常識のない喫茶店

著者 :
  • 柏書房
3.83
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本棚登録 : 1890
感想 : 98
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784760153923

作品紹介・あらすじ

潜入したい。変なあだ名を付けられたい。
顔色を窺って生きてきた彼女が出禁のカードを振りかざす。
その瞬間を目撃したい。
こんな働き方、誰も教えてくれなかった。
――こだまさんも夢中!

■内容
「働いている人が嫌な気持ちになる人はお客様ではない」
――そんな理念が、この店を、わたしを守ってくれた。

失礼な客は容赦なく「出禁」。
女性店員になめた態度をとる客には「塩対応」。
セクハラ、モラハラ、もちろん許しません。

ただ働いているだけなのに、
なぜこんな目にあわなければならないのか。
治外法権、世間のルールなど通用しない
異色の喫茶で繰り広げられる闘いの数々!
狂っているのは店か? 客か?
あらゆるサービス業従事者にこの本を捧げます。

喫茶×フェミニズム――
店員たちの小さな抵抗の日々を描く、
溜飲下がりまくりのお仕事エッセイ!

感想・レビュー・書評

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  • 「NOと言える喫茶店」

     ひと昔まえ、“NOと言える日本”みたいな言葉が流行ったような気がする(違うかも、うろ覚え)
     ここはお客さんに、「NO」が言える喫茶店だ。嫌なお客さんには、いらっしゃいませも言わない(笑)店長が出禁にするのでもなく、従業員判断で出禁にもする。接客業の経験がある者からすると驚いた。嫌なお客さんでも嫌々ながらそれだけは言っていた。こんなに素直に接客が出来る店、面白すぎる。

     接客業のいいところも、悪いところも楽しめる一冊。
     
     個性豊かなお客さんを紹介してくれて、もし自分が嫌なお客さんだとしたら “こんな風に店員さんから見られてるんだよー”“こんな感じの接客をされたら、自分は嫌なお客さんかもよー?”が分かったりする、とても面白いエッセイ。

     「果たして常識がないのはどちらか?」

  • とにかく面白い。
    エピローグから笑えた。あだ名で大笑い。

    とても可愛いらしい装丁の本なのに想像もつかなかった。

    接客業を経験したことのある人なら「わかるわぁ、それ」と何度も思うだろう。

    「心地いい空間」を守るためには戦うことも必要。
    確かにそうだろう…。
    だがなかなか出来ないものだ。

    自分の気持ちを大事にすることで強くなり、人の痛みにも敏感になった…と。

    常識から逸脱したこの店で見つけたのは、ブレない心と本当のやさしさ。

    不快な出来事に声をあげることで自分を大切にすることを学んだ。

    多くの人と関わり合ううちに色んなやさしさのかたちを知った。

    改めて思う。「やさしさ」と「おもいやり」の大切さを…。

    魅惑の喫茶。
    不惑の喫茶。
    このような喫茶店を発掘したいと思った。

  • 「こんな本に出会いたかったんだぁ。」
    と、叫びたくなった。
    相槌の嵐。
    そして羨ましい。
    こんなお店に行ってみたい。
    店員だって1人の人間だ、その通り!

    必ずまた読み返すだろう。

  • 推薦書籍『常識のない喫茶店』 | 私のBunkamuraドゥマゴ文学賞 | Bunkamura
    https://www.bunkamura.co.jp/bungaku/mybungakusho/article32.html

    【重版記念】僕のマリさんインタビュー|常識のない喫茶店|かしわもち 柏書房のwebマガジン|note
    https://note.com/kashiwashobho/n/nd9ab2856d87f

    常識のない喫茶店(一般書/単行本/日本文学、評論、随筆、その他/) 柏書房株式会社
    http://www.kashiwashobo.co.jp/book/b588187.html

  • 面白かった!  

    「働いてる人が嫌な気持ちになる人はお客様ではない」

    無礼な人や迷惑な人は出禁にしてもいいというのがモットーな喫茶店。
    こんなお店があるなんて!!
    私も職種は違えど接客業なので、めっちゃ分かる〜って共感の嵐でした*(^o^)/*

    お客様にあだ名をつけるのは笑った〜
    自分の職場でもあるなぁ〜って。
    ピーピーよく騒がしく話すお客様をピー助と呼んでたり、かまってちゃん1号、2号、マダム、オカメちゃん、ikko、、、どこの店でもあるんですね笑笑

    いいお客様もいれば、エラそうでほんと嫌なお客さんも結構いる!
    お金を払ったら自分の方がエラいのか?
    店員に過剰なサービスを求めたり、ストレスの捌け口のように扱ってくる人ってほんとにいる。
    変な常習クレーマーとかには、もう来やんかったらいいやんって言いたくなるけど、やっぱり会社員という手前そういうわけにもいかず理不尽な思いをする事があったり、、

