いま、都市をつくる仕事: 未来を拓くもうひとつの関わり方

  • 学芸出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784761512934

作品紹介・あらすじ

都市における課題の変化とともに、都市をつくる仕事も大きく変わっている。そこには、従来の枠組みを超えて、信念と情熱をもって働くことで都市を魅力的にしている人たちがいる。本書では、その多様なアプローチによる「都市」のつくり方と、どうやって「仕事」につなげているかを探った。新しい可能性と期待を若者へ伝える。

感想・レビュー・書評

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  • 事例が割と多くのっていたので良かった。

  • 「いま、都市をつくる仕事」学芸出版社~編著者は、なあんと、日本都市計画学会関西支部 次世代の「都市をつくる仕事」研究会という、固そうな団体。

    ところが中身は、イマ風のまちづくりがどうなっているかの見取り図:ヒト編、関西版。柔らかい。

    10の事例を取り上げてインタビューをしている。20~30代・・・若い!
    【コンサルタント兼NPO】
    泉英明:大阪の水辺再生
    若狭健作、綱本武雄(教え子の御主人):尼崎のまちづくり
    【行政】
    文山達昭:京都市職員、
    仲川げん:奈良市長
    【?】
    オダギリサトシ、岩田尚樹:OSAKA旅めがね
    高岡伸一、岩田雅希:ビルマニアカフェ
    JUN:中崎町サロン・ド・アマント天人
    【外部→コーディネーター】
    高林洋臣:此花の地域密着プランナー
    大島祥子:京都のまちづくりコーディネーター
    山崎亮:コミュニティデザイナー

    10の事例に加えて43人の若手に記述式のアンケートをしている。
    私のところには来ていない・・・そりゃそうだろうな。

    今、関西のまちづくりの現場がどうなっているのか、どんな若手がいるのかという見取り図が見える本だと思う。

    「都市をつくる」・・・都市はつくれんでしょう、個人では。市長でも。
    なのでタイトルは「いま、まちの魅力づくりの仕事」の方があっているのではないかと思う。

  • 都市をつくる仕事についてるひとは、工学部建築科…わたしは文系だけどこういうことに関わってみたい。大学2年の時のアーツマネジメント実践の授業がきっかけで、こんなにもアート、まちづくり、都市に興味をもつようになるとは思わなかった。

    「作品そのものをシンボル的に地域に取り入れるのではなく、既成の枠にはまらない創造的な表現やその活動”アーツ”を地域に入れることによって、関わりが薄れていた地域コミュニティを再生化する起爆剤として作用しているのだ。…インパクトのあるアーティストを呼んでくることからはじまり、継続すること中でクリエイターがそこに拠点を持ち、徐々に地域に根付いたイベントへと変化しつつある。…一時的な盛り上がりではなく常に”アーツ”がある地域へと変化している」

    「朝はモーニング、昼間は公園でたむろ、夜は銭湯へというように、この地域の人はまちを使うのが上手い」というのは此花区の話だが、住吉区もそうだよなと思った。わたしも住吉区に2年間通って、それだけ地域を感じてこれたということかな。

     大阪市立大学都市研究プラザの先生も載っていた。
    奈良ひとまち大学

  • 若手バージョンの仕事指南書みたいな感じですね。まちづくりでどう食べていくか。これ読んでると実際はまちづくりで100%仕事してる人ってほとんどいなくて、メインで仕事しつつ、どこかの場面でまちと関わっている人も割と多かったりする。
    まちづくりを志す学生に向けて!!という感じの本です。色々なシゴトのカタチがあってわかりやすく書かれています。

  • 曖昧で形はない。
    若者のやりがいのある新しい仕事としての形でまとめている。個人的な興味と街づくりを結びつける、そこに一般論は入り込む余地はない。

  •  あるところから記事の依頼を受けて、ジブンの活動しているNPO団体のメンバーとの出会い、つながりを見返している時に、本書に出会った。社会人になる時に思っていたことがあって、家庭でも、仕事でもない、社会・地域である「第3の領域」も大事にしたライフスタイルだった。まちづくりに関わっていく社会人としてのライフスタイルを模索していたあの時、本書と出会っていたなら、今よりもっともっとアグレッシブに活動することになっていったのではないかなと思う。(もちろん、地域活動を通して出会った皆さんの姿を見ていて、「地域のために働く」というビジョンが見えて、公務員への転職を選んだことも納得している。)
     働き方、ライフスタイルが大きく変容してきている。自分がどんなライフスタイルを作り上げていくのか、「まちづくり」の分野にこれから関わっていこうとする次世代の方たちが、どんなライフスタイルを目指していくのかを、ふと考えてみるのにはぴったりの1冊だ。

  • 最近は「コミュニティデザイン」、「まちづくり」に興味があり、手に取った一冊。
    本書は、日本都市計画学会関西支部が20周年を迎えるにあたって設置した、“次世代の「都市をつくる仕事」研究会”が取り組んできた活動の成果をとりまとめたもの。
    本書のテーマは、都市の「つくり方」と、それをどうやってプロとしての「仕事」にしていくかについて、事例を示しながら今後の展望を浮かび上がらせようとしている。

