- 本 ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784760155576
作品紹介・あらすじ
織田信長や豊臣秀吉、徳川家康といった天下人、彼らと覇を競った上杉謙信や武田信玄など、小説やドラマでもおなじみの戦国武将たち。しかしそのルーツをはっきりと辿ることができる武家は意外に少ない。そもそも武家ではなかった豊臣氏の出自があいまいなのはもちろんのこと、平氏や源氏の流れを汲むとされる織田氏や徳川氏の家系も疑問符が付かざるを得ないものだったりする。その他の武家多くも、自らの家の「権威づけ」や「辻褄合わせ」のために系譜を操作したり創作したりしているといって過言ではない。
本書は、系譜を「盛り過ぎ」た例、名家の姓を「乗っ取っ」た例、源氏や平家で「権威付け」した例、「出自不明」な例の四つのグループに分けて、その神秘のベールをはがし、真の武家の出自に迫るものである。
感想・レビュー・書評
-
戦国大名の経歴に注視した一般書ということで、その発想は新しく面白い。
出自を盛った大名として黒田、宇喜多、大内、浅井、新免、名家の姓を乗っ取った大名として上杉、北条、細川、源平で権威付けした大名として織田、徳川、赤松、出自不明の大名として豊臣、明智、斎藤、武田を挙げている。
かの細川藤孝だって細川京兆家や和泉守護家とも違って純粋な流れを汲むわけではない。実力あるものが名家の出自を騙るというのは、当然当時は今以上に必要だったんだなと思う。それと同時に、優秀な人間が出て家を興し、それを以降の人間たちが名門として守り続けていくのも、平均回帰という法則がある中でそれができることはまた凄い。ある意味がわはそのままに、中身が入れ替わっているとも言い得る家もあるんだな。
氏姓についてや偏諱についても最初にざっくりと解説しているので、そこも初学者にはありがたいと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
有名な武将の出自について、資料を丹念に読み解いて論じている。意外とわからないことが多いのが面白い。
-
序章 武家の系図、名前とは何か?(「系図」「家譜」とは;名前の構成;「諱」と「偏諱」について;「官位・官途」とは;売買された官位)
第1章 出自を「盛った」大名たち(黒田氏 「近江佐々木源氏出自説」―断絶する家系図の謎;宇喜多氏 百済王末裔説など数多く残る「伝説」の真相とは?;大内氏 朝鮮王族の血族を自称する西国の名門大名;浅井氏 「貴族の落胤」「平安から続く一族」の虚像と実像;新免氏;公家の名門との関係を強調する典型的「貴種流離譚」)
第2章 名家の姓を「乗っ取った」大名たち(上杉氏 謙信の生涯でたどる、家臣が主家の姓を名乗る過程;北条氏 風雲児の出自の謎と改姓に至るまでの苦闘;細川氏 名門の傍流から有力大名へ―幽斎の乱世遊泳術)
第3章 源氏・平氏で「権威付け」(織田氏 「平氏末裔説」の真偽と一族内での権力闘争;徳川氏 “源”家康が“藤原”家康と名乗った裏事情;赤松氏 村上源氏末裔とされる「悪党」の新たな実像)
第4章 謎多き「出自不明」の大名家(豊臣氏 秀吉出生の謎と同時代の冷ややかな視線;明智氏 父さえ明らかでない光秀と土岐明智氏との関係;斎藤氏 道三による「国盗り」と闇深き骨肉の争い;武田氏 信玄を生んだ甲斐の名門が織りなす複雑な家系)
著者プロフィール
渡邊大門の作品