    なのでこのエッセイを読んで、なんだかスカーッとした気分♬
    マスターの方針が素敵。
    ただ、こういうポリシーでやってると逆に自分の方がエラそうにならないように気をつけないとな〜とも思った。怖い世の中、何があるかも分からないし。

    接客する側でも、される側でも気持ちよくありたいなと改めて思いました♡


  • 「常識のない喫茶店/僕のマリ」
    ☆☆
    エッセイは難しい。
    作者の気持ちに寄り添えないと、読み進むのが難しい。

    私は飲食店経営者なので「お客様あるある」は分かる。確かにある。あだ名もあるし、出禁もある。
    好きなお客様も嫌いなお客様も間違いなくいる。
    お客様の悪口を言うこともあるし、好きなお客様に贔屓することもある。
    お店のスタッフを困らせるお客様にはキツく注意することもあるし、追い返すことだってある。
    だけどそれは、私の仕事です。
    スタッフが、お店のお客様を減らすのは違うと思う。
    オーナーがそれでいいと言ってるのだから、その喫茶店にとってそれは問題ではないのだけれど。

    ただ、私とは違う。
    たくさんあるお店の中から、私の店のドアを開けてご来店くださるお客様には感謝しかない。
    嫌いだから「いらっしゃいませ」を言わないなんてことはあり得ない。
    お客様だって基本的にはお仕事をしている。(もちろん親のお金であるとか、年金であるとか、そう言うことも分かってます)そうして稼いだお金を私のお店で使ってくれることで、私はお店を経営していられるし、5人のスタッフにお給料だって払えているのです。

    『だから〝常識のない喫茶店〟っていってるじゃん!』と言われたらそれまでなのですが、結局、自分たちにとって都合の良い、お行儀の良いお客様だけを「お客様」とし、嫌いな人には「いらっしゃいませ」も「ありがとうございました」も言いません。とななると、私はモヤモヤしかない。
    例えば、出された食事を「いただきます」も「ごちそうさま」も言わずに食べ終えたのと同じモヤモヤ。

    好きなお客様と身内のアレコレは〝笑い話〟であり、良いエピソードとなるのに、ただ嫌いと言うだけで、塩対応となるのは、彼らにも大切な人がいることや、彼らを大切に思う人がいることが欠落してるんじゃないかと思った。

    「嫌なお客様とは喧嘩してもいい」
    「お店のスタッフが嫌な思いをする人なお客様ではない」
    序盤は、なるほど面白いなぁと思っていたのですが、読み進めるうちに「優しい思いやりのある人たちと働きたい」が、あくまで身内感情でしかないなと感じた。

    「じゃあ来るなよ!」と言われるのがオチだけど、私がそのお店にいけば、私は間違いなく「良いお客様」になれると思う。スタッフが好きなお客様になれると思う。
    何故なら、私はしごく常識的であり、おとなしく本を読み、店員に絡まず、注文する時には笑顔で丁寧、静かに食べ、いただきますとごちそうさまを言い、笑顔でお会計という。だからきっと良いお客様に分類される。

    それは、同じ飲食店として、スタッフさんが忙しいことも、お店を回す大変さも、いろんなお客様がいることも全部知っているから。
    だけどそれは、店員さんが見る私の表面でしかない。
    私が本書についてこんな感想を書いていると知れば、塩対応かもしくは「じゃあ来ないでください」側になるのだと思う。笑

    つまりお客様はいろんなものを抱えてドアを開けると言うことも忘れないで欲しい。
    お客様の多いお店なので、きっと、ほとんどのお客様には、キチンとした対応をされてあるのだと思います。その中にあって、嫌だったことをおもしろおかしく書き綴ったエピソードだと思いたい。
    だけど、身内贔屓が顕著すぎて、ちょっと疲れました。
    私はね…。

    今年の20冊目
    2022.5.21

  • 店員さんも人間。
    お客さんも人間。
    看護師も人間。
    わたしもあなたも人間。

    〜〜~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    タイトルからてっきり物語かとおもって手に取ったが、蓋を開けてみたら実際に個人経営の喫茶店で働かれている方のエッセイだった。
    「お客さんも店員も人間である。」という至極まっとうな理念のもとにエピソードが綴られており、その言い切り方がおもしろくて最後まで読み切ってしまった。

    「お金を払っていれば傲慢になってもいい」「お金を払っているのだから、自分の要求は100%通って当然」という考えの方が世の中にはいる。
    わたしは看護師をしてるが、特に病棟で働いているときにはこうした人々に何度も出くわした。
    「医療費払ってるんだから」というのが相手の言い分だが、その医療費は直接わたしの懐に入ってくるわけではなく、こちらが過度に親切にしようとサービスマネーが入ってくるわけではない。
    もちろん、良心的・紳士的な患者さんも多数おられるのだが、「医療費払ってるんだからちゃんとやれ」と言い寄ってくる方の多くは、文句はいいつつも個室にはいかないし自分は一ミリも変わらずに周りが変われという信念の持ち主がほとんどであり、腸が煮えくり返りすぎて看護師を辞めてしまった同僚もいるため、本当に百害あって一利なしであった。(そしてだいたいの場合、上層部は口ばっかりでスタッフを守らない。)
    いや、ちょっと怒りで我を忘れてしまったのだが、看護業界のみならず、喫茶業界も大変なんだということが、このエッセイを読むととてもよくわかる。

