まじめにエイリアンの姿を想像してみた

  • 柏書房
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784760155637

作品紹介・あらすじ

 エイリアンと聞けば、何を想像するでしょうか。いちばん多いのは映画に出てくる緑色で目の大きなヒト型の生き物という人も多いのでは。そこまで明確でなくても細菌のような微小な生き物ならいるかもねと考えるかもしれません。いずれにしても誰でももしエイリアンに会えたなら、きっとこんな生き物だと想像したことはあるのではないでしょうか。エイリアンはわれわれより科学技術が進んでいて、地球に侵略してくるヤツらだとか、友好的で私たちの未来を明るいものにしてくれるとか、映画でもさまざまな姿が描かれています。
 でも、しょせんは想像の世界と片づけていませんか。もちろん今の私たちが本当にエイリアンに出会える可能性は低いでしょう。人類が無線を使えるようになってから150年もたっていません。つまり、人類がいることをエイリアンが地球からの電波によって知ったとしても、150光年しか離れていない場所にいる場合のみとなります。宇宙の広さからしてもなんと狭い範囲でしょうか。もちろんそこからやってくるにしても、光の速度で150年かかるわけですから、われわれが会えないことは当然といえます。
 本書では、物理学や化学の法則は宇宙でも変わらないことを前提に、生物学の見方を元に、もし生き物が地球外に生まれた場合、液体、気体、固体の中の生活スタイルを考えながら、どのような姿形になるか、どのように行動を選ぶか、どのように発展をしていくかを、進化論やゲーム理論をベースにして、地球の動物たちの進化の過程を参考に、エイリアンにもあてはめて考えてみた結果をまとめています。
 エイリアンを考えることは、結果としてわれわれ地球上の動物とは何かを考えることにもつながっていることも明らかにしていきます。

★リチャード・ドーキンスがX(旧:Twitter)で賞賛
★スーザン・ブラックモア、フランス・ドゥ・ヴァール、ルイス・ダートネルなども賛辞を寄せています

感想・レビュー・書評

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  • Book review – The Zoologist’s Guide to the Galaxy: What Animals on Earth Reveal about Aliens – and Ourselves | The Inquisitive Biologist
    https://x.gd/RmR1y

    Book Review: A Zoologist Imagines What Alien Life Might Look Like
    https://undark.org/2021/04/09/book-review-zoologist-guide-to-the-galaxy/

    Dr Arik Kershenbaum | Girton College
    https://www.girton.cam.ac.uk/people/dr-arik-kershenbaum

    まじめにエイリアンの姿を想像してみた | 柏書房株式会社
    https://www.kashiwashobo.co.jp/book/9784760155637

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      動物学者の視点から考察 [評]東嶋和子(科学ジャーナリスト)
      <書評>まじめにエイリアンの姿を想像してみた:北海道新聞デジタル
      https:...
      動物学者の視点から考察 [評]東嶋和子(科学ジャーナリスト)
      <書評>まじめにエイリアンの姿を想像してみた:北海道新聞デジタル
      https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1034926/
      2024/07/12
  • 宇宙に知的生命体が存在するとしたら、どのような特徴を持っているのだろうか?エイリアンの色や形はわかるはずもないけど、言語や抽象的思考を可能とする知能、個体間のコミュニケーション能力、血縁、社会性に基づく協力関係などは、ある程度普遍的に持っているはずというのが、本書の主張です。これらを前提としてファーストコンタクトを想像するのも楽しいかも。SF小説の三体のようにはならないことを祈ります。

  • 全ての生物の形態や生態には理由がある、そうなるべきというベクトルがある一方、いくつかの選択から偶然選択された場合など様々。

    しかしいくつかの事項は必然的なものかもしれない。耳や目という感覚器官、進行方向を軸とした左右対称性など。

    また知能、社会性という点でも地球の生命と類似したものとなる可能性が高い。

    などなどの論は興味深い。

    読了120分

  • 動物学者が、エイリアンの姿を考えてみた。

    色々と類書はあるが、物理学者でも宇宙の専門家でもないところが味噌で、どういう条件なら生命が発生して社会が発展して、それはどういうものかという考察は、ほぼほぼない。

