マーケットでまちを変える 人が集まる公共空間のつくり方

  • 学芸出版社 (2018年6月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784761526818

作品紹介・あらすじ

全国で増えるマルシェ、ファーマーズマーケット、朝市。閑散とした道路や公園、商店街を、人々で賑わう場所に変えるマーケットは、中心市街地活性化、地産地消、公民連携など、街の機能をアップさせる。東京&ロンドンで100例を調査し、自らマーケットを主催する著者が解説する、マーケットから始める新しい街の使い方。

感想・レビュー・書評

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  • 今でこそ当たり前になったマーケット、マルシェですが、海外ではすでに日常化しており、暮らしに根付いていることを感じました。
    日本の場合は都市部に集中して開催されていることが多いと感じたのは、ビルの区画内やオフィス街の公共の場で開催されているシーンをよく見かけたからでした。
    一方、海外では地方であっても自分の店の前に出店したり、公演で開催してることが多いようです。地方でも開催されているというのは大きな違いであり、廃れる街と生き残る街の決定的な違いとなる「人の交流」がしっかりとマーケット、マルシェをとうして作られているんだなと思います。
    ただ、マーケットは公共の場を利用することで価値が出てくるので、自治体が乗り気かどうかがとても鍵になってきます。
    私自身もそのような経験もあるため、自治体と仲良くならなきゃな〜と思いながら懐かしさも感じつつ読ませていただきました。

  • この観点での街おこしは初めて触れたのと、内容がかなり論理的で面白いです。

    ※タイトルのマーケットは『市場、マルシェ』を指す。

    事例もかなり豊富な時点でかなり有益なことは間違いないが、特に面白いのが収益などお金のやり取りを図化しているところ。そして、事例の幅も広く、世界に跨いだ話を展開している。

    どこか日本の良さを思い出させて、どこか日本が忘れた日本の良さに触れている印象を受けたことと、街おこし、広義で日本再興を行うヒントかもしれないなと読んでいる。
    この本の特徴であり良いところは、絵に描いた餅で終わらせず、最終章では著者がやって見ることで知見を共有していた。

    著者は慶應大学建築の博士号を取得されているということで上記の内容は納得。メインの分析対象はロンドンのよう。わたしも仕事でロンドン東部に行ったことがあるが、昼間に街を歩いておらず空気に触れることができていないので残念。

  • 脇坂真吏さんの「マルシェのつくり方、使い方」と裏表のような書籍。
    同書と同じく、マーケットへの関心の高まりから手に取り、購入しました。

    マーケットの可能性、特にまちづくりにおける意義について、ロンドンと東京の事例、さらには著者ご自身のマーケット企画・運営までの経験も題材に、やや学術的な要素にも触れながら紹介したものです。

    欧米やアジアで、地域の日常的なコミュニティの場となっているマーケットの、ツールとしての意義。
    こうした意義は、長い歴史の積み重ねから、広く公共的なものとして理解されながらも、日本においては(少数の事例を除いて)未開拓です。
    そのため、実験的な取り組みが各地で進められており、ガラパゴス的な進化を遂げていること。
    そして、誰でもはじめられるということ。

    途中で触れられている、日本各地のマーケット関係者へのインタビュー記事にも発見が多く、これからマーケットを始めてみようという読者に非常に有意義な内容と思います。
    あとは、やってみるだけ。

  • 学術論文ちっくな文体で、読んでいて気持ちは盛り上がってくる感じはないが、網羅的に書かれている感じはする。ただし、すでに成功しているマーケットの現状分析が多く、マーケットの立ち上げにあたってどうやって周囲を巻き込んでやっていくか、気持ちを盛り上げて説得するか、という部分は特に言及が少なく、肩すかしといえば肩すかし。

    インタビューも掲載されているが、もっと運営の現場レベルの熱量が伝わるテキストが入っていたほうが、タイトルと装丁からうける印象から想像された情報に近かったかなぁ、という印象。

  • 518.8||Su


  • マーケットの価値を、400人のインタビューを元に分類、多様な価値をまとめている

    個店の集合体、
    求められれば増えていくもので、自然に収束する。+育てていくことができる、

    マーケットが廃れて服屋さんが1店舗になっても、出店し続けるおじさんの一言
    「僕はこの地域のお客さんを知っているし、お客さんも僕を知っている。だから僕はここにいる」

    プレイスメイキング
    居場所作り

  • 東2法経図・6F開架 673A/Su96m//K

  • 日英のマーケット事例と効果、そしてつくり方。
    建築家らしく空間的視点のほか、運営スキーム、効果、制度と様々な観点からスポットを当てていて、本のボリューム・価格に対してお得感が高い。
    関連するトピックで注目の人々のインタビューも入っていることで、広がりが出ている。(それでももうちょっとマーケットの限界的な視点、批判的な検証があってもよかったかなとは思う。)

    それにしても、マーケットにほれ込んでいるというのが強くにじみ出ている。
    それが後半の自分でマーケットをつくった経験と、そこからの学びに最も現れているわけだけれど、こういった情報はとても有用。
    そこからシビックプライドを育てるという結びに、説得力と強さが出ている。

    日本のマーケットは新しい形で出てきて、ある意味自由にできる面に可能性があるというのには納得。(cf. NYでは市主導でかなりやられているが、日本に比べれば画一的と言える面も。)

    十分情報量があるだけに、他の国のマーケットはどうなんだとか、常設のマーケットとの違いはだとか、新たな疑問がわいてくる。

  • マーケットについて、利用者、研究者、設計者、運営者なと多角的な視点から整理した事例集。

    道路管理者や交通管理者の調整を突破するためのヒントがさらに加わっていくと面白い流れができそうな予感を感じます。

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著者プロフィール

O+Architecture主宰。1983年生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業後、渡英、設計事務所Foreign Office Architects ltd にて2006 年より2011年まで勤務。帰国後、慶應義塾大学理工学研究科勤務、2013年より同大学博士後期課程在籍、2017年博士号(工学)取得。現在は建築設計、行政のアドバイザー、マーケットの企画・運営、公共空間の研究などを行う。

「2018年 『マーケットでまちを変える』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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