サーキュラーデザイン 持続可能な社会をつくる製品・サービス・ビジネス

  • 学芸出版社 (2022年1月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784761528058

作品紹介・あらすじ

地球環境の持続可能性が危機にある現在、経済活動のあらゆる段階でモノやエネルギー消費を低減する「新しい物質循環」の構築が急がれる。本書は1)サーキュラーデザイン理論に至る歴史的変遷2)衣食住が抱える課題と取組み・認証・基準3)実践例4)実践の為のガイドとツールを紹介する。個人・企業・組織が行動に移るための手引書

感想・レビュー・書評

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  • 開発目標12:つくる責任つかう責任
    摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac.lib.setsunan.ac.jp/iwjs0021op2/BB50308090

  • サーキュラーエコノミーを実現するためのデザインについてとても良く整理されている。改めてデルフトでまとめられている設計観点を使えるようにしようと思う。

  • SDGs|目標12 つくる責任つかう責任|

    【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/770568

  • 資源→素材→製品→使用→回収→再資源化→

    「衣」
     CO2排出量ファッション産業が10%(UNEP)
     2030年には20億8000万t(Pulse of Fashion 2017)
     石油産業に次ぐ水資源利用(WWF)
     服の85%が廃棄(UNECE)
     海中マイクロプラスチックファイバーの35%が衣料の洗濯から(UNEP)

     微生物発酵による人工構造タンパク質
      スパイバー「ブリュードプロテイン」
     菌糸体(キノコ)由来の代替レザー
      ネファ「マイコテックス」、MYCL「マイレア」

    「食」
     フードシステムの温室効果ガス21~37%(IPCC)
     食糧の1/3、年間13億t がロスと廃棄(FAO 2011年)

    「住」
     天然資源使用量 1950年100億t未満 2010年700億t 一人当たり25~30t
     
    EMF Ellen Macarthur Foundation エレンマッカーサー財団
    IDEO+EMF
    NIKE  Circularity Guide 
    ソニーコンピュータサイエンス研究所 シネコカルチャー
    Precious Plastic
    IKEA Circular Product design guide

  • まず著者自身が文中で、

    「この手法を用いれば、誰もがサーキュラ―デザインを実践できます」といえる完全で唯一な方法は、ない。すでにみたように、サーキュラーデザインは環境・社会・経済や物質循環のみならず、局所的-包括的、現状改善-急進改革、現在-未来、個人-国家と、さまざまなスケールの中で、多様な人工物を対象とするがゆえにガイドラインが錯綜している状態であり、さまざまなジレンマを抱えている」
    p.204

    「本書は人口物を生産、消費させることで駆動する経済の先、つまり脱物質化の先にある脱消費社会に関する未来シナリオや未来洞察の手法などには触れられなかった。すぐに実行することが求められるデザインのうち、斬新的なコラボレーションによる対処可能な設計要件を中心に解説、紹介したためである。だが、根本的な変革を諦め、環境負荷を多少低減するとされる製品やサービスをデザインし、消費者が後ろめたい思いをせずに引き続き消費社会を享受できる世界をもたらしても、それは持続不可能である」
    p.235(おわりに-本書の内容と限界、展望)

    というように、本書がなにか革命的でインスタントな処方箋を提示しているわけではない。

    それはまさに「サステナビリティ(持続可能性)を持ったサーキュラー(循環型)な社会を実現するための人類のチャレンジ」そのものが、現実として未だそのような段階にあり、その姿を忠実に体系化したのが本書であるから当たり前のことであって、その実践と未来展望を描くことは、私たちが居るそれぞれの現場に委ねられている。

    一読しての感想は、「読んで学ぶ本」というより、社会をいかに更新してくかロードマップを描く際に、レファレンスして「使う本」という位置づけがふさわしいと思った。

    「局所的-包括的、現状改善-急進改革、現在-未来、個人-国家と、さまざまなスケールの中で、多様な人工物を対象とするがゆえにガイドラインが錯綜している状態」のなかで、これだけの情報量がまとめられているテキストは現状あまりなく、現場の手引きとして役に立つ一冊。

    大まかに構成をまとめると、前半部分で現代の「サーキュラーエコノミー/デザイン」に至るデザイン活動と研究の系譜が、続いて「サーキュラーとは」にまつわる課題の定義と現存する関連の認証制度について解説があり、現在進行中の衣食住のそれぞれの局面におけるトライアルの事例が紹介される。

    主要な目次を、以下にamazonから転載。

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    プロローグ サーキュラーエコノミーとサーキュラーデザイン
    1章|サーキュラーデザインとは何か
    1.1 科学としてのデザイン研究の胎動期:1940、50年代
    1.2 デザインリサーチ第1世代:1960年代
    1.3 デザインリサーチ第2世代とデザイン・アクティヴィズム:1970年代
    1.4 インタラクションデザインの台頭とエコデザイン:1980年代
    1.5 デザインを通した研究の台頭とサステナブルデザイン:1990年代
    1.6 サービスデザインの台頭:2000年代
    1.7 持続可能な未来を思索するデザインとエコロジー:2010年代
    1.8 サーキュラーデザインのフレームワーク:2010年代から現在
    1.9 サーキュラー「製品」デザインとデルフト工科大学:2021年現在
    1.10 サーキュラーデザインの包括的ガイドラインに向けて