    前提条件は、物理法則が我々と同じで、実際宇宙船を作って、我々とランデブー出来る宇宙人がいるとしたら、どんなんでっしゃろ。

    地球上でも収斂進化があるように、環境が似ていれば、姿見は似てくる。環境が要請する機能面から考察しようじゃないのという試み。

    面白かったな。
    社会性とか言語、人工知能に至るまで考察していて、想像できる限り、想像をそう大きく超えることはないんじゃないかって。

    これはこれで面白い。

    思考実験であり、そもそも人間とは何であるのかと言う考察でもある。

    確かに、我々の想像を全く超えたものに遭遇した時に、それを、生命体というのかどうかって難しいな。ある意味、この本の主題は、言葉の定義なのかもしれない。

  • 【目次】
    第1章 はじめに
    第2章 形態vs機能──すべての惑星に共通するものとは? 
    第3章 動物とは何か、地球外生命体とは何か
    第4章 運動──宇宙を走り、滑空する
    第5章 コミュニケーションのチャネル
    第6章 知能(それが何であれ)
    第7章 社会性──協力、競争、ティータイム
    第8章 情報──太古からある商品
    第9章 言語──唯一無二のスキル
    第10章 人工知能──宇宙はロボットだらけ?
    第11章 私たちが知る人間性
    第12章 エピローグ

  •  小学5年生か6年生の夏に、ハインラインの『赤い惑星の少年』を読んだ(年がわかるが、すでにそのときこの物語は古典に近かったはず!)。話はまったく覚えていないけれど、解説の中に“もし火星人がいるとしたらどんな姿か”という項目があって、火星は地球より重力が小さいから地球人より背が高いだろう、火星は地球より気温が低いから全身に毛が生えているだろうと、雪男みたいなイラストが添えられていた。幼い私は感動した。これが科学か。私は夏休みの自由研究に火星についてまとめた(火星人について書きたかっただけ)。担任は花丸をくれて「将来は天文学者ですね」と書き添えてあった(先生、残念ながらその能力はありませんでした)。

     で、この『まじめにエイリアンの姿を想像してみた』は、あの火星人解説の高級大人版である。いや、最初はお笑い本だと思って読み始めたのだよ。著者自身「おそらく、みなさんがいちばん知りたかったのは、彼らが緑色なのかどうかだろう」なんて言っているように。

     しかしこれはまじでまじなまじめな科学本だった。著者が「みなさんは、本書が地球外生命体についてのみ書かれた本だと思っていたかもしれないが、実際には生命一般、つまり最も基本的な意味におけるあらゆる生命に関する本であり、ほかの惑星の生命に負けず劣らず、地球の生命について扱っている。」と言っているように。これが科学だ!って思ったよ、再び。

     物理法則。自然選択。ゲーム理論。このような地球人類の発見が、(少なくとも)この観測可能な宇宙においては普遍の法則なんですな。すごくないですか?

     中学や高校において、この本をネタにそれぞれの専門分野を学ぶというのはどうか? (私のような理系がダメな生徒でも)好奇心を持って学べるのではないか。

     著者は動物学者でこのエイリアンについてはNASAの研究の一環のようだけど、ほんと NASAってやってんなぁ。
     いやーワクワクした本でした。

     おまけ。自然選択についてのお気に入りのお言葉。「自然選択には“設計図(デザイン)”もなければ“設計者(デザイナー)”もいない/突然変異にメリットがあるのは、ひとえに進化には先見の明がないからだ!」。

  • タイトルこそSFのようだが、現代生物学・進化論の知識から、生物の本質とは何かを追求した至極まじめな本。それは地球の歴史を生物誕生以前に巻き戻して再び動かし始めたとしたら、現在と同じような生物世界が再び出来上がるかという思考実験に近い。ここからさらに一歩進めて、環境を設定してどのような生物が生まれるか科学的に予測するところまで行くとさらに面白いとは思うのだが、さすがにそこまで行くとSFの範疇かな。

  • <目次>
    第1章  はじめに
    第2章  形態vs機能~すべての惑星に共通するものとは?
    第3章  動物とは何か、地球外生命体とは何か
    第4章  運動~宇宙を走り、滑空する
    第5章  コミュニケーションのチャネル
    第6章  知能(それが何であれ)
    第7章  社会性~協力、競争、ティータイム
    第8章  情報~太古からある商品
    第9章  言語~唯一無二のスキル
    第10章  人工知能~宇宙はロボットだらけ?
    第11章  私たちが知る人間性
    第12章  エピローグ

    <内容>
    タイトルに惹かれて購入。しかし当たり前ながら難しい本だった。要するに生き物として、宇宙共通のものを考える。その前提は生物学や物理学、化学と言った学問の積み重ねで、それをSFではなく、科学的に冷静に分析していき、いわゆる宇宙人の実在性(これはいるとしている)とその形態や知性などを分析している至極真面目な本である。外国の本の典型として、しつこいほど証拠を並べていくので、本は厚くなる。動物学を(著者は動物のコミュニケーションなどを主に研究する学者)専門とする。その知的蓄積がここへの興味を持ったのであろう。

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