江戸の都市プランナー

著者 : 小林信也
  • 柏書房 (2013年1月発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784760142187

作品紹介

何も決められない政治家たち、自己保身が第一の官僚たち、既得権益にすがる大商人たち、庶民は疲弊し未来を描けない。そんな暗鬱な時代に一人の仕事人が現れた。名を熊井理左衛門という。

江戸の都市プランナーの感想・レビュー・書評

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  • 百万人都市といわれた江戸は、水路が張り巡らされ交通の便が整い、水道も完備された大都会だったことは有名である。本書の主人公は、江戸の町人熊井理左衛門という人物。数々の文献に責任者として名を残す彼は、江戸のインフラに大きく貢献した。水野忠邦や松平定信などの有名人も登場し、歴史好きにはもちろん、歴史はちょっとという方にも楽しめる。

  • 頑張った、功績を残した、そういった人間が正当に評価されることは今も昔も難しいことなんだろうね。

  • 「江戸の町に現れたスーパー名主」

    騒然たる幕末前夜、天保の改革を進めるために江戸の都市行政の担い手とされた名主の中に、その持てる力を十二分に発揮したスーパー名主がいた。人呼んで熊井理左衛門。彼の果たした役割を検証する。

    その活躍ぶりにもかかわらず、理左衛門が71歳で小伝馬町牢獄の罪人となるところから語り起こされる導入が興味を惹く。その投獄の謎もさることながら、吉田松陰や高野長英が入獄していた、当時の小伝馬町牢屋敷の様子が詳細に書かれていて面白い。

    小伝馬町牢獄は本来今でいう留置場のような役割を果たす場所であり、世襲でここを管理する役人・石出帯刀の屋敷に牢獄の機能がもたされていたものらしい。劣悪な牢内環境、罪人もその身分によって入る牢の種類が違ったことや、便所の遣い方に始まる牢入りの儀式など、初めて知ることも多い…とこれは本題ではないのだが。

    意外に反対派も多かった水野忠邦の天保の改革を押し進めるために、2,3の町を専業で管理していた名主たちのうち、人望あつく仕事もてきぱきとこなし幕府が懐柔しやすい人物として3人の名主がそのリーダーとして選ばれる。彼らは惣名主上席という身分をもらい苗字を名乗ることも許された。理左衛門はその一人であった。

    水野忠邦の改革の是非はともかく、何か仕事を進めようというときは、現場に一番近い管理者に有能な人物をおくことが、非常に良い効果を上げるということがわかる。会社で言うならこの場合、将軍は社長、水野忠邦は取締役といったところか。名主に相当する現場に一番近い管理者は課長ということになるだろう。

    彼らの身分は武士ではなかったものの、本来出来た人間であったことに加えて相応の権限や責任を負わされることによって、モチベーションを上げ、自ずから都市行政を支える良い仕事をするようになるのがすごい。組織における人の配置を考える際にも非常に参考になる。

  • 江戸時代、幕府や奉行の政策、施策についてとりあげられることが多いが、その実務活動についてはあまり扱われない。この本は、天保期に実務活動で活躍した町名主、熊井理佐衛門について書かれている。虫の目的に江戸時代を見ることができる貴重な1冊と思う。

  • 殆ど無名だった幕末の町名主 熊井理佐衛門の話しです。
    町奉行の下で自分の町(当初は深川の熊井町、後に日本橋堀江町)の名主に留まらず、江戸全体を管轄する惣名主上席までになった町民が、最後には罠にはめられて小伝馬町の牢獄に入れられてしまのですが、本の題名の都市プランナーとしての業績よりも牢獄の話しの方が印象に残る本でした。

  • 熊井理左衛門さんは、プランナーというより行政マン。
    都市行政における官と民の関係は、今も昔もそう変わらないことを知る。

  • なかなかおもしろかった。冒頭は浅田次郎の赤猫のよう。
    やさしく、小説のように書いてあるところもある。
    署名がしっくりしない。「江戸の名主:熊井理左衛門」で良いように思う。

  • 【新刊情報】江戸の都市プランナー 289.1/ク http://tinyurl.com/avbkkhq 決められない政治家・自己保身第一の官僚・既得権益にすがる大商人ー暗鬱な時代に現れた仕事人がいた…。町人の立場にあって、江戸の都市行政に多方面で携わった熊井理左衛門に迫る #安城

  • タイトルから期待したハード面話は裏切られたが、熊井理左衛門という面白い人物、彼がリーダーの名主組織が新たな行政組織として機能したという面白い視点を知った。

    所々に出てくる時代小説風記述はご愛嬌。

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