- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784761919801
感想・レビュー・書評
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高校教師なので、この本に書かれていることすべてがおうようできるわけではない。
筆者の経験している「荒れ」の激しさも含めて、ここまで荒れている学校にいくことがあるだろうか、とも思う。
それでも、過去に「荒れ」を経験した身としては、「一貫性」のある指導や、生徒指導部が中心となって、学校全体で取り組む、ということに関しては参考になったし、これまでの指導を振り返るための具体例がいくつも紹介されていて、これからの自分の生徒指導の方針を立てる参考となった。
高校は中学に比べ、中間層ができにくく、すべて応用できるわけではないだろう。
中学でも指導の経験があるが、高校と比べ、中学のほうがどちらにもなりうる層ができやすいのが特徴であり、そこをどう指導するかで教科の指導のしやすさも変わるという印象があったが、学校の特色が出やすい。その分、荒れた生徒を「追い出す」こともシステム上可能であるが、一度崩れた体制を戻すのは並大抵ではないと感じている。とくに学習に対する態度は、学校間による差が生まれやすい。
けれども、服装・頭髪といった見た目の指導ばかりにこだわり、全体としての真の方針を出すことができていなかったと反省する内容であった。
学年だけで問題を解決してしまわず、学校全体として問題化し、方針をたてるというのも高校でも通用しそうだが、それぞれの先生がそれぞれの方針で行うという体制が習慣化してしまった学校では難しいとも思う。「全体で」行わなければうまくいかないことが多い。とにかく問題点を共有し、情報交換ができるような関係作りを心がけることが大切だと思う。
掃除指導、昼食時の情報収集など、筆者の体験談が非常に参考になる。特定の先生にしかできない指導ではなく、日々奮闘する多くの普通の先生がたに対して無理のない方法を提供していて、好感が持てた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
荒れには必ずルールがある―間違った生徒指導が荒れる学校をつくる。吉田順先生の著書。荒れる学校、荒れる生徒ができてしまう背景には、無責任な家庭と無責任な学校、無責任な保護者と無責任な教師がいる。吉田順先生のような実績と経験、熱意と信念のある教育者がもっと増えれば日本の教育環境ももっと良くなるはず。
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筆者が辛酸を味わった「荒れる学校」との格闘の中で生まれた本。「現場に即した説得力のある生徒指導のあり方が提示される良書」と評判です。OPAC → http://t.co/lz22fEUfTn
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校内がゴミだらけで器物が破損したり、校内を徘徊する生徒や遅刻をする生徒が後を絶たないような「荒れ」ている学校は、なぜ「荒れ」が起こり、拡がり、止められないのかということの原因となる間違った指導について紹介した本。学校全体の問題、指導部の問題といった組織の問題から、担任個人の問題まで、51の荒れの原因となる「ルール」が解説されている。校内暴力が盛んだった時代に中学教員になった著者が、これまでの経験から蓄えてきたノウハウを紹介している。
おれの学校はここまで荒れていないし、こんなに荒れてる学校なんて今どきあるんだろうか、とも思うが、蓄積されたノウハウの中には普段の生徒指導に役立つ事柄が満載だった。休み時間に生徒の様子や人間関係を観察する、席替えに気を配る、などはおれも意識して実践している。中でも「中間的集団」を育てる、というのは今一度意識したいことだと思った。いかに大半を占める中間的集団を良い方に持っていき、クラス全体から退廃的雰囲気を取り除くか、ということが鍵だと思う。他に「叱ることの意味」や、「清掃指導の方法」などが役に立った。おれの初担任のクラスはやたら教室が汚かった。教室を常にきれいに保つことのできる担任、というのを目指したい。
おれはまだまだペーペーの教師だから学校全体、とか指導部の運営といったところまで頭が回らないが、見返し部分には学校の指導体制、指導方法についてのチェック項目があり、荒れの程度が確認できるので、管理職の先生も(先生こそ)十分読む価値がある。(14/01/31)