実践家のための認知行動療法テクニックガイド: 行動変容と認知変容のためのキーポイント
- 北大路書房 (2005年12月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784762824784
作品紹介・あらすじ
本書は日本人を対象として認知行動療法の理論的・実践的研究を行ってきた著者2人が日本人に認知行動療法を行う際に必要とされるテクニックを具体的に解説する。日本の認知療法の実践家の有用なガイドブックとなるとともに,実践家を養成する医学系および臨床心理学系大学や大学院等でのテキストブックとしても活用できる。
感想・レビュー・書評
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CBTの観点から、行動、感情、認知へのアプローチの考え方と、臨床実践における具体的なテクニックがよくまとまってる。
できるだけ平易な言葉を用いてるため頭に入ってきやすいにも関わらず、CBTの本質に触れている超良書。
本書を通じて一貫していることは、「クライエントファーストの考え方」であると思う。環境調整は、クライエントの置かれた状況で活用できることであるか、いかにその変化が機能するかを考えたりすること、強化したつもりになっていてもそれは「セラピストにとっての強化」にとどまってはいけないということ、消去の手続きにおいて「人を無視すること」につながらないようにすることなど、重要なエッセンスが随所に散りばめられている。
また、本書を通読して、行動系のCBTにおいて認知を扱う意味やその扱い方の理解も深まったように思う。よく、「認知の内容ではなく機能を変える」と言うが、そのためには前提として、「考え方」自体を教えるのではなく、状況に応じた柔軟な思考を持てるように「もう一度考えてみる」という行動を促すことが必要であるということがわかった。したがって、まずは認知の内容がポジティブかネガティブかであったり、機能的か非機能的かはおいておいて、ルール支配行動として強固に習慣化された非機能的な思考パターンから抜け出し、別の思考ができたらそれを強化していき、やがては機能的な思考ができるようにしていくこと、それが、行動的観点から見た認知的介入である。
また、力動的心理療法とCBTの対比に関して、CBTが勝っている点は、支援がセラピストの押し付けになるリスクが低いことだと思った。これも「クライエントファーストの考え方」に通じるが、事実に基づく支援をすること、つまり認知変容で終わらせずに、観察可能な行動の変容を最終的な指標とすることで、「クライエントの望んでいること」と、「セラピストが望ましいと思っていること」の乖離を小さくできるのであろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
わかりやすくてよい
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認知行動療法(CBT)のワークショップの書籍化。理論より実際に使う技法重視でまとめてある。
CBTとは何だろうか?というのは実は難しい問いだ。作者達は実に丁寧にこの問いに答える様に技法を書き連ねていく。
ただ、当たり前と言えばあまりに当たり前なのだが、作者のワークショップに実際に足を運んだ時に比べるとすんなりと頭に入っていく感じがしなかった。研修に参加した上で補足として読むには申し分のない本だが、単品の本として考えると何か物足りない印象も受けた。
技法というものは本だけでは得られない何かがあるのだと思う。やはり実際に足を運ぶことは大事である。