研修設計マニュアル: 人材育成のためのインストラクショナルデザイン

著者 :
  • 北大路書房
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784762828942

作品紹介・あらすじ

効果的で,効率的で,魅力的な研修とは? 「教えない」研修とは? 目標達成のための「最終手段」と研修を位置づけ,学んだことがわからないままに終わってしまう事態からの脱皮を図る。何をどう教える(学ぶ)かだけでなく,なぜ教える(学ぶ)必要があるのかを徹底的に問い,業務直結型で組織に貢献できる研修設計をめざす。

◆中原 淳 氏 推薦! (東京大学准教授) 
研修の目的とは「教えること」ではない。それは学習者が「自ら学ぶ」ことを手助けし,学習者に「変化」が起こることだ。成果につながる行動ができる人材育成のみならず,仕事の現場に「学習する文化」を拡げることをも指向する。次世代の人材開発がめざす地平は,ここにある。
◆池上 敬一氏 推薦!
 (獨協医科大学越谷病院救命救急センター/日本医療教授システム学会代表理事)
「患者安全研修を行ってもヒヤリハットが減らない」「シミュレーション研修の成果がでない」 この現状を打開するツールがインストラクショナルデザインです。本書を医療教育者・病院の研修担当者に推薦いたします。

◆好評の姉妹書
『教材設計マニュアル◆独学を支援するために』
http://www.kitaohji.com/books/2244_2.html
『授業設計マニュアルVer.2◆教師のためのインストラクショナルデザイン』
http://www.kitaohji.com/books/2883_6.html
◆好評の関連書
『教師の学びを科学する◆ データから見える若手の育成と熟達のモデル』
http://www.kitaohji.com/books/2897_3.html
『21世紀型スキル◆学びと評価の新たなかたち』
http://www.kitaohji.com/books/2857_7.html
◆主な目次
◇導入課題「研修の現状をチェックして改善策を考えよう」
 第1章 研修設計へのシステム的アプローチ
 第2章 教えないで学べる研修を着想する
◇課題1「研修発注書をつくる」
 第3章 研修のメリットを主張する
 第4章 行動変容として研修の成果を定める
◇課題2「研修企画提案書をつくる」
 第5章 研修の学習成果を定める
 第6章 研修以外の実現方法を検討する
 第7章 教えないで学べる研修を設計する
◇課題3「研修評価計画書をつくる」
 第8章 研修の評価・改善を計画する
 第9章 行動変容をモニタリング・支援する
◇課題4「貢献構想メモをつくる」
 第10章 研修部門をアピールする
 第11章 研修設計の専門家として成長する

感想・レビュー・書評

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  • 人財育成の担当者が研修を企画する際の理論的裏付けになる本。インストラクショナルデザインの基礎を知っていれば、非常に参考になるが、入門書ではないので、中級者向けの内容。

  • 一番印象的なのは、研修がいらないってこと。正確には、数ある学習方法の中で、研修がコストがかかる割に効果は薄いってこと。研修以外の方法をまず検討するべき。後は、p31,32のARCSモデル学習者版を、塾の生徒に渡してできそうなやつ3つを邪気出させたい。p164に研修以外の学びとして読書ログを取る、があったので、これから書いていきたい。

  • 企業の実務家に応用可能な教育工学として、インストラクショナル・デザイン領域については鈴木克明氏の著書は事実上のバイブルになっており、本書はその集大成だと考えていいと思う。具体的にいうと、あと10年早くこの本が出ていればもう少し自分の勉強時間は少なくて済んだかもしれない。幹から枝葉へ行けた、というだけのことかもしれないが。

    帯の「教えないで学べる研修」みたいな煽り方は野暮。とケチをつけるのは簡単だが、上記と似た理由で版元が売れると踏んだのかもしれない。なんにせよ総合的な好著で、企業内人材育成で内外から金を取ろうという人はこのくらい踏まえておかないと実際恥ずかしい時代が来ていると思う。教育工学の知見に関してこういう言い方をするのは、これが応用領域であって、難解な理論や用語の出てこない、常に論理的で整理されたツールに落とし込まれているからだ。

    研修を設計するとは、達成したい目的の到達度を確認しながら効果的・効率的・魅力的な研修を実現する方法を準備することである。何ができるようになるのか、というゴールと評価方法を明確にすることから始まる。TOTEモデルの比喩でいえば、診断してから必要があれば治療を始め、完治するまで続けるようなものである。

    すべての学習は自己主導(Tobin、2000)であり、学習意欲の問題がつきまとう。ARCSモデルの要素に沿って設計者にかかったバイアスから自由になった方がいい。おもしろうだ(注意)、やりがいがありそうだ(関連性)、やればできそうだ(自信)、やってよかった(満足感)。

