- 柏書房 (2025年4月12日発売)
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感想 : 26件
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784760156306
作品紹介・あらすじ
「最初に『何かすごい』と思い、それがずーーーーーっと止まらず、一冊全部がそうだった。」
――斎藤真理子(翻訳家)
デビュー作『優しい地獄』で読書界に衝撃を与えた、ルーマニア出身の文化人類学者イリナ・グリゴレ、最新作。
娘たちと過ごす青森の日々。ふとよみがえる故郷ルーマニアの記憶。そして、語られてこなかった女たちの物語――。
「彼女の人生をスクリーンのようなものでイメージとして見せられたら、彼女の語らなかったことが見えて、あの夜ニュースを見た人たちも彼女を理解できたかもしれない」(本書より)
虚実を超えて、新たな地平を切り開く渾身のエッセイ。
今までに書かれたどんな日本語よりも、鮮烈なことばをあなたに。
みんなの感想まとめ
フィクションとノンフィクションの境界を巧みに行き来し、女性の声を掬い上げる新たなエッセイが描かれています。青森での日常生活を通じて、娘たちとの交歓や自然との触れ合いが鮮やかに描かれ、同時に女性たちの語...
感想・レビュー・書評
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『優しい地獄』が鮮烈だったイリナ・グリゴレさん二冊め。今作は、フィクションとノンフィクションの境界の物語が印象的だった。
インスタレーション、今回もまた知らなかった言葉に出会った。聞いたことはあったかもしれないが聞き流していたと思う。
イタコ的な役割を担って無名の人々の声を掬い上げるような、聞き書きのようでもある物語があまりにも痛くて苦しかった。これはわたしたちの物語なのだと思った。今回は読むのがつらい気持ちのほうが強かったため、いつか再読したい。
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どうしても一冊目に読んだ「優しい地獄」と比較してしまう。好き好きだが、私には一冊目の驚きが今回はそれほど感じられなかった。
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イリナ・グリゴレのエッセイ2作目。デビュー作と対になるような鮮やかな青い装丁が目を惹く。
青森での日常、娘たちの他愛ない、けれど眩い感性に触れる。
「コロナくん」
「鬼は来ない日もある」
「逃げたパン」
ナメクジの気持ちを綴った文章もある。
虫や植物、小さな命との交歓が鮮やかに感じられる。
そして「みえないもの」というタイトルには、弱者としての女性の知られざるエピソードも含まれている。
「彼女」の物語はフィクション・ノンフィクションの堺を越え、みえないものを映し出す。
女性として生きる中で晒される暴力。結婚や出産といった祝い事の影で抑圧された女性の魂の声にならない言葉をすくい取る。
誰か自分に触ってほしいときもあった。でも自分は叩かれるばかりの身体で、子供を産む以外何もできない。
結婚式も挙げたけど全てが演技のようだった。幸せになったことが一度もなかった。それでも自分は良い妻、良い母親であることには変わりない。料理も得意。あの日のことをどうしても忘れることができない。
ここ最近の私の疑問ー生物の身体、物体の経験は普遍的ではないことが確かなのに、なぜ社会は普遍的にしようとしているのか。社会とは何?誰?
世界は見えないものでできている。 -
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◆他者の痛みと混ざり合う記憶 [評]ひらりさ(文筆家)
<書評>『みえないもの』イリナ・グリゴレ 著:東京新聞デジタル 2025年6月29日...◆他者の痛みと混ざり合う記憶 [評]ひらりさ(文筆家)
<書評>『みえないもの』イリナ・グリゴレ 著:東京新聞デジタル 2025年6月29日 有料会員限定記事
https://www.tokyo-np.co.jp/article/415340?rct=book2025/07/01
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題名に惹かれて借りました。作家の名前を見ててっきり翻訳物であると思い込んで読んでいたら、ルーマニア出身の人類学者による日本語で書かれた作品で驚きました。文字数もページ数も決して多くないのだけれど、底の見えない、果たして底があるのかどうかも分からない静かな暗闇と相対するような不思議な感覚になる文章で、一気に引き込まれました。身の回りの自然の描写がすごく素敵で2ページ読んだところで「これはちょっと読む心の準備をしてから読みたい」というような気分になって中断し、改めてゆっくり静かな気持ちで読み進み、導入部分は自分が子供だった頃の気持ちを思いだしながらワクワクしながら読んでいましたが、中盤から後半は「私」と書かれていた語り手が徐々に「彼女」に入れ替わっていって、女性性が生来背負わされている「呪い」のようなものを抽象化したようなフィクションになっていて、哀しみや苦しみに共鳴するような気持ちで読了しました。他の作品も探して読みたいと思います。
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こんなひとが近くにいたら、どんな手を使ってでも友だちになりたいと思った。みずみずしい感性が光る文章はもちろんのこと、挙げられているカルチャーがどれも好みすぎる。
アンドレア・アーノルドの映画、『Trance and Dance in Bali』、『世界の宗教大図鑑』、日本酒とよく合うアカシアの花の天ぷら、眠れない夜のLeo Welch。
温泉、ラジオ、踊ること。わたしも大好きだよ〜、気が合うなぁ…。
たんぽぽ綿を「かわい子ちゃん」と呼び、綿飴を食べさせようとする娘さん、ほんとうにかわいいし、ひいてはグリゴレ家全体のセンスを感じる。
終盤は、みえないものとしての女性の物語を、まさに口寄せするかのような臨場感があって、息を呑んだ。『優しい地獄』も読みます。 -
“お喋りが得意な人と下手な人は生まれつき決まっていると思う。そして人が人を選ぶ。この場合、私は人間より機械のほうがいい。機械のほうが冷静だから。人が客観的になるのはただの妄想だから。”(p.124)
“ここ最近の私の疑問ーー生物の身体、物体の経験は普遍的ではないことが確かなのに、なぜ社会は普遍的にしようとしているのか。社会とは何? 誰?”(p.105)
“「私じゃない」、「私じゃない」と泣き始めた。この世を傷つけているものは私ではない。麻酔で動かせない顔の半分で泣く。だから戦争がまだあると思った。イライラしてクラクションを鳴らしたのは後続車の男だ。でも私が泣いたのは誤解を受けたからではない。女の子の眼を見て泣いたのだ。私たちはあの人と同じ世界で共存しないといけない。お互いのことを何も知らないまま。彼は知ろうとしない。雪の中を歩く白い犬が綺麗。あの犬になりたい。”(p.145) -
「世界は私なしで回っていくが、私にしかできないことがある。」
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世の中にはびこる、"彼女"たちへの暴力
暴力に溢れた世界で、自然を見つめる著者の優しいまなざし(いや、もともと人間は自然なのだという考え)が際立つ
人間は色々すぎて、みえるものとしての社会通念のもとで暮らしてると、みえないものが多すぎるのだな -
パラパラーっとみたときに目に入った、無印の性別に関係のないズボンのところが気になって読んだ。日常の話からふっと過去やフィクションの話になって、またふっと日常に戻ってきたり、来なかったり、接続があやふやで不思議な気分になった。
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現実のことを書いているのに別世界をのぞいているような?自分を律している理性とか、自分の中のいろんな人格とかの縛りが緩んでいった先の文章という感じがする。チェルノブイリとか、病とか、子育てとか、超、現実的事柄なのに。イワナや雪や、故郷の森や虫のお墓や、思い出のヴェールを纏って描かれていてとても美しい。
抑制がなくなって混乱してるのとは違う。理性的なまま、大脳新皮質の働きが薄くなってる感じ。不思議な文章だった。 -
出版社(柏書房)のページ
https://www.kashiwashobo.co.jp/book/9784760156306
内容、著者略歴、目次
エッセイは苦手で、文化人類学や民俗学はさらに苦手。それでも最後までページを閉じることがなかった。
10代で結婚し毎日殴られて子どもを産み育てる結婚生活。じゃがいも袋を殴るようにという慣用句のある世界を想う。 -
なんか文章の感触が好き。
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佐賀大学附属図書館OPACはこちら↓
https://opac.lib.saga-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BD11300500 -
人類学者と亡命作家は似ているんだな。母国語の構造が使えないし、プレーンな言葉を駆使するしかないし、構造化も自力でしなければならない。だけどそうすることで、驚かれるような視点が各世界に持ち込まれる。
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この作者を読む楽しみは、紹介される文化人類学の数々、それらに関連した映像を深読みすること。
『バリ島におけるトランスとダンス』をみて衝撃を受けた。
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著者プロフィール
イリナ・グリゴレの作品