    2章|サーキュラーデザインから見る、衣食住が抱える課題
    2.1 衣に関わる課題
    2.2 食に関わる課題
    2.3 住に関わる課題

    3章|サーキュラーデザインの現在--萌芽的事例
    3.1 衣のサーキュラーデザイン
    3.2 食のサーキュラーデザイン
    3.3 住のサーキュラーデザイン
    3.4 超域的なサーキュラーデザイン

    4章|サーキュラーデザインを実践するためのガイドとツール
    4.1 広く、サーキュラーデザインを理解したい人に向けた包括的ガイド
    4.2 サーキュラーデザインを実践してみたい人に向けた包括的ガイド
    4.3 ファッション、製品デザインにおけるサーキュラーデザインを実践したい人に向けた、実務経験者向けガイド
    4.4 露地作物をサーキュラーデザインの対象として育てたい人向けの実践的ガイド
    4.5 身の回りのプラスチック製品を収集、再資源化、再利用したい人向けの実践的ガイド
    4.6 製品デザインのサーキュラービジネスやデザイン戦略を考えたい人向けのガイド
    4.7 行政×デザインの領域に関心があり、サーキュラーエコノミーを行政施策としてデザインしたい人向けのガイド

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    個人的に気になったのは、やはり農林業にかかわる部分。

    特にワーゲニンゲン大学の「ピクセル・クロッピング」、ソニーコンピュータサイエンス研究所(Sony CSL)による協生農法(Synecoculture)、プロダクトデザイナー自身が地域に入り、森林資源を適切に管理して木工製品をつくるmagnoの取り組みをもっと掘り下げたいと思った。

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    Pixel cropping - WUR
    https://www.wur.nl/en/project/Pixel-cropping.htm

    ソニーグループポータル | AI Initiatives - 協生農法
    https://www.sony.com/ja/SonyInfo/sony_ai/synecoculture.html

    Magno(マグノ)|ずっと使い続けたいモノを集めたセレクトショップ - ZUTTO(ズット)
    https://www.zutto.co.jp/brand/brand_detail/107

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    本書で挙げられている各事例はとても先鋭的で可能性を感じられるものなのだが、これをどうやって広く社会のスタンダードにしてコミュニティとして循環型の自給モデルを実装していくか、ということには結構大きな壁もある。

    「ローレンス・レッシグは、人を動かす4つの力として「法」「規範」「市場」「アーキテクチャ(情報環境、あるいは物理環境のデザイン)」を挙げている。パタゴニアのようにインターネット前提のサービスとしてサーキュラーデザインが提供される場合、どのようなデザインによって実現しえるだろうか。分解しやすく、再資源化しやすく製品をデザインしても、究極的には「価値あるもの」として回収する/してもらうための各消費者個人の行動変容が極めて重要なデザイン対象となる」
    p.137

    市場、アーキテクチャの斬新的な構造転換は民間主導で推し進める一方で、公共セクターがこれを裏づけ、評価してロードマップを描いて実行する、というのも必要なのかもしれない。

    なにより、市民一人ひとりが生産消費者(Prosumer)として生産工程に関わる機会を持つことが必要であり、そのための場づくりは続けていかねばならない。

    話が広いので何ともまとめづらいが、大きな青写真を実現するためには、取り組みの優先順位づけと集中する必要がある。

    多すぎる課題/メニューの中から、それぞれの地域がなにをすべきか。一歩進んで、個別の状況にあわせた話ができればいいな、と思ったり。引き続き、あれこれぐるぐる考えている。

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    サーキュラーデザイン: 持続可能な社会をつくる製品・サービス・ビジネス
    https://book.gakugei-pub.co.jp/gakugei-book/9784761528058/

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著者プロフィール

1979年生まれ。英国王立ロイヤルカレッジオブアート・ファッションデザイン博士課程後期修了。芸術博士(ファッションデザイン)。慶應義塾大学環境情報学部准教授を経て、京都工芸繊維大学未来デザイン・工学機構教授。専門はデザイン学。共著に『クリティカルデザインとはなにか』(BNN新社、2019年)、『サーキュラーデザイン――持続可能な社会をつくる製品・サービス・ビジネス』(学芸出版社、2022年)、『サステナブル・ファッション――ありうるかもしれない未来』(学芸出版社、2022年)など、監訳書にアルトゥーロ・エスコバル『多元世界に向けたデザイン――ラディカルな相互依存性、自治と自律、そして複数の世界をつくること』などがある。

「2025年 『vanitas』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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