    〜~〜~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    適度な距離感というのは、どんな場面でも必要だ。
    そして場面によってその距離感を、お互いが心地よい範囲に調整できる人こそ、人間力が高くてお付き合いしたい人なのだとおもう。
    もちろん、距離感調整力は実践して数々の失敗をしないと身につかないものではあるのだが、その失敗から目をそらし何も学ばない人たちがお客になるとこんなことになるんだな、としみじみ感じた。
    そういうお客は喫茶店のみならず、医療業界でも、というかどんな業界でもお断りしたい。
    距離感を見誤った人の姿、逆に心地よさ抜群の距離感をくりだせるお客さんの姿からの学びが多かった1冊であった。

  • 読み始めたら止まらなかった、、、
    驚くほど早いスピードで読み終えたし、読んでる最中に何度も友人にも読んでほしいと思った作品。

    ただただこの喫茶店に行ってみたいの一言です。

    常連として認知されなくても、あだ名を付けてもらえなくてもいい、ただこの空間に行ってみたい

    ふふっと笑ってしまうタイミングが多々ありました。純粋に面白い。何度も読みたいし、落ち込んだ時、人間関係で悩んだ時、色んな時に読みたい本になりました。

  • 常識のない喫茶店、というけど、「常識」を問い直してくれる。客だからといって何でもいうことを聞くわけじゃない、客がお金を払い、それを代価に店はサービスを提供するのだから本来対等のはず。そもそも「働いている人がいやな気持になる人はお客様ではない」と。だから、喧嘩もしていいし、出禁にもする、というお店の方針。それを踏まえた上での、微笑ましいエピソードから腹立たしいエピソードまで、時に一緒に笑い、時に一緒に、時に我が身を振り返り…著者の勤める喫茶店での時間をおすそわけしてもらった気持ち。帯のこだまさんの、潜入したい、変なあだ名つけられたい、という気持ちよくわかります。何の特徴がなくても、あの、何の特徴もない人、というあだ名がつくなんて。超絶謙虚なお客さんが、あのう…ご迷惑でなければ追加でトーストを、と頼むシーンと、店が忙しすぎると常連たちに謎の連帯感ができて、ここだ!というタイミングで会計の列をつくってくれるところ、いいなあと思った。喫茶店めぐり好き勢には見逃せない一冊、でした。

  • あっというまに読み終わってしまいます。これだけ字が大きくて行間に隙間が有ったら本苦手な人でもスイスイ読める事でしょう。
    お客さんを神棚に置いたりせず、対等の対価を与え合う関係として、嫌な事は嫌という。接客業は奴隷ではないという事を強く示す現役喫茶店店員のエッセイです。
    やたらと店員に威張る客がいる事は見聞きしますが、あまり接客業に従事した事が無いのでそういうシーンに遭遇した事はありません。
    でも、レジに「店員も水分補給の為水を飲ませて貰います」トイレに「店員もトイレを使用させてもらいます」などとわざわざ書いてあるのを見ると、こんな事にクレーム付ける人居るのかとびっくりします。
    当然店員さんにならつらく当たってもいいと思っている人もいるだろうし、警察官が買い物をする、消防士が水を飲むなんて事にクレームして来る阿保もいると聞き及びます。
    であれば喫茶店でも訳の分からないクレームをしてくる人がいるんでしょう。そういう理不尽な人に「お前は客ではない」「二度とこの店に来るな」という事をしっかり言う事が出来るこの店は非常に素晴らしいと思います。会社や店はまず従業員を守らなければいけないし、何より人間の尊厳を損なうような事を言ってくる人間に対しては、こちらも人間の尊厳を守るためしっかり対抗していかなければならないと常々感じていました。

    閑話休題、この本はそんな言いたいことをしっかりと言う自由な喫茶店のお話です。これ読むと「そうそう!こういう接客でいいんだよ!!」と胸のすく思いが出来ると思いますが、自分が嫌な事していないか再度見直すいい機会になるかもしれません。目指せ好かれる常連!

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著者プロフィール

僕のマリ
〈ぼくのまり〉1992年福岡県生まれ。2018年活動開始。同年、短編集『いかれた慕情』を発表。同人誌即売会で作品を発表する傍ら、商業誌への寄稿も行う。
Twitter: @bokunotenshi_

「2021年 『常識のない喫茶店』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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