モビリティ・マネジメント入門―「人と社会」を中心に据えた新しい交通戦略

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  • 学芸出版社 (2008年3月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784761524265

モビリティ・マネジメント入門―「人と社会」を中心に据えた新しい交通戦略の感想・レビュー・書評

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  • 2008-08-30

    京都府でモビリティマネジメント(MM)を実践されているMさんに勧められて購入したのですが,なかなか時間が無く読めずにいましたが, 先日,著者の藤井先生と委員会で,お会いする事がありましたので,それきっかけでちゃんと読んでみました.

    モビリティ・マネジメントというのは自動車や交通の対策として「道路を敷く」とか「ただひたすら撤去する」
    とかそういう比較的ハードなアプローチとは異なり,いわゆるソフトな施策を言う.

    特に,本書で主な対象となっているのは,利用者にコミュニケーションをとることによって,交通事情を緩和しようというアプローチ.
    日本では著者,藤井先生や谷口先生がまさに有名なようです.

    実際,海外でもオーストラリアのパースやアデレード,イギリスのロンドンなどで実施例が,あり,そのケースがかかれていた.


    本当に人海戦術的にも見えるが,各世帯にアンケートをとり,自動車中心の生活に対して,「あなたの家から職場やどこそこへは.
    こんな交通手段がありえますよ.こちらのほうが安いし,体にもいいですよ」みたいなコンサルティング的アプローチをとっていく.

    ちょっと,「え??」と思うのだが,論理はこうだ.

    そういうアプローチでも少しでもみんなの行動が変容すれば渋滞が緩和され,CO2排出が減り,事故がへり,みんなのためになる.
    とにかく,意識に訴えることや,情報提供をつうじたソフトなアプローチで社会心理学的は社会的(囚人の)ジレンマ状態,
    経済学的に公共財の浪費による外部不経済を縮小しようというアプローチ.

    この成果は「社会的便益計算」とよばれる,一つ一つの「便益」の積み上げで測られる訳だが,
    これで測ると投資対効果が10倍ぐらいの効果がパースなどでは生まれたという.



    さて,

    これは「コミュニケーションを図るだけで投資対効果で高い成績を収める効率がいいアプローチ」とはいうが,
    実際には自治体レベルでやると億単位で金がかかる.広告費は現代においてやはり高いものである.

    道路行政の公共事業にかかるお金が元々バカでかいから,それと「比したら安い」といういうイメージなんだろうが,
    やっぱり高いなあと思うのが庶民的考え.

    また,社会的便益の計算も,どこまで信用していいかは難しいトコロ.

    さらに,研究者・実行者も人間だからそこは必ずポジティブな数値決めになるようなインセンティブがかかってしまうので,
    自然と数値がゆらぐことも多い.

    そこは,土木系の研究で精緻化がはかられているのだろうが・・・・・,どんなもんなのかは,論文書いた人を信頼するしかないってのが実際なのかもしれない.

    また,ソフト故に施策による効果がどれだけの永続性を持つのかは明らかに未知だ.
    ソフトな施策でも特にコミュニケーションによる方法は行動変容から習慣・
    文化の形成まで浸透すればかなり永続的なのだろうが・・・・.個人の行動変容くらいで止まると忘却係数も大きかろう.
    やはり,自転車専用道の敷設,や利用ルール,インセンティブの設計といった周縁制御的なアプローチ,
    構造的なアプローチと合わせざるを得ないだろう.

    意識に訴えかけても,無意識がシステムを読み取り,自らにローカルに最適な行動選択へ促してしまう.それが人間だ.

    しかし,MMの中でふと気づいた重要な点は,これは公共交通機関のマーケティングだ!!という視点だった.

    市バスなどはほとんど宣伝をしていない.つまり,マーケティングが出来ていないではないだろうか?

    さらに,阪急や京阪といった私鉄でも広告・宣伝といったプル型のマーケティングはとっているが,訪問営業,
    販売促進的なプッシュ型のマーケティングをやっていないのだ.

    これは,どこか交通機関がお役所的で,企業努力を怠っている面なのかもしれない.

    そこを公的機関が代表して顧客にアプローチするのがMMの一つの面なのかもしれないなと思ったのでした.



    いずれにせよ,MMの事を知らない日本人は多いと思う.

    入門・啓蒙書としてはとてもいいのではないだろうか?

    われらが京都府の事例も載ってますし.

    是非に.

  •  都市や地域の移動において過度に自動車に頼る状態は、交通渋滞の助長や環境問題など様々な問題を引き起こしている。この問題を、公共交通や徒歩などを含めた多様な交通手段を適度に利用することで解消しようという取り組みのことを「モビリティ・マネジメント」と言う。
     本書では、国内外の様々な「モビリティ・マネジメント」の事例を取り上げている。ここで紹介されている事例のほとんどは、道路や鉄道などの新規建造などのハード面による解決ではなく、社会心理学を応用した地域住民や会社構成員へのコミュニケーションや学校における教育など、ソフト面からのアプローチ法である。
     従来、渋滞解消などの都市交通施策は、基本的に道路建設や拡張など多額の費用がかかる公共事業に頼ってきた部分があった。本書では「モビリティ・マネジメント」によってこのような費用をかけなくとも効果が出るケースがあることを理解できる。
     この手法は交通計画以外にも、防災対策や地域おこしにも応用をすることができると考えられ、都市計画や地域活性化などの手法について興味を持つ学生には、一読をお勧めしたい。

    ※現在の筑波大学学内循環バスの制度設計に関する記述もあります。どのような経緯で今の学内循環バスが運行されているのか知りたい人は、ぜひ読んでみてください。
    (2013 ラーニング・アドバイザー/シス情 SATO)

    ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら
    http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1430991&lang=ja&charset=utf8

  • 渋滞を起こさないために、公共交通機関を使う取り組みをしている。そうか、そもそも車に乗らなければよい、という選択肢があるのだ。

  • 勉強用。

    モビリティ・マネジメントとは何かをわかりやすく書いてある。

  • いかにして利用者を動かすかは重要です

  • ゆうき。

  • 公共交通の持つ可能性を最大限まで引き出す方法の一つは、利用者に積極的に働き掛けることである。「賢い車との付き合い方」を市民に広げていくことで、ライフスタイル・都市構造・交通システムの三位一体となった改革を進めていく。

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