都市環境デザインのすすめ: 人間中心の都市・まちづくりへ

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  • 学芸出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784761531973

作品紹介・あらすじ

なぜ地方都市は魅力がなくなったのでしょう。その一因は誤った計画とデザインではないでしょうか。
これから必要なのは、住まいを重視し都心居住を誘導する都市計画への大胆な変更、自動車への過度の依存からの脱却、都市らしい文化・生活環境の再生です。
欧米諸国はもちろん、一部、国内でも先進的な取組が成果を上げています。
再生と持続のデザインを750枚の図版と、門司港レトロ、横浜、那覇など、著者の実績も交えて示します。

感想・レビュー・書評

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  •  とにかく時差ぼけを直すために、読書を続ける。

     この本は、職場の本屋でみつけて、購入。

     歴史から、交通など幅広い分野で、都市計画について、写真をたくさんつかって記述している。個々の記述にまったく違和感はない。

     もっと、直截にいってもいいのにと思う記述もある。

    (1)ある意味では、これまで狭い路地を潰し、広い街路を築造することが、近代都市計画の理想として掲げられてきた。しかし、あくまで自動車偏重時代の遺物なのではないか、との意見も台頭してきた。それは新たな時代への転換点の幕開けなのかもしれない。(p269)

     だめですよ。腰ひけてちゃ。まさに路地はのこすべきもの。幹線道路は別にすれば、むしろ路地を残したうえで、防災性、耐震性をどう建物側、ソフトの訓練、防火水槽の設置などで対応するかの時代だと思う。

     全部、区画整理で6m以上の道路にするなんていう発想は、まった時代おくれ。役人でもそう思うのだから、先生はもっとはっきり言ってくださいよ。

     おもしろい事例。

    (2)札幌大通りや北九州の小倉勝山橋では、あえて道路から公園に管理をかえて、柔軟な利用を可能にした。(p146)

     これは、警察庁所管の道路交通法をのがれるための便法としては使える。そうしたら、ボラードとか、ゲートとか、もっと機動的な仕組みで、軒先交通だけに限定した歩行者空間をつくれる。

    その他。

    (3)建築家の立場だけでなく、実際にビジネスを成り立たせるためにどうしたらいいか、そのためのインセンティブを生むような助成の仕方はどうか、といった経営的なセンスも、特にまちなかの再生には必要だと思う。

     それを、都市環境デザインという中でくくるべきかはわからないが、従来の補助金べったりの商店街行政自体も転換を求められているという意識ももっておく必要がある。

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著者プロフィール

芝浦工業大学名誉教授/㈱アプル総合計画事務所・代表取締役。
1951 年山口県生まれ。74 年東京大学工学部都市工学科卒業、槇総合計画事務所を経て、84 年アプル総合計画事務所設立、2005 ~ 17 年芝浦工業大学理工学部教授(環境システム学科)。専門は都市デザイン、都市計画から建築設計、景観設計まで幅広く実践活動を行う。代表的な作品・業務に、門司港レトロ地区まちづくり、皇居周辺道路景観整備、新潟駅駅舎・駅前広場整備、新宿モア街歩行者環境整備、葛飾柴又帝釈天参道周辺街並みデザイナー派遣、横浜みなとみらい21 新港地区景観計画、横浜山下町地区KAAT・NHK 街区施設建築物設計および都市デザイン調整など。
主な著書に『都市環境デザインのすすめ』(学芸出版社)、『まちの賑わいをとりもどす──ポスト近代都市計画としての「都市デザイン」』(花伝社)、共著に『建築・まちなみ景観の創造』(技報堂出版)、『まちづくりがわかる本──浦安のまちを読む』(彰国社)、『日本の都市環境デザイン(1/2/3)造景双書』(責任編集、建築資料研究社)、『都市をつくりかえるしくみ』(彰国社)、『別冊環ジェイン・ジェイコブズの世界1916-2006』(藤原書店)など。
その他、在京TV6局新タワー(東京スカイツリー)候補地選定委員会委員・幹事長、同ネーミング選定委員、都市環境デザイン会議・代表幹事、墨田区景観審議会会長を歴任。東京大学工学部・同まちづくり大学院、東京藝術大学、日本大学などの非常勤講師等も兼務。

「2018年 『水辺の賑わいをとりもどす』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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