スマート・テロワール : 農村消滅論からの大転換

著者 : 松尾雅彦
制作 : 浅川芳裕 
  • 学芸出版社 (2014年12月11日発売)
4.17
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784761513443

作品紹介・あらすじ

限界集落、市町村消滅!?本当だろうか。実は農業・農村にこそ成長余地がある。実現を阻んでいるのは、「瑞穂の国」幻想だ。余っている水田や休耕田を畑や放牧地に転換し、域内の工場で加工すれば、味はもちろん、価格も輸入原料による商品に負けないものができる。契約栽培で市場価格の30%オフを実現したカルビー元社長の提案。

スマート・テロワール : 農村消滅論からの大転換の感想・レビュー・書評

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  • スマートテノワールとは,「美しい強靭な農村の自給圏」のこと。グローバル化,中央集権化で疲弊する地方を再生するには,農村から始めないといけない。

  • 元カルビー代表取締役による農村再考論。ざっくりいうと、市場経済とは一線を画した食糧とエネルギーの自給圏(=スマート・テロワール)を確立することで、農村の現代的な価値を見出そうというのが概ねの論旨。

    日本を代表する食品メーカーの元代表取締役が、カール・ポランニーの「大転換」を引きながら、ゆきすぎた資本主義経済を批判しているのはちょっと意外だった。

    今でこそナショナルブランドとなったカルビーも、もともとは加工ラインに乗らない余剰農産物のえび、じゃがいもを有効活用することから始まったと。なぜか戦後活躍した経営者には、今の時代のギラギラベンチャーと違って、実直さと気骨が感じられる。

    細かいところに論が及ぶので、メモを取りながら再読する必要がありそうだ。「地方創生」のひとつの指針となる本だと感じた。

    「農村に働くのは利他主義であり、互酬に基づく経済です。それを理解せずして市場経済の利己主義で経営を行おうとしては農村部で成功できません。

    (中略)

    都市の経済とは異質の文化の柱を立てることが日本にとって重要なことを承知して関係を持ってください。都市では「かせぎ」が重要でも、農村部では「つとめ」からスタートします」p. 247

    なんとなく言っていることは坂口恭平のレイヤー論や、平田オリザの文化による地方の活性化とリンクするところがある。ちなみに著者の松尾雅彦さんはNPO法人「日本で最も美しい村」連合副会長(2014年当時)だそうです。

  • カルビーの社長さんの人生譚が面白くて購入したら、内容も面白かったという。
     市場主義に抗していくために生産から加工までのテロワールを地域に設立し、「東京に打って出る」って話。それは資本主義とどう違うのかはさておいて、理論化の詰まらないケチは経営者の具体的プランの面白さの前には無力です。
     時間を見つけてちゃんと読んでみよう。

  • スマート・テロワール?、元カルビー社長?と「?」のまま推薦された本。読み進めるうちに、高い理想と豊富な経験に基づく具体的な提案による憂国、そして日本再生の手引本であることがわかった。
    福澤諭吉の『文明論之概略』を引用しながら「自給圏をつくり、存続させていくために経済や食を独立させる。そうした自給圏の繁栄のうえに国家の独立が生れる(p205)」に強く共感し、何かできないかと考えさせられた。

  • 面白いか面白くないかと言われたら面白い。著者はキャリアを積んでおり、説得力がある。しかしながら、年配の方に特徴的と思っている熱い理想のような物が苦手な、私のような読者には少々くどい所もあるだろうし、女性を重視するという所を強調しすぎて、女性の読み手として違和感を覚えるところもしばしばあった。

    しかしながら、私はスマート・テロワールという発想をこの本で初めて知り、興味深く、しかも速く読むことができ、おそらく入門書としてはうってつけだと思われる。

  • 今後のわが国のあり方を農業政策を中心に論じた書。現在、時給率などの面からして農業は弱点とされているが、著者によれば、だからこそチャンスだという。
    そのために全国をスマートテロワールと著者が呼ぶ区域に分け、その区域の中で、食糧やエネルギーを自給するべきとする。方法は、休耕田や耕作放棄地となっている水田を畑にすること、畑で大豆やトウモロコシを栽培し、大豆関連産業で地元産の食料品を作り、トウモロコシで養豚業を興し、養豚業から出る廃棄物でバイオマス発電を行い・・・とロジックがつながる。
    どこまで説得力があるのか、自分の中では最終的に判別がつかなかったが、水田から畑作にというアイデアは参考になった。

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