花の旅 夜の旅 聖女の島 皆川博子長篇推理コレクション 4

  • 柏書房 (2020年7月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784760152315

作品紹介・あらすじ

旅行雑誌の連載小説と符合するかのように続発する関係者の死――事件の背後に巧みに仕組まれた犯罪計画の罠とは果して? 作中作を軸に展開されるめくるめく犯罪計画を、技巧の限りに描くメタ・ミステリの傑作『花の旅 夜の旅』。
廃墟の島に建てられた不良少女たちの矯正施設。その救済のために派遣された修道女が目にしたのは、施設の人間たちの歪んだ日常だった……。〝見えない恐怖〟におびえる者たちの静寂なる狂気が織りなす幻想ミステリの金字塔『聖女の島』。
コレクションの掉尾を飾るにふさわしい、幻想的な中にも緻密な筆致が冴えわたる二大傑作を収録!

感想・レビュー・書評

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  • 何かで推されていた『聖女の島』が読みたくて図書館で貸出。
    結果、二編収録されているうちのもう一遍『花の旅夜の旅』の方が好みだった。連載時?前?の構想を是非活かしてほしかったとも思う。
    『聖女の島』は、おそらく(当時の)著者の書きたいものを書いたんだろうなと思っていたら、その通りだったようで。「普通の大人」が露悪的に書かれがちなのがちょいちょいと気にかかる。
    とはいえ、やはり皆川さんの話はぐいぐいと引き込まれるので、改めて買いそろえていきたい。

  • 「聖女の島」は旧講談社ノベルスで既読。
    人類にはまだ早かった感、とてもよく分かる。

    恩田陸先生が「花の旅、夜の旅」のタイトルがめちゃ好きなの、わかりみが深い。
    は、針ヶ尾奈美子…鏡直弘…

  • まず作中作のレヴェルが高過ぎる、「花の旅 夜の旅」は。
    が、それは皆川博子氏(とその読者)にとってはごく当たり前のことか。
    プロットそのものはこう言っては何だが、取り立てて変哲のないサスペンスでありミステリーであるが、その語り口がまさしく超絶技巧という表現がふさわしい上手さ。
    個人的に「薔薇密室」にもつながるのではないかと感じられた複層構造が見事に組み上げられている。

    「聖女の島」については、これが読みたくてこのシリーズを購入したと言っても過言ではない。
    一般の立ち入りが解禁される遥か以前に軍艦島に聡く目を付けているが、夢か現か判然としない幻想的な情景と明晰かつ無慈悲な現実が混然と同居する、いかにも皆川氏らしい今作品の息遣いが、その舞台と絶妙にマッチしている。
    "正常な社会人とは、まるで、綱渡りの曲芸師だ……"

    巻末に収められた過去のインタヴュー記事群が、本当に貴重だこれは。
    "物語(作品)って完全なこうでなくてはならないという形が既にあって、それをこちらが手探りで書いていく、そういう感覚を持つことがあります。"

  • 『聖女の島』を読了
    80年代の作品というのが信じられない、今読んでも全く色褪せすら感じない最高峰の傑作・長篇幻想ミステリ。
    とある島に、ひとりのシスターが呼び寄せられる。そこは様々非行を犯した少女たちが暮らす、閉ざされた矯正施設なのだが…

    舞台のイメージの源泉となったという軍艦島を、読了後にふとネットで画像検索した。作中で描写された景色そのもので震えた。海の冷たさや暗さ、風の強さまで蘇るようだった。
    皆川作品どれにも共通することだが、物語の風景ひとつの描き方でさえ細やかなリアリティを貫き通しているプロとしての徹底した姿勢にはいつも感嘆させられる。そしてその姿勢によってこそ、彼女の描く物語のフィクション性や迫力(威力とでも言うのか)が一層際立つわけで、まさに耽溺させられてしまう要因なのだと思う。

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著者プロフィール

皆川 博子(みながわ・ひろこ):1930年旧朝鮮京城生まれ。72年『海と十字架』でデビュー。73年「アルカディアの夏」で小説現代新人賞受賞。86年『恋紅』で直木賞、90年『薔薇忌』で柴田錬三郎賞、98年『死の泉』で吉川英治文学賞、ほか多数の文学賞を受賞。著書に『聖餐城』『海賊女王』『風配図 WIND ROSE』『天涯図書館』など。

「2024年 『大江戸綺譚 時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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