クリティカル進化(シンカー)論―「OL進化論」で学ぶ思考の技法

  • 北大路書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784762821394

作品紹介・あらすじ

自分の周囲の人や種々の問題について,性格に理解し,自分の力で考え,適切な判断をしていくのがクリティカルな態度であり,その思考である。クリティカル思考は複雑化した現代社会に適応していく上でも必要となろう。本書では,ユーモアあふれる4コマ漫画を題材にわかりやすく楽しく身につけてもらうことをめざした。

感想・レビュー・書評

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  •  ダニエル・カーネマン「ファスト&スロー」で、人間は本来批判的に物事を考えることが苦手である、といったことが明らかになっています。
    要するに、「え、まじかよ?」とツッコミが入れられないのです。

     本書は漫画「OL進化論」を題材に物事を批判的に考える方法を伝授します。
    裏返すと人が陥りやすい思考のツボが明示されます。
     
     批判的というと、非難中傷をイメージされるかもしれませんが、そうではなくあらゆる可能性を想定する、つまりじっくり考えることを指します。

     よく、偏った見方をしてる人を見てイラっときたがことある人は、その偏りの種明かしがされるのでイチオシです。
    本書ではステレオタイプと断じて陥らないためのポイントを解説しています。

     非クリティカル思考者の一例として
    ・二分法論法
    AかBかでしか考えられない。敵か味方かといった具合に。
    例 A「アベノミクスは(経済学的に)正しい」 → 安倍政権支持者と決めつける
    (*政治に左派右派があるように、経済政策にも色々あります。)
    ・体験談論法
    一人の体験をあらゆることに当てはめようとする。
    例 ダイエットサプリの広告
    ・人身攻撃論法
    議論の中身ではなく論じてる人の方を攻撃する
    「あんな人に〇〇を語る権利はない」
    ・藁人形論法
    相手の言葉や立場を実際以上に極端なものに書き換えて攻撃する。
    例 A「甘いものは食べない」B「甘いものを食べている人を一方的に差別している。食べ物の好き好みでレイシズムに陥るのはよくない」

     ギャグ漫画を題材にしているので親しみやすいし、漫画を読んでから解説に入るのですっと頭に入ります。

     コラムで心理学者自身から心理学の実際が語られたエピソードは興味深かったです。
    人に好かれる秘訣がわかる、心理テストで本当の自分がわかる、心理学を学べば人の心が見透かせる、なんてよくある「心理学もどき本」のようにシンプルな答えを出してはくれないのだそうです。メンタリストなる人にハマってる人、この本を読んだ方がいいです。

     ところで、著者曰く「大学の先生は一度も世間に出たことがないので、言うことが現実的じゃない」と言われてしまうらしい(73ページ)
    ええ、40〜41ページのコラム「ある読者と筆者の仮想対話」にて、
    草野球でバカスカ打って快勝した話をする”読者”に対して、「それはどうかな?」なんて理屈をこねたらごく世間一般の人なら十中八九ブチ切れます。そんな仮想をするあたり、「現実的じゃない」と思いますが、おっとこれは批判的思考ではないかもしれませんね。

     僕が高校生の時に買った本ですが、出版年は、1999年。著者は60年代生まれ。長く読み継がれてる書籍なんですね。

     余談ですが、デカルトの方法序説を読んでしまえばそれでよし、と考えることもできるけれど、それだけじゃあちょっと…と言う人にオススメのハウツー本。

  • 批判的思考法の入門本。議論の基礎や注意すべき思考パターンなどが掲載されている。
    20年以上前に刊行されているが、本文は問題なく今日に通用する内容だった。

    引用されているマンガ内に、今日とはかけ離れた倫理感の話(職場でのセクハラ問題など)が少数含まれており、読んでいて若干ノイズのように感じた。

  • 何気に超長期連載マンガ『OL進化論』を読み説くことによって近年のOL観はどう変わっていくのだろうか? ということを知りたいと思い、図書館で検索した時に先ず引っかかった本。

    読んだら、全然そんな内容じゃなかった。

    OL進化論をテキストに論理的に考えるということはどういうことかを探っていきましょうねという本。
    主観と客観を分けて考えるとか。

    クリティカル=批評的に考える。つまり、ホントにそうかな? と検証する癖をつける。

  • クリティカルシンカーとは、他人や自分自身のこと、物事について正確にきちんと理解し、考え、判断できる人のこと。クリティカル思考のコツを4コマ漫画と文章でわかりやすく紹介。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40157014

