「知覧」の誕生 特攻の記憶はいかに創られてきたのか

  • 柏書房 (2015年6月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (428ページ) / ISBN・EAN: 9784760146109

感想・レビュー・書評

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  • 知覧を見に行く前に、なぜ見に行くようになったかを考えさせる本である。しかし、歴史学の専門に比べて考えが浅いように感じる。前半はいいが、メディアが出てくるところから、内容が拡散してしまっているのが残念である。

  • 特攻隊員の遺書の改変をめぐる疑惑(真実の言葉かどうか?)すなわち特攻隊員の遺書に軍の検問体制や軍国主義的な規範が強いる公式見解(建て前)と、当事者の本当の気持ち(本音)は別の所に有るのではないかという疑惑に対して「号泣した自分の姿」と「最高の笑顔で飛行機に乗り込む勇姿」がそれぞれ本音と建前に対応するが、小川榮太郎氏は隊員に読みとる「素顔」は両者に引き裂かれながらも家族や恋人や戦友の記憶に残したい自画像としてあえて後者を選択する。という意気地である。といわれている。
    「知覧特攻平和記念会館」がスポーツ界や会社の社員研修で「活入れ」の場になっている、と言う。
    自己啓発な意味での知覧巡業をする人が少なく無いそうな!
    遺書の「建て前」に自己を奮い立たせるのだろうか?

  • 様々な新聞の書評でも絶賛されていた話題の本。

    鹿児島県の知覧町には戦時中、陸軍の特攻基地である「知覧航空基地」が存在していました。しかしこの特攻基地は九州「唯一」でも、「最大」でもありませんでした。そんな場所はなぜ「特攻の聖地」となり、多くの観光客を集めるようになったのか。読み終えた時、サブタイトルの「特攻の記憶はいかに創られてきたか」について深く納得を覚えます。ハードカバーで400pもある本なので読むのはなかなか大変だったけど、とても興味深かったです。

    特に知覧の歴史についてタイトルにまとめた第一部の「『戦跡としての知覧』の成立」、九州の他の特攻基地を知覧と比較した第二部の「複数の『知覧』」は「歴史は『そこにあるもの』ではなく、後世の人たちの様々な思惑によって『再構成される』ものなのだな」ということを感じさせられる内容でした。あと第三部「『知覧』イメージのメディア文化史」では第10章「記憶の継承から遺志の継承へ 知覧巡礼の活入れ効果に着目して」が印象に残りました。この章では最近知覧は「活入れ」つまりは自己啓発に使われる例があることを考察されています。関連書籍も色々出ているそうな。

  • 旧日本軍の特攻基地として名高い、知覧基地。
    鹿児島の、決して交通の便の良くない町
    知覧が、なぜ、どのように特攻記憶の聖地として全国に広まっていったか、様々な角度から分析を行っている。

    太平洋戦争末期、九州南部には、沖縄南西諸島方面の戦闘に対応すべく、多くの航空基地が作られた。
    そして、その多くの基地は、特攻基地として使用され、多くの若者が特攻隊員として飛び立っていった。
    知覧近隣にも、万世、鹿屋等特攻の基地はあり、また、その記憶をとどめるための施設も整備されている。
    では、なぜその中で、知覧が全国有数の聖地となったのか。
    そこには、知覧が再発見された時期、映画ほかメディアで取り上げられたこと、そして語り部としての特攻の母の存在。
    それらが、典型的な特攻基地としての知覧のアイコンを作り上げていった。

    その他、知覧内での特攻基地の捉え方の違い、近隣基地との記憶への遺し方の違いなど、丁寧に分析されている。
    知覧に旅する機会があれば、事前に一読しておくことをお勧めできる。

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著者プロフィール

東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(社会情報学)。獨協大学外国語学部教授。専門は観光研究,メディア研究,歴史社会学。
[主な業績]『英語講座の誕生――メディアと教養が出会う近代日本』(講談社,2001),『グアムと日本人――戦争を埋立てた楽園』(岩波書店,2007),『ニッポンの海外旅行――若者と観光メディアの50年史』(筑摩書房,2010),『客室乗務員の誕生――「おもてなし」化する日本社会』(岩波書店,2020)

「2023年 『観光が世界をつくる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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