    構成主義心理学に影響を受けて提唱されてきたIDの理論はメリルの第一原理(2002)に効果的な学習環境を実現できる要件として共通する方略がまとめられている。 
     1.問題(Problem):現実に起こりそうな問題に挑戦する
     2.活性化(Activaton):すでに知っている知識を動員する
     3.例示(Demonstration):例示がある(Tell meではなくShow me)
     4.応用(Application):応用するチャンスがある(Let me)
     5.統合(Integration):現場で活用し、振り返るチャンスがある

    目標明確化の3要素(メーガー、60年代)
    1.行動目標:どこに行くのか?
    2.評価条件:たどり着いたかをどうやって知るのか?
    3.合格基準:どうやってそこへ行くのか?

    ★アンドラゴジー(成人学習学)の理論的要素(p153)

    ★学習経験の中で最も質が高いものは「美学的経験」であり、日常的な経験とは一線を画す、楽しめて忘れられない、時として人生を変えるような影響力を持つ洗練されたもの」で、「直接的で展開があり、予期し得ないが終焉の高まりに向けて積極的な関与がある」という。 p204

    ★熟達化において個人差が生じる理由(金井・楠見、2012)p265

    【目次(中項目は抜粋)】
    1.研修設計へのシステム的アプローチ
     TOTEモデル
     評価の4段階モデル(カークパトリック)[more]
    2.教えないで学べる研修を着想する
     ARCSモデルで研修の魅力を高める
     自分のやる気をコントロールできる人を育てる
     IDの第一原理:メリルが提唱する5つ星のインストラクション
    3.研修のメリットを主張する
     コストから投資へ
     ROIという考え方
     バランス・スコアカードと戦略マップ
    4.行動変容として研修の成果を定める
     ニーズ分析:研修を行う理由を探る
     パフォーマンス分析:研修以外の選択肢を視野に入れる
     アクションプラン(行動計画)
    5.研修の学習成果を定める
     目標明確化の3要素(持ち込みありテストの勧め)
     学習成果のタイプに合わせた評価方法:ガニェの5分類
     問題解決:知的技能の最高次元
     自己調整学習:認知的方略とメタ認知
     運動技能と態度の学習
    6.研修以外の実現方法を検討する
     垂れ流し式のeラーニングから脱皮する
     eラーニングのイメージを拡張する
     情報で学ぶ:ナレッジマネジメントシステム(KMS)
     経験して学ぶ:電子的業務遂行支援し捨てM(EPSS)
     仲間から学ぶ:インフォーマル学習
     仲間とパフォーマンスのアーキテクチャ
    7.教えないで学べる研修を設計する
     アンドラゴジー:学校式教育から大人の学び支援へ
     自己啓発とOJTを主軸として研修を考える
     バラバラな課題に取り組む時間を設ける
     熟達化に応じて「教えない」割合を増やす
     成長する学びに誘う研修を考える
     研修企画提案書をつくる
    8.研修の評価・改善を計画する
     研修計画の妥当性を評価する
     評価方法の経済性(効率)という視点
    9.行動変容をモニタリング・支援する
     アンケートやインタビューによる行動変容の調査
     行動変容を促し・継続させる職場と上司
     職場が肯定的学習環境かどうかを見きわめる
     行動変容を確認するまで終わらない研修
    10.研修部門をアピールする
     資金調達3モデル:研修部門の損得勘定
     人材開発バリューチェーンの出発点としての研修部門の仕事
     能力開発の自己責任原則とその支援
     タレントマネジメントと組織開発
     組織文化に応じた人事管理施策
    11.研修設計の専門家として成長する
     研修担当者の職能世界標準:何ができる人になるか?
     研修担当者としての熟達化:どうやってそうなるか?
     IDは倫理規定に基づく専門職:CPTを例に

  • 重要な点が整理されていて、非常に参考になった。

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著者プロフィール

鈴木克明(すずき かつあき)
国際基督教大学教養学部(教育学科),同大学院を経て,
米国フロリダ州立大学大学院教育学研究科博士課程を修了,Ph.D(教授システム学)。
東北学院大学教養学部助教授,岩手県立大学ソフトウェア情報学部教授などを経て,
現在:熊本大学教授システム学研究センター長・教授
   同大学院教授システム学専攻長・教授
専門:教育工学・教育メディア学・情報教育
主著:『教材設計マニュアル』 北大路書房 
『授業設計マニュアルVer.2』(共編著) 北大路書房
『研修設計マニュアル』北大路書房
『インストラクショナルデザインの道具箱101』(監修) 北大路書房
『インストラクショナルデザインの原理』(監訳) 北大路書房
『学習意欲をデザインする』(監訳) 北大路書房

「2018年 『学習設計マニュアル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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