  • クリティカル思考について大変わかりやすく説明しておられます。クリティカル思考はスキルとい後考え方がいいですね。

  • 特にスキーマの考え方は、とても参考になった。議論する際に、相手の話の前提やテーマを考えるようになり、かつ自分の話もどういった枠組みで話せばよいか、相手のスキーマと合わせようという意識が芽生えた。

    また、「~によって・・・が起きた」という分析を出す際に「~が無くても・・・が起きた」という事象が発生していないか、反証を探すことも学んだ。

    クリティカルシンキングは、相手の意見を批判するというネガティブなものというよりは、相手の意見を多面的に捉える考え方だと思った。

  • 4コマ漫画をもとにクリティカルシンキングについて紹介する本。
    「クリティカルシンキング入門篇:あなたの思考をガイドする40の原則」の訳者が手がけており、内容は信頼がおける。ただ、漫画化のデメリットだと思うが内容がシンプルだと感じたので物足りない。そのような人は上記の本をお勧めする。

  • 東2法経図・6F開架:141.5A/Mi13k//K

  • 批判的思考について漫画を通してわかりやすく学ぶことができました。

  • ■1冊目
    * 入手日20130109
    * 読了日20191227
    * 帯の情報。
    * > クリティカルシンキングはこれでわかった
    * 大学卒業時に、指導教員からプレゼントされた本のうちの1冊。
    * プレゼントされてから、約7年を経てついに読んだ。今までずっと読まなかった理由はとくにない。逆に、急いで読む理由もなかった。このタイミングで読んだ理由もとくにない。
    * 4コマ漫画の例を用いて、クリティカル・シンキングについて説明している。
    * 1テーマを見開きの分量で書いてある。

    ■2冊目
    * 入手日20160610

  • 「OL進化論」で学ぶクリティカル・シンキング本。

    「OL進化論」は、37巻(2015/12/22)まで出版されている秋月りすによる人気4コママンガ。

  • 「こんなはずじゃなかった」を解説

    所蔵情報
    https://keiai-media.opac.jp/opac/Holding_list/search?rgtn=K26687

  • ビジネス
    思索

  • 当たり前と言えば当たり前。
    ただ、ここまでシンプルに整理してもらえると、自分の頭がどういう状態になっているかを自認し易い。
    当たり前と感じた事自体が後知恵バイアスなのかも。

  • (仮説)
    情報受信者の思考や感情や行動が情報発信者に都合よく操作されることがある。

    (仮説)
    問題を自分で解決しようとする人は問題を具体的かつ正確に把握することに努める一方、問題を他者に解決させようとする人は問題に対して他者の注意を奪うことに努める。

    (仮説)
    クリティカル思考を身に付けると、思考が情報発信者に都合よく操作されにくくなる。


    【クリティカル思考を身に付ける方法の例】

    事実と意見(印象、感想、評価、提言、解釈、推測、仮説を含む)を区別する(混同しない)。

    部分と全体を区別する(混同しない)。

    真偽を判断する根拠となる事実が十分に揃っていない命題は仮説として扱う。

    他者の意見に対する態度を決めるときは、その人の肩書きやその意見に対する多数派の反応よりも、その意見の根拠とロジックを重視する。

    「認知バイアス」に注意する。


    小学5・6年生向けNHK教育番組「わかる国語 読み書きのツボ」の放送回「事実?意見? ~事実と意見を区別する~」のあらすじWebページには「事実と意見、この2つをどう見分けるか整理してみましょう。「事実」は、本当にあったことや、だれでも確かめられること。一方、「意見」は、その人が考えたことです。「光浦さんは運動が苦手だ。…頭がいい。…気が強い」。これは全部、文を書いた人が考えたことです。そう考える人もいれば、そうは考えない人もいます。本当かどうか確かめることができないので、これは「意見」なのです。」という記述がある(2020/11/7現在)。

