拐は特殊部隊や警察が一気になだれ込んで犯人を制圧して解決するものが多いが、往々にしてそれはうまくいかない。人質を危険に晒すからだ。
    多くの場合誘拐は"ビジネス"である。見返りは金。そうであるがゆえに誘拐保険、そしてネゴシエイターという職業があるのだ。
    ネゴシエイターの役割は人質が安全に解放されることに全力をつくすこと。そして身代金の額を可能な限り下げることにある。犯人の逮捕は仕事ではない。
    著者は心理学者としてキャリアを積み、精神科に勤めたあと、ネゴシエイターとなった。電話があればバッグを片手に現地へ向かう。
    コーヒーとレッドブルで体に活を入れながら、長い長い心理戦を演じる。
    誘拐の半数以上はラテンアメリカで起きる。誘拐事件の70%は身代金の支払いで解決する。力ずくの場合は僅か10%。
    21……ラテンアメリカで救出作戦で無事生還する人質のパーセンテージ。

  • 面白い! こんな世界があるとは知らなかった。文章は必ずしも上手ではないが、経事実とそこから引き出されるこの分野の状況や経験が興味深い。最後までほぼ一気に読み終えた。

    なぜ交渉が長い方が良いのか、すぐに身代金を払ってはなぜいけないのかなど、なるほどと関心することが多かった。

  • このノンフィクションを読むと海外に行きたくなくなるなぁ。それにしても誘拐産業の成長率(年20,000件、前年比100%増)は半端ないし、時代に合わせて事業のやり方も進化していくなんで、ほんと通常のビジネスとなんらかわりがない。特急誘拐とか効率的すぎるし。

  • 日本ではあまり馴染みの無い、人質救出を目的としたネゴシエーター(交渉人)についてのノンフィクション。まず誘拐事件が世界で毎年約2万件あり、そのうち10%しか通報されないこと、そして誘拐を対象とした保険ビジネスがあることに驚いた。日本に居ては全く考えもしない話だし、まず日本でそんな保険ビジネスは成り立たない。
    また交渉人の目的が人質救出であり、犯人逮捕は全く気にしないということも、日頃ハリウッド映画の派手な救出劇を見慣れている自分には衝撃だった。
    待つことの大切さ、そして交渉人が薬や酒等で自分の命を縮めている分、人の命を長く延ばしているトレードオフ的な関係に目がくらくらした。

  • 身代金目的の誘拐において被害者側が最も優先すべきことは,人質の救出であって,決して犯人の逮捕を優先すべきではないということです。従って,現実の世界では,映画や小説のような華々しい展開はなく,まず身代金を払って解決させるということが行われているようです。

    人質の救出を最優先しつつも身代金を如何に低額におさえるかというのがネゴシエーター(交渉人)の仕事で,日本では現実感のない話ですが,世界では身代金目的の誘拐はビジネスとしてとらえられ,そのうち約半数がラテンアメリカで発生しているということです。

    発展途上国では,警察内部の者が誘拐に携わっていたり,また人質の命より犯人逮捕を優先されることがあるため,警察に事件の発生を連絡することは少なく,救出を待つ家族が交渉人を自ら雇い金を払って解決するという実情には少し驚きました。
    時間や人的資源を数式に置き換え,徐々に自らな有利な状況に進めていく交渉手法は経営学的であり,交渉人はまさにCEOとも言えると思いました。

    本書は,人物の名前を変えただけのノンフィクションでどんどん先に読み進めますが,独特な回りくどい表現が多いのが残念でした。

  • 『FBI心理分析官』の交渉人版

    読み物として面白かったですが
    もっと技術的なものを期待していたためマイナス★

  • 身代金目的誘拐事件は、日本では久しくニュースになっていないが、海外では特に珍しいことではないようだ。この本は、犯人との交渉を行うプロが、これまでの事例を挙げて交渉の様子を紹介するものだ。
    犯人との交渉では、人質の解放が最優先であり、犯人の逮捕はほとんど考慮されない。また、犯人の実力(初心者なのか、プロなのか)を見抜き、慣れていない犯人には身代金を値切るという駆け引きまでもする。人質を維持するのが犯人側にとっても負担になるので、長期化すると値切りやすくなるという。
    貧富の格差が拡大した貧困国では、誘拐がビジネスとして成り立っているこらしい。こうしたプロの交渉人が存在するのは当然の流れなのだろう。まさに安全は買うものである。

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