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Amazon.co.jp ・本 (176ページ) / ISBN・EAN: 9784761524951
感想・レビュー・書評
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北欧(のデザイン)を扱う本にしては、チャラチャラしていなくて、建築や都市さらには文化、人柄にまで、冷静に迫る良書。
無駄を省いて本質に迫るストレートな言葉。
人々はみな平等だということを重んじる国民性。
週に40時間働き、4週間の夏季休暇さらに秋休みをとる。
平等性ゆえの公共交通、くつろげる居心地・日常生活を重視する。
「すべての人の権利」と銘打つ、森の中を自由に歩きキャンプしたりベリー・キノコを採ったりできるのもその流れ。
少し、(日本の)東北地方のようでもあり、あるいはどこにもない理想郷のようでもあり。(東北というのは、ヨーロッパのなかでの辺境の地というアイデンティティも似ているな…)
こういう感覚は、フィンランドの建築や土地や街並みに通じるセンスとも通じ合っているようにも感じた。
そもそもヘルシンキ市の土地の多くは市が所有しているもの。そこに住宅が供給されているというのが正確か。
そして、環境や歴史的建築物の保存や広告・看板の規制に市民が感度高く、誇りをもっていて、市の都市計画局や建築監理局がその番人機能を果たしている。
建築教育も、空間認識や課題をこなす能力、さらにグループワーク等での協調性などを重視しているというのが面白い。
マイホームの価格は土地より改修できまるというところにも、土地やデザインへの市民の考え方が表れているなあ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
フィンランドのことを話題にする学者の方が過去いて、(どなたか忘れてしまった)、全然フィンランドのことって知識がないなと思って気になっていた。
この本は、実際にフィンランドで設計をやっている建築家の書かれた本。
この手の本は、いいとこばかり書きがちになるが、それでも貴重な情報満載。
(1)これは日本だけ特殊なのだろうが、フィンランドの建築家はエンジニア部門とは切り離されて、デザイン、設計だけをやって、後は、構造関係のエンジニアと会話できる程度の能力を持っていることが要件とされている。(p95)
日本の建築士は、構造などの技術分野からデッサン、デザインといった芸術の分野までのオールマイティを求められていて、どちらも中途半端な気がするな。
(2)「土地利用と建築法」によって、国家地域利用目標、地方計画、都市計画、地区詳細計画の4層性の計画で、上位計画が下位計画を拘束する仕組みとなっている。(p79)
人口が少ないが、大きな国土を持つフィンランドで結構、国の計画目標がきちっと縛っていることに関心がある。日本だとこうはいかないな。分権論者がうるさくて。
(3)建築行為に対しては、都市計画部局と建築部局の双方が関与する建築許可が必要。(p89)
結構裁量性のある判断、たとえば地域との調和を建築許可でするそうだが、それを後押しする国民、市民の支援がないとこのような裁量性のある判断権をうまく実施することは難しい。
なんとなく、まだ、わかったようなわからなかったような状態だが、フィンランド関係都市計画の最初の読書としては大満足。 -
来年の夏休みは、フィンランドで過ごそうと思う。
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