    (仮説)
    「プロパガンダの手法」に精通すると、感情や行動が情報発信者に都合よく操作されにくくなる(扇情・扇動されにくくなる)。

    (仮説)
    マスメディアが発信する情報は情報受信者の思考や感情や行動を操作しようとする表現やテクニックや方法の事例の宝庫。


    【Aの部分に書き手の意見が混入していることがある表現の例】

    「Aもまた事実である」

    「Aは厳然たる事実である」

    本のタイトル『なぜAなのか?』

    「bさんは「c」と述べ、Aしました」(「A」=「~する意欲を示」、「~を批判」、「~という考えを示」、「~という姿勢を強調」、…)
    ※(仮説)bさんの発言cに対する書き手による一つの解釈Aをあたかも事実かのように読み手を誤認させる目的でこの表現を使う書き手がいる。この表現が使われた文に対する読み手の反応は、書き手が恣意的に決めることができるAの内容や表現によって、左右されやすい。読み手の感情を刺激する内容や表現をAに含ませると、cよりもAの方が読み手の記憶に残りやすくなる。「Aするなんてbさんはひどい」、「Dさん(cの中に登場しないがAの中に登場する人や組織)はひどい」、などと読み手が反応することすらある。この表現は次のようにも応用できる。「記者のeさんは記事の中で「b氏の今回の発言は批判を呼びそうです」と記し、誰かがbさんの発言を批判することへの期待をにじませました。」

    「bさんはAを念頭に「c」と述べました」
    ※(仮説)Aの部分に書き手の解釈が混入している確率≒100%。他者の思考や心は事実として把握(直接知覚)できない。


    【書き手の提言(価値判断)を事実(または真の命題)っぽく表現するテクニックの例】

    「~すべきです」 → 「~することが求められています」

    「~すべきです」 → 「~する必要があります」
    ※「~するためには」という情報が欠落している。

    「~に注目すべきです」 → 「最大の焦点は~です」、「~が焦点になります」
    ※読み手の注意を書き手に都合よく誘導(misdirection)したいときにも使える。


    【客観報道の体裁を保ちつつ扇動的(または扇情的)な記事を書く方法の例】

    扇動的な発言をした人物の発言を記事の中でそのまま引用する。その発言の中で特に扇動的な部分を記事の見出しや最初の段落などにも繰り返し引用する。

    扇動的な発言をしていない人物bの発言cを記事の中で「bさんは「c」と述べ、Aしました」などと扇動的な内容や表現を含むAに変換して表現する。Aの中で特に扇動的な部分を記事の見出しや最初の段落などにも繰り返し使う。


    【社会の局所的・部分的な状況をあたかも社会全体の状況かのように読み手を誤認させたいときに使える、場の空気などに関して書き手が受けた印象を事実っぽく表現するテクニックの例】

    「波紋が広がっています」
    「不安が広がっています」
    「懸念が高まっています」
    「批判が高まっています」
    「反発が強まっています」
    「不信感が強まっています」
    「不満が集まっています」
    「疑問が集まっています」
    「注目を集めています」
    「関心を集めています」
    「疑惑を呼んでいます」
    「波紋を呼んでいます」


    (注1)これらの表現が(客観的な定義なしで)使われた文は、小学5・6年生向けNHK教育番組「わかる国語 読み書きのツボ」の放送回「事実?意見? ~事実と意見を区別する~」のあらすじWebページ(2020/11/7現在)で解説されている「意見」に該当し、真偽を客観的に検証できない。

    (注2)これらの表現が使われた文において「どういった人々の間で」や「どういった人々から」という情報が省かれると、社会の局所的・部分的な状況(について書き手が受けた印象)をあたかも社会全体の状況(についての事実)かのように読み手が誤認しやすくなる。


    (仮説)
    政権トップの発言に対して「政権に反対する姿勢を示している人々の間で」「波紋が広がっています」などと表現されうる状況が生じることは、言論も報道も統制されていない国では、珍しくない。


    【記者が記事の中で「波紋が広がっています」という表現を使うことで少数しか批判していない状況をあたかも多数が批判している状況かのように読者を誤認させる手順の一例】(仮説)

    多数が何かを批判している状況が生じたときに記事の中でその状況について、「波紋が広がっています」という表現を使うと共に、具体的に記述する。こうすることで「波紋が広がっています」という表現によって喚起される状況イメージを読者に植え付ける。

    少数しか何かを批判していない状況が生じたときに記事の中でその状況について、「波紋が広がっています」という表現を使うと共に、具体的に記述しない。こうすることで多数が何かを批判している状況を読者に勝手にイメージさせる。