    ・これまでの都市計画やまちづくりの一定の成果により、都市の課題は、最低限の水準の確保からより身近な生活の質の問題へと変わってきている。
    ・人口減少をはじめ、私たちが生きている都市は大きなターニングポイントを迎えており、先行きの見えない大きな不安と小さな希望の両方が渦巻いている。
    ・いま、都市の未来と問うことは、これまで以上に私たちの生き方そのものを問うことと密接につながっている。

    10の事例では、関西を中心にそれぞれの立場でまちづくりに関わる人たちが挙げられている。
    特に、JUNさん、大島祥子さん、山崎亮さんの活動が個人的には気になった。
    これまでの都市計画→縦割り行政、専門家によるマスタープラン、縛り、窮屈、お決まりetcの中で箱物が次々にできあがってきた
    これからのまちづくり→ボーダーレス、行政×シンクタンク×市民、既存箱物の利用、リノベーション、本業+α、ワークショップ、コーディネーター、ファシリテーターetcでコミュニティの構築、維持

    これまでは、縦割りの仕組みありきの「都市計画」だったけど、これからは「生活(者)」が中心となって、その周囲に関係者が関わっていくイメージかな。
    フレームを組み直して、「生活(者)学」という領域で捉えたらいいと思った。まさに学際的研究領域!

    既存の「都市計画」の概念をとっぱらって、自分で「まちづくり」の仕事を創ったらいい。ただ、そこで食べていけるためのスキルは問われる。そこをどうクリアできるか。基本的にはやはり“コミュニケーション”のスキルだと思う。
    まちづくりに関わりたい若者にとっては参考になる事例が多い。

  • 人の関係性を生み出す取り組みを紹介。
    ただ人口の多い関西圏の都市での事例が多く、
    多様性を持ちづらい地方の中規模都市で同じようなことが出来るのかには疑問符が残る。

    奈良の ひとまち大学は少し調べてみる必要があるかな。

  • 「都市計画」から「まちづくり」への潮流のシフトとこれからの展望を、都市に関わる仕事に携わる人々からのヒアリングやトークでまとめた一冊。

    高度成長期下のスクラップアンドビルドによるハードの都市計画は、人々に住居を与えはしたが、その暮らしの質や都市そのものの内面的価値にスポットを当てることが稀であった。
    今日、景気の停滞とともにハードに対する投資が先細りし、都市というものに対するニーズも目に見えにくいソフト=サービスやコミュニティ(コミュニケーション)やニッチなニーズ、の領域に変わっている。このような現状の中で都市に携わる仕事はどのようなものがあるのかという問いに対する具体的回答、現実的なリファレンスとして有用な一冊。

    都市というものの定義が曖昧なために(しかしこれに答えるにはルフェーヴルの研究から当たらねばなるまい)非常に広汎な仕事が記述され、これからの方向性を示すという点ではまだ具体性に欠けるものの、本書の中の、これからの都市(の仕事)とはなにかという議論の道筋自体も、これからの都市=ひとつのネットワーク/人びと同士の関係としての都市という、今までにない都市の在り方を模索しているさまを良く表しているし、その理解を促すといえよう。

    また、この本は学会の関西支部が著したもので、事例として出てくるものが関西のものばかりであるということも示唆的である。

  •  前田さんのウォールで紹介されていて購入。

     日本都市計画学会と書いてあったので、あまり期待していなかったが、実際には、学者のご高説ではなく、現場にはいっている若者の活動録。

     まとまりはないが、なにかヒントが一杯。

     ちなみに、都市計画学会の震災後の最初の提言が基礎調査をやれっというのは、ちょっとがくっときたな。もちろん、学問的にはきちんと調べなければいけないのはわかるんだけど、2万人以上がなくなった被災地に対するメッセージが基礎調査かよ?と思ってしまった。

     なんか都市計画学会って、季刊誌を読んでも、学者と行政向けかと思っていたが、こんな若い人の動きもちゃんとフォローしていたんだね。見直しました。それとも関西だけ?

    ①「都市をつくる仕事」をするのは、やっぱり人。どれだけの人を知っているか、どれだけの人に知られているか、それによってできることが違ってくるし、何よりも関わる人に出会うことは楽しいことだ。(p214)

    ②コラボレーションには、これまでの人間関係や従来の仕事の仕方では困難な課題を解決できる可能性があるのみならず、次世代の都市をかたちづくり、新たな意味や価値を創造する、大きな可能性が潜んでいるように思われる。(p180)

    ③仮に大きな方向性が描けなくても当面の小さな方向性を見いだすことができれば、それが進むべき道の手がかりになる。霧の中にいるような海の上で、手がかりになるのが「小さな見通し」である。(p164)

     復興も大きな絵をかくのも必要だが、小さな見通しを積み上げていくプロセスを大事にしたい。

     なんか、若者、ばかもの、よそものの活躍で元気をもらいました。

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