怒りをコントロールできない子の理解と援助―教師と親のかかわり

著者 :
  • 金子書房
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本棚登録 : 84
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784760821617

作品紹介・あらすじ

友だちとのトラブルで暴力をふるう。授業を乱す。叱られると暴言を吐く。突然「きれて」怒りに支配されてしまう小学生を、どう理解し、援助するか。子どもの心理療法の専門家が、新しい視点と具体的な実践例を豊富に提示する。

感想・レビュー・書評

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  • 2004年出版 臨床心理士 大河原さんは臨床に携わって22年(←出版当時)だそうです。この本を読み学校の教師も大変なんだなぁ…と思った。教師やスクールカウンセラー用に書かれた本らしいですが親でも十分に役に立つ内容です。かなりの良書。

    怒りのコントロールが出来ない原因やそうなってしまうメカニズムが詳しく解説されていて驚きでした。深いです。

    第1章の感情の発達とプロセスは乳幼児とスキンシップがなぜ重要なのか丁寧に説明されていてすべてが腑に落ちました。あとは私は子供に対して安全・安心の基地になるために働きかけることがうまく出来なかったんだと…ショックも大きかったです。育児前や子育て中に読みたかった。もっと早く知りたかった。

    快・不快、安心感・安全感。「感情の社会化」、「成り込み」「巻き込み」、ネガティブな感情。言語と非言語。解離、PTSD、EMDRなど。


    おわりにでも触れられていますが、幼ければ幼いほど心の回復も早い。「小学生のうちに救わなければならない」という一文に心が痛んだ。成人や中高生になった場合のアプローチも知りたい。⇒次は『ちゃんと泣ける子に育てよう』を。


    ネガティブな感情を「そうだったのね、つらかったね」と、純粋に受け止めて承認する。

  •  学校でも社会でも、「怒りをコントロールできない子」は「問題児」と見なされます。
    だから「叱る」「指導する」という方法で対応されてきました。
    でもそれでは何も解決しない、かえって問題が悪化していくということがたくさん起きています。

     この本は、問題はどこにあるのか、その解決のために必要な援助はどんなことなのかを、先生やスクールカウンセラーのためにわかりやすく、具体的に書かれています。
    主に小学生の事例を扱っていますが、高校生でも同じようなことをたくさん見聞きしますので、学校の先生たちにお勧めしたいなと思いました。

     その中で、特にすごいなと思ったのは、大河原先生の「目」がすごく温かいんですね!
    子どもに対してはもちろんのこと、親や先生たちに対しても「あなたたちのしてることは間違っています! こうしなさい!」という目ではなく、「あなたが精一杯やってるのはわかります。でも限界を感じていませんか? だったらこうしてみたらどうですか?」という目なのです。
    うまく言えないけど…

     私も仕事をしているときに、そんなふうにできたらいいなぁ~と思います!

  • 「怒りをコントロールできない子供」の起こる仕組みと、その対処法を、適時わかりやすいイラスト(概念図)を使いながら解説してくれる解説書。

    前半は「なぜ切れてしまうのか?」という仕組みの解説。「ネガティブな感情の社会化」が行われていない環境にいる子供が、そんな感情を言語的領域では押し殺した結果、「解離状態」になって非言語的領域でネガティブな感情を表現してしまう、という仕組みは、実際のキレる子供を見ていて感じていた違和感や仮説をうまくまとめてくれるものだった。

    中盤は、そういう「成長発達システム」を経て今に至っている子にどう対処するかの解説。対処するにあたって、その生い立ちや本人の持つ障害ではなく、学校に「問題増幅システム」がないか?という観点で対処法を考えているのが興味深い。

    終盤は具体的な事例を使った対応策の紹介。東京学芸大の大学院で使われたという「キレた子がいる設定のロールプレイ」を紹介して、いい対処法と悪い対処法、そして「自分ならこうするかな?」的な議論を含めて、読み手にいろんなことを考えさせてくれる。

    キレる子はぶっちゃけた話「どうしてこうなるのかわからないし、どうしたらいいのかもわからない存在」。それに一定の筋道を立ててくれる、というだけでもありがたい。
    どうしてもキレた子に気を取られがちですが、「キレてない子も話を聞いてほしい」点も想起させてくれるのはありがたい。