    (注)集団現象Xに対して「多数がXしている状況イメージを喚起しやすい」という条件と「少数しかXしていない状況のときに使っても嘘をついたと断定されにくい」という条件の両方を満たす表現Yは同様の手口に使われうる。社会の局所的・部分的な状況をあたかも社会全体の状況かのように読み手を誤認させたいときに使える、場の空気などに関して書き手が受けた印象を事実っぽく表現するテクニックのほとんどは表現Yに該当する。


    (仮説)
    「出来事+専門家の指摘+街の反応」というフォーマットのニュースはプロパガンダに転用可能。


    【政治的主張を中立的助言っぽく表現するテクニックの例】

    「NPO法人AのメンバーBさんは~すべきだと提言しています」 →
    「専門家は~すべきだと指摘しています」


    (仮説)
    ある事柄についての専門家は複数存在し、それらの専門家の間で意見のばらつきがあることがほとんど。ニュースでよく使われている「専門家は~と指摘しています」という表現は「専門家の一人は~と指摘しています」と表現した方が正確な場合がほとんど。該当者が複数存在する程度の修飾語が「専門家」の前に付く場合(「~の専門家」、「~に詳しい専門家」、等)も同様。

    (仮説)
    記者の中には政治に関わる事柄Aについての複数の専門家の中から自己の主張に意見が近い一人の専門家を取り上げてその意見を「Aに詳しい専門家は~すべきだと指摘しています」などと表現して報道することがある人がいる。


    【客観報道の体裁を保った記事の中で記者が自己の主張を展開する手順の一例】(仮説)

    自己の主張を代弁してくれそうな権威(専門家、国際機関要職者、等)を見つける。

    その権威に自己の主張を代弁させるための質問を用意する。

    インタビューや記者会見などの機会にその権威に用意した質問を投げかける。

    質問への回答の中から自己の主張に都合のいい部分を切り取って記事にする。外国語による回答は自己の主張に都合よく翻訳する。特定の人や組織を批判していない内容の回答の一部を切り取って特定の人や組織を批判した内容の発言に記事の中で仕立て上げる場合、質問した記者の存在を読者に悟られないようにする。


    【記者が閣僚を失言問題に陥れる手順の一例】(仮説)

    閣僚の中で失言しそうな人物を見つける。

    その人物から失言を引き出すための質問を用意する。

    記者会見などの機会にその人物に用意した質問を投げかける。

    質問への回答の中から失言と受け取れる部分を切り取って記事にする。「~の発言は波紋を呼びそうだ」、「~の発言は批判を呼ぶ可能性がある」といったフレーズを記事に挿入する。質問した記者の存在を読者に悟られないようにする。

    その記事に対する一部の野党議員のリアクションを、それらの議員の扇情的なコメントを引用しつつ、新たに記事にする。「~の発言に波紋が広がっている」、「~の発言に対する批判が高まっている」といったフレーズを記事に挿入する。


    (仮説)
    出来事の全体像(議会中継動画、等)や発言全体(会見中継動画、訓示全文、演説全文、等)を調べて確かめると、出来事や発言の一部を切り取った歪曲報道に踊らされずに済む。

    要人の発言は記事の中で一部を切り取られた上であたかも発言全体かのように表現されていることがある。

    (仮説)
    外国要人の発言は記事の中で記者の主張に都合よく翻訳されていることがある。


    【真偽不明な発言内容を真実性の高い発言内容っぽく表現するテクニックの例】

    「~と述べた」 → 「~と明らかにした」


    ロイター通信の英語記事「Russia says it returns some troops to base in areas near Ukraine」(2022/2/15)には「Some troops in Russia's military districts adjacent to Ukraine are returning to their bases after completing drills, Russia's defence ministry said on Tuesday, a move that could de-escalate frictions between Moscow and the West.」という記述がある一方、ロイター通信の日本語記事「ロシア軍、国境から一部撤収と発表 ウクライナ外相は懐疑的」(2022/2/15)には「ロシア国防省は15日、ウクライナとの国境付近での軍事演習を終えた軍の一部部隊が基地に帰還しつつあると明らかにした。」という記述がある。

    (仮説)
    記者の中には、一つの記事の中でまたは複数の記事をまたいで、ある人や組織を形容する特定のフレーズ(分断が深まるA国、孤立を深めるBさん、躍進を続けるC国、…)をお菓子のコマーシャルのように繰り返し使うことでその人や組織について特定のイメージを読者に植え付けようとすることがある人がいる。

