サボタージュ・マニュアル 諜報活動が照らす組織経営の本質

  • 北大路書房 (2015年7月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (128ページ) / ISBN・EAN: 9784762828997

作品紹介・あらすじ

CIAの前身が作成した「組織をうまくまわらなくさせる」ためのスパイマニュアル。「トイレットペーパーを補充するな」「鍵穴に木片を詰まらせよ」といった些細な悪戯から,「規則を隅々まで適用せよ」「重要な仕事をするときには会議を開け」まで,数々の戦術を指南。マネジメントの本質を逆説的に学べる,心理学の視点からの解説付き。津田大介氏推薦!



◆推薦のことば

日本の大企業や官僚制度が抱える問題の本質が

驚くほどわかる本書。

「あるある本」として笑いながら読んでいるうちに

やがて楽しさは空恐ろしさへと変わる。

(ジャーナリスト/メディア・アクティビスト 津田大介)

感想・レビュー・書評

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  • 私が勤めている会社でもあるある…と頷