    専門家がその知識を実際の問題に直面している人に合わせて提供してくれている、という印象。問題に直面している人には一読を勧めたい一冊。

  • ネガティブな感情の社会化、がポイント。
    悔しい、悲しい、怖い、怒り、嫉妬、などなどの感情を認め、外に出させてあげること。

  • 援助の仕方が分かり易く、具体的に示されていた。
    とにかく、援助者は子どもであれ、大人であれ、対象者を受容する事が大切。そうする事で全てが落ち着きを取り戻す。

  • ①発達において個人の基本的感情喜怒哀楽が社会化されるのがまず第一段階である。他者に対する感情(たとえば「思いやり」)とはそのうえで発達する二段階めのものなので一段階目が獲得されないと二段階めは構築されていかない。
    子供にとってことにネガティブな感情を共感的にくみ取ってもらい承認してもらい感情を言語化してもらうことは重要なのである。
    ②子供が真の意味で良い子に育つことを願うことと
    他者から見て良い子であることを願う(言語的には愛していないというメッセージ)あるいは親に対して良い子であることを願う(非言語的には愛していないというメッセージ)、ということは”両立しない”。
    ③対話の文脈と質は相手の発言のどこに焦点をあてて反応するかで決まる。

    特に①と②の仮説にはうなづかされた。

  • 学校での子どもとの関係を、怒りという負の感情も共感して受け止めてあげる方法や、グループの中の負の感情をどう扱うかについてわかりやすく書いてある。対保護者に対しての関わりも具体例があり、心理学がベースにしっかりとあり、納得させられる。何回も手に取りたい本。

  • ネガティブ感情の大切さを教えてくれる本。自分の感情で生きることができるためには、困難や苦悩を抱えつつ生きる「耐性」
    が必要。解離する能力と混同しないこと。子どもの体からあふれてくるエネルギーを大人の指示に合わせてぴたっと止められるような感情が発達すると暴発してしまう。
    子どもに合わせる「成り込み」と大人の願う方向に向かって子どもの感情を調整する「巻き込み」。両方の側面のバランスを意識することが乳幼児との関係で大切。

  •  会話形式で進められているこの本は、学校の先生が具体的な対応をイメージできるとても参考になる本ではないでしょうか。
     しかし、子どもから激しい怒りをぶつけられたら、とても、冷静ではいられないと言うのがほんとうのところのような気もします。そこで、このような本に出会うと、自分の前では子どもが自分の感情を表出してくれたのだと多少ポジティブに発想の転換を図ることができそうです。
    そして、感情のコントロールにつまずく子どもだけではなく、その周辺の子ども達への対応も丁寧に考えようとしているこの本は、答えはないけれど、我々大人が一人一人の子どもの心の育ちにいかに関わるべきかを丁寧に導いてくれるものだと感じました。
     これまで、集団においては、子どもの反抗や感情の露出をおさえるべきものであり、統一や統制をよい姿として指導の強化を進めてきた生徒指導や管理職の先生方には是非読んで頂きたい本ですね。

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著者プロフィール

東京学芸大学教育心理学講座教授、博士(教育学)。臨床心理士・家族心理士・学校心理士。1982年東北大学文学部哲学科卒業。児童福祉施設の児童指導員として勤務の後、1993年筑波大学大学院修士課程教育研究科修了。精神科思春期外来、教育センターなどの非常勤相談員を経て、1997年東京学芸大学助教授、2007年4月より現職。専門は子どもの心理療法・家族療法。著書に、『怒りをコントロールできない子の理解と援助―教師と親のかかわり』(金子書房、2004年)、『ちゃんと泣ける子に育てよう―親には子どもの感情を育てる義務がある』(河出書房新社、2006年)、『子どもたちの感情を育てる教師のかかわり―見えない「いじめ」とある教室の物語』(明治図書、2007年)、『心が元気になる本』全3巻(監修、あかね書房、2008年)がある。

「2015年 『子どもの感情コントロールと心理臨床』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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