    (仮説)
    記者の中には自分が描写したいストーリー(善 vs. 悪、被害者 vs. 加害者、…)に合わない事実を省いて報道することがある人がいる。

    (仮説)
    同じニュース内容について複数のメディアの記事を比較すると、事実の一部を省いているメディアに気づきやすくなる。


    【2020/3/6の韓国による日本のビザ免除停止に関する日本の主な通信社・新聞社のインターネット記事の見出し】

    時事通信、2020/3/6、「韓国、日本のビザ免除停止 入国制限強化で対抗措置」

    共同通信、2020/3/6、「韓国、邦人ビザ免除停止で対抗」

    ロイター通信、2020/3/6、「韓国、日本人へのビザ免除措置を9日から停止へ」

    日本経済新聞、2020/3/6、「韓国、日本のビザ免除を停止 入国制限で対抗措置」

    NIKKEI ASIAN REVIEW、2020/3/6、「South Korea rescinds Japan visa waivers in retaliation」

    産経新聞、2020/3/6、「韓国、対抗措置を発表 日本人ビザ免除を停止、入国手続きも厳格化」

    毎日新聞、2020/3/6、「韓国、日本人へのビザ免除を9日から停止 新型コロナ対策に反発し「対抗措置」」

    読売新聞、2020/3/6、「ビザ免除措置停止など韓国が対抗措置…「日本から流入する感染症を徹底的に統制する」」

    朝日新聞、2020/3/6、「韓国、日本人のビザ免除を停止 事実上の対抗措置」


    WHOの2020/3/6記者会見で読売新聞記者の一人は次の質問をした。
    「I'd like to ask about Japan and Korea's travel restrictions. Both nations have been implementing travel policies against each other and in Japan part of the Korean measures are taken to be retaliatory. Can you tell us to what extent these travel restrictions are meaningful and do you have any concerns on countries countering and escalating against each other?」


    【WHOの2020/3/6記者会見での読売新聞記者の質問への回答に関する日本の主な通信社・新聞社のインターネット記事の見出し】

    時事通信、2020/3/7、「WHO、日韓に苦言 「政治的争い」回避を―新型コロナ」

    共同通信、2020/3/7、「WHO、日韓に争い戒め 相互入国制限、有益でない」

    ロイター通信、2020/3/7、「新型肺炎防止を最優先に、WHOが各国に要請 「日韓は政治争い回避を」」

    日本経済新聞、2020/3/7、「日韓にWHO幹部が苦言 新型コロナ巡る入国制限」

    NIKKEI ASIAN REVIEW、2020/3/7、「WHO slams Japan and South Korea's tit-for-tat travel curbs」

    産経新聞、2020/3/7、「【新型肺炎】WHOが日韓の入国制限めぐり「政治的争い不要」」

    毎日新聞、2020/3/7、「日韓ビザ免除停止 WHO「不要な政治的な争い」 新型コロナ」

    読売新聞、2020/3/7、「日韓相互の入国制限、WHOは「政治的論争にするな」」

    朝日新聞、2020/3/7、「報復的な渡航制限を懸念 WHO「科学的根拠が必要」」


    (注)WHOの2020/3/6記者会見での読売新聞記者の質問とその回答の中継動画はYouTube(「Live from WHO HQ - Daily Press Briefing on COVID-19 --Coronavirus 6MARCH2020」の14分28秒~18分14秒)で視聴できる(2020/11/7現在)。この記者会見を文字に起こしたものはWHOのPDFファイル「VIRTUAL PRESS CONFERENCE 6 MARCH, 2020 ON COVID-19」で閲覧できる(2021/12/9現在)。「Ctrl」+「F」やPDF閲覧ソフトの検索機能を使って「yomiuri」でキーワード検索すると該当部分を探すのが楽になる。


    日本のマスメディアはAをあおる(作用を1人以上に及ぼす)ニュースを報道しておきながらその翌日にはAを鎮めるように諭す(作用を1人以上に及ぼす)ニュースをでっち上げて報道することがある。

    WHOの2021/12/1記者会見で共同通信記者の一人は質問として次の発言をした。
    「Even after you sent out the advice last night saying that the blanket travel ban is not effective in preventing the international spread of the new variant, more and more countries are implementing such measures, like Japan. They are now banning all non-Japanese to enter the country. Could you please send a stronger and clearer message to the countries which are acting not based on scientific evidence?」


    【WHOの2021/12/1記者会見での共同通信記者の「質問」への回答に関する日本の主なマスメディアのインターネット記事の見出し(2021/12/2 17時半頃調査)】

