地方で建築を仕事にする

制作 : 五十嵐 太郎  丸田 絢子  藤野 高志  岩月 美穂  水野 太史  蟻塚 学  蒲地 史子  島津 臣志  齋田 武亨  本瀬 あゆみ  水谷 元  佐藤 欣裕  岡 昇平  芳賀沼 整  片岡 八重子  魚谷 繁礼  辻 琢磨 
  • 学芸出版社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784761526276

感想・レビュー・書評

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  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/676617

  • 地方都市をフィールドに活躍する建築家の人たちのこれまでの来歴や仕事の様子を読んで、ライフスタイルというのが決して一様なものではなく、それぞれの場所や周囲との人間関係に応じて自由に作っていけるのだということを感じさせられ、勇気づけられた。

    建築家とはいっても、一般的にいう設計の仕事だけをしている方はむしろ少数派で、カフェなどの運営に携わっていたり、行政や地域の団体と地域おこしの取り組みに参画をしていたりと、様々な形で仕事をしている。

    また、それらが仕事というだけではなく、暮らしの一部に入り込んでいるという面で、いわゆる会社勤めが中心になった戦後の日本のワークスタイルよりも前の時代の姿に、帰って行っているような印象を受けた。地方の方がコミュニティのスケール感がそのようなライフスタイルに合っているのだろう。

    本書で原稿を書いている16名の中に、いわゆる大学での建築教育を受けていなかったり、仕事を始めてから建築をきちんと学び始めた人が複数いるというのにも、驚かされた。習うより慣れよとは言うものの、専門職のイメージの強い建築の領域で、このような形で仕事を始めることができるというのも、認識を新たにさせられた。

    おそらく、それぞれの方にかなりの苦労があったのではないかと思う。しかし、そのような中で仕事を一つひとつコツコツと積み重ねていくことで徐々に世界が開けていき、それぞれの人が今の生活を確立していっている。そのことが、全体を共通して最もメッセージとして伝わってきたように思う。

    16名の建築家がそれぞれに書いた文章であるが、どれもある意味淡々としていてドラマチックさを抑えたようなスタイルで書かれており、ある意味、そのような実直な向き合い方が、自立して活動していくために必要なのだろうと感じた。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/676617

  • 何で建築をやりたいのか?そう、もう1度考え始めた。

    15のパターンが並べられている。地方という場所で、建築というスキルで、それぞれの場所に根づきながら、新しい可能性を切り開いていく。地方で何ができるのか、地方だから何ができるのか、地方にこそ何かがあるのか。東京じゃなきゃ駄目なのか。結局、どこにいたって、それぞれに課題があるし、そこで生きる人たちの生活があって、それに対して、どう自分が関われるかという可能性が必ずあるということなんだと思う。地方は東京とは違う課題が溢れている。むしろその数は多いに違いない。これからの社会の方向性とそのために生じてくる問題に直結しているものばかりなんだとしたら、きっと、反対的に、その可能性はとても大きいのだろうと感じる。要は、捉え方。どういう視点で世界を見るのか。これまでにあった既成の捉え方を脱して、自分の中から生まれる自由な視界を広げられるのか。これからを生きていくために必要になってくることだと考える。そのために、地方で生きるということはむしろ可能性に満ち満ちているように思える。


    なーんて、こんな言葉を並べれば、いかにも建築家ぽいか。

    発した瞬間から後悔するみたいに、自分の言葉をどーでもいいことと思いたくなる。


    そう、いかにもこの本に描かれていることは建築の設計を行うことの、地方で生きることの可能性を綴っているものだなあと理解するけど、どれもが同じ話に聞こえるというか、まるで同じ文脈で作られていることを感じてしまって、なんかこういう風になりたい訳ではないと思ってしまう。建築を勉強し、建築を身につけ、建築を行う人たちが語る言葉だから、同じになるのは当然なんだろうけど、ひとつひとつのケーススタディが、実際にはまったく違うものだとしても、こうして並べ立てられたものを順番に読み進めると、すべてが同じ文脈をなぞっているかのように、まるでそこからはずれることができないかのうように、この目に映ってしまう。


    だから、考えるのだ。

    こんな風になりたいわけでは、自分はないんだと。


    建築家になりたいわけでは、きっとない。

    自分が取り出したものを、その瞬間に破棄することが許される。そのくらい、いろんなものが共存していることを許している。一緒くたになることが良いことだと考えている。

    そんな自分は、きっと何者でもないものになりたいんだろう。


    何で建築をやりたいのか。

    そうだった。ただ僕はそばにいるひとのためにパン屋を作ってあげたかった。


    たったそれだけのことだけでしかなかったので、それ以上のものはきっともう重すぎて、とてもなれそうではないのだ。

  • 多くの建築士さんの仕事ぶりを知り刺激になった。
    皆さんに共通しているのは、積極的だということ。
    受け身ではダメだということを学んだ。

  • 地方で建築設計を行う比較的若い建築家の生い立ちから独立までの経緯、独立後の仕事についてが綴られている。
    地方で建築することの魅力と難しさが伝わる本。
    教えてくれるのは、強くて明確な建築観をもっていないと本当の意味での建築は作れない、ということ。
    地方で建築するためには地域の人とのネットワークを築くことが大切。また、それが地方で建築することの魅力でもある。ただ、それが目的化してしまう恐ろしさがある。
    目的は建築すること。地方でも都市でもそれをしっかり持つことが大切なのだ。

  • 日本の建築業界のこれからもそんなに悪くはないのかなと思えた

  • 参考的な感じで

  • 【請求記号】5200:606

  • 人それぞれ思いを持って設計をしていることがわかります。
    設計の視点ではなく作り手の視点の本も出版してほしいです。

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著者プロフィール

1967年パリ生まれ。東北大学大学院工学研究科教授。博士(工学)。建築史・建築批評。1992年東京大学大学院修了。ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展2008日本館コミッショナー、あいちトリエンナーレ2013芸術監督。
主な著作に『過防備都市』(中公新書ラクレ、2004年)、『建築の東京』(みすず書房、2020年)、『様式とかたちから建築を考える』(菅野裕子との共著、平凡社、2022年)がある。

「2022年 『増補版 戦争と建築』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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