    時事通信、該当インターネット記事なし

    共同通信、2021/12/2、「WHO、日本の対応「理解困難」 ウイルスは国籍見ないと批判」

    ロイター通信(日本版)、該当インターネット記事なし

    日本経済新聞、2021/12/2、「日本の対応「理解困難」 WHO、外国人入国禁止で」 ※共同通信の配信記事

    産経新聞、2021/12/2、「WHO オミクロン株 日本の対応を「理解困難」と批判 感染力の情報は「数日以内」に」

    毎日新聞、2021/12/2、「WHO、日本の対応「理解困難だ」 外国人入国の禁止措置を批判」 ※共同通信の配信記事

    読売新聞、該当インターネット記事なし

    朝日新聞、該当インターネット記事なし

    NHK、該当インターネット記事なし

    日本テレビ、該当インターネット記事なし

    テレビ朝日、2021/12/2、「オミクロン株感染力 WHO「数日以内に更なる情報」」

    TBSテレビ、該当インターネット記事なし

    テレビ東京、該当インターネット記事なし

    フジテレビ、該当インターネット記事なし


    (注)WHOの2021/12/1記者会見での共同通信記者の「質問」とその回答の中継動画はYouTubeのWorld Health Organizationチャンネルの日本時間2021/12/2午前1時頃の動画「Media briefing on COVID-19」(34分37秒~40分5秒)で視聴できる(2021/12/2現在)。この記者会見を文字に起こしたものは「WHO」Webサイトの「COVID-19 Virtual Press conference transcript - 1 December 2021」ページで閲覧できる(2021/12/3現在)。「Ctrl」+「F」やブラウザの検索機能を使って「kyodo」でキーワード検索すると該当部分を探すのが楽になる。


    (仮説)
    マスメディアの報道の中には正確ではない報道や公正ではない報道や記者個人の立場や信条に左右された報道が混ざっているという前提のもとでマスメディアの報道の中から正確ではない報道や公正ではない報道や記者個人の立場や信条に左右された報道を選別しながらマスメディアの報道を利用すると、マスメディアの報道に踊らされずに済む。


    【マスメディアの報道の中から正確ではない報道や公正ではない報道や記者個人の立場や信条に左右された報道を選別する手順の一例】

    マスメディアの報道の中から正確ではない報道や公正ではない報道や記者個人の立場や信条に左右された報道の確率が高い報道を選別する。

    選別された報道を精査して正確ではない報道や公正ではない報道や記者個人の立場や信条に左右された報道を選別する。


    【マスメディアの報道の中から正確ではない報道や公正ではない報道や記者個人の立場や信条に左右された報道の確率が高い報道を選別する基準の例】

    注意を奪われた。

    ネガティブな感情が込み上げてきた。

    誰かを非難したくなった。

    特定の主張に賛同または反対したくなった。

    正確ではない報道や公正ではない報道や記者個人の立場や信条に左右された報道として過去に選別された報道のときと同じような変化が自分に生じた。


    【正確ではない報道や公正ではない報道や記者個人の立場や信条に左右された報道の確率が高い報道を精査する方法の例】

    読み手のスキーマをゆがめる(または認知バイアスを誘発する)表現が使われていないか検査する。

    同じニュース内容について複数のメディアの記事を比較する。

    一次情報源から情報を直接入手し、内容を確認する。

    出来事の全体像(議会中継動画、等)や発言全体(会見中継動画、訓示全文、演説全文、等)を調査して確認する。

    プロパガンダの手法が使われていないか検査する。


    (仮説)
    NHKの国際ニュースの記事「「消毒液を注射」トランプ大統領の発言が波紋 新型コロナ(2020年4月25日 10時37分)」に対して「The White House」Webサイトの記者会見録ページ「Remarks by President Trump, Vice President Pence, and Members of the Coronavirus Task Force in Press Briefing Apr 23, 2020」とYouTubeチャンネル「The White House」の会見中継動画「4/23/20: Members of the Coronavirus Task Force Hold a Press Briefing」を調査して確認すると、このNHKの国際ニュースが正確ではない報道や公正ではない報道や記者個人の立場や信条に左右された報道かどうか選別できる(2020/11/8現在)。記者会見録ページでは「Ctrl」+「F」やブラウザの検索機能を使って「inject」でキーワード検索すると該当部分を探すのが楽になる。

    NHKの国際ニュースの記事「バイデン前副大統領 ラジオ番組の発言が人種差別的と批判の声」(2020年5月23日 8時25分)の最初の段落では「トランプ陣営や支持者を中心に」批判の声が上がっていると記されている一方、NHKの国際ニュースの記事「米ペンス副大統領 医療施設内でマスク着けず批判の声」(2020年4月29日 15時30分)の最初の段落ではどういった人々を中心に批判の声が上がっているかについて情報が省かれている。

    記事の中の「bさんはcし、Aするねらいがあるとみられます」という表現(「思惑もあるものと見られます」等のバリエーションを含む)において記者は恣意的にAの内容や表現を決めることができる。


    【「site:www3.nhk.or.jp “ねらいがあるとみられます” “トランプ大統領”」でGoogle検索してニュース・タブに表示される記事のうち見出しに「トランプ」という単語を含むNHKの国際ニュースの記事(6件)の中に記されているトランプ大統領のねらいと記事日付(2020/6/18調査)】

    姿勢を示すねらい、2020/6/17
    姿勢をアピールするねらい、2020/5/16
    支持者にアピールをしたいねらい、2020/6/4
    保守層に訴えるねらい、2020/6/11
    反発をかわしたいねらい、2020/6/16
    矛先をそらすねらい、2020/5/15


    【「site:www3.nhk.or.jp “ねらいがあるとみられます” “バイデン前副大統領”」でGoogle検索してニュース・タブに表示される記事のうち見出しに「バイデン」という単語を含むNHKの国際ニュースの記事(1件)の中に記されているバイデン前副大統領のねらいと記事日付(2020/6/18調査)】

    支持拡大をはかるねらい、2020/6/10


    【「site:www3.nhk.or.jp “ねらい” OR “狙い” OR “思惑” “トランプ”」でGoogle検索してニュース・タブに表示される記事のうち見出しに「トランプ」という単語を含む1か月以内のNHKの国際ニュースの記事(9件)の中に記されているトランプ大統領のねらいと記事日付(2020/8/7調査)】

    姿勢をアピールするねらい、2020/8/7
    姿勢を印象づける狙い、2020/7/22
    保守層に支持を訴えるねらい、2020/8/7
    保守層にアピールする思惑、2020/7/15
    批判をかわしたいねらい、2020/7/28
    批判をかわしたいねらい、2020/7/21
    批判をかわす狙い、2020/7/12
    態勢の立て直しを図るねらい、2020/7/16
    中国に参加を求めるねらい、2020/7/17


    【「site:www3.nhk.or.jp “ねらい” OR “狙い” OR “思惑” “バイデン”」でGoogle検索してニュース・タブに表示される記事のうち見出しに「バイデン」という単語を含む1か月以内のNHKの国際ニュースの記事(5件)の中に記されているバイデン前副大統領のねらいと記事日付(2020/8/7調査)】

    立場の違いを鮮明にしようというねらい、2020/8/7
    トランプ大統領との違いを強調するねらい、2020/7/29
    トランプ大統領との違いを打ち出すねらい、2020/7/22
    トランプ大統領との違いを強調するねらい、2020/7/15
    幅広い支持を集めたいねらい、2020/7/9


    (仮説)※2020年現在
    NHKの国際ニュースの記事においてバイデン前副大統領の言動に関して「アピールするねらい」(「アピールする思惑」等のバリエーションを含む)という表現が使われる確率はトランプ大統領の言動に関してこの表現が使われる確率より低い。例えば、「トランプ大統領との違いをアピールするねらい」という表現の代わりに「トランプ大統領との違いを強調するねらい」という表現が使われる。

    (仮説)※2020年現在
    NHKの国際ニュースの記事においてトランプ大統領の言動に関して「支持拡大をはかるねらい」(「支持を広げたいねらい」等のバリエーションを含む)という表現が使われる確率はバイデン前副大統領の言動に関してこの表現が使われる確率より低い。例えば、「労働者層への支持を広げたいねらい」という表現の代わりに「労働者を保護する姿勢をアピールするねらい」という表現が使われる。


    【NHKの国際ニュースの記事(2020/7/17 00:12~2020/7/23 14:06)のうち見出しに外国政府機関関係者の個人名または役職名を1つのみ含む記事(訃報を除く)20件の分類】

    見出しに「トランプ」という単語を含む×
    本文中に「ねらいがある」等のフレーズが使われている:6件

    見出しに「トランプ」という単語を含む×
    本文中に「ねらいがある」等のフレーズが使われていない:1件

    見出しに「トランプ」という単語を含まない×
    本文中に「ねらいがある」等のフレーズが使われている:5件

    見出しに「トランプ」という単語を含まない×
    本文中に「ねらいがある」等のフレーズが使われていない:8件


    (注)「ねらいがある」等=「ねらいがある」または「狙いがある」または「ねらいもある」


    (仮説)※2020年現在
    NHKの国際ニュースの記事においてトランプ大統領の言動に関して「ねらいがある」(「思惑もある」等のバリエーションを含む)というフレーズが使われる確率は他の外国要人の言動に関してこのフレーズが使われる確率より総じて高い。

    (仮説)※2020年現在
    トランプ大統領の言動のねらいが他の外国要人の言動のねらいより難解だということはない。

    (仮説)
    記事の中の文とその文から記者が恣意的に内容や表現を決めることができる部分を除去した文とを読み比べると、記者が恣意的に内容や表現を決めることができる部分が自分に及ぼしている作用を評価しやすくなる。
    「bさんは「c」と述べ、Aしました」 vs. 「bさんは「c」と述べました」
    「bさんはcし、Aするねらいがあるとみられます」 vs. 「bさんはcしました」

    (仮説)
    NHKの国際ニュースの記者の中にはある人や組織に対して読者が受ける印象を操作する目的で「ねらいがある」(「思惑もある」等のバリエーションを含む)というフレーズを記事の中で使うことがある人がいる。例えば、複数の記事をまたいで、ある人や組織の言動のねらいを表現する特定(いくつかのパターン)の類似のフレーズをお菓子のコマーシャルのように繰り返し使うことでその人や組織について特定のイメージを読者に植え付けようとする。

    NHK NEWS WEBの特集記事「コロナ危機、頼れるリーダーの3つのチカラ(2020年6月25日 20時03分)」には「アメリカや日本など10か国の首脳の支持率を継続的に公開しているアメリカの調査会社「モーニングコンサルト」の世論調査をみると、アメリカのトランプ大統領、ブラジルのボルソナロ大統領、安倍総理大臣では支持率が横ばい、もしくは低下する傾向にあります。一方、オーストラリアのモリソン首相やカナダのトルドー首相、それにドイツのメルケル首相の支持率は上がっています。支持を集めているリーダーたちにはどんな共通点があるのでしょうか。」という記述がある一方、「Morning Consult」Webサイトの「Approval Rises for World Leaders Amid Pandemic」ページに掲載されている表「Global Approval Rating」で3月11日から3月24日にかけて支持率が一番上がったのはイギリスのジョンソン首相となっている(2020/6/26現在)。

    (仮説)
    イギリスのジョンソン首相はNHK NEWS WEBの特集記事「コロナ危機、頼れるリーダーの3つのチカラ」の記者のNHKシドニー支局長とNHKベルリン支局長が描写したい「支持を集めているリーダーたちには「科学的な根拠に基づいた対策」、「コミュニケーション力」、「共感力」の3つの共通点がある」というストーリーに合わないので記事から省かれた。

  • クリティカルシンキング本の中で一番わかりやすい本です、漫画を使って説明が書かれています。

  • 社外講師オススメの一冊。漫画と解説で、入門書としてはぴったり。

  • 大学の講義で勧められた本。マンガなので分かりやすいです。

  • 4分割表の考え方を得られたのが一番大きい。
    何か仮説を立てる際に、「ある×ある」「ある×ない」「ない×ある」「ない×ない」の4つの視点があるということが、これまで無意識に行っていた場合もあるが、改めて意識して気づいた発見であった。
    クリティカルシンキングとは、どこか分析やマーケティングに通ずるものがあるなと感じた。
    そのような仕事をする場合に特に必要で役に立つ考え方であると思う。
    4コマ漫画の身近な事例を、そこまでやるか!というくらい掘り下げることで見える多角的視点やあらゆる仮説が、やはり改めて取り上げることで、新鮮に受け取れた。
    また4コマ漫画と見開きである程度完結しているスタイルが、一度読み終わったあとでも読み返しやすい。
    時々読み返しては、多角的かつ懐疑的視点を体得していきたい。

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著者プロフィール

琉球大学教育学部教授

「2015年 『ワードマップ 批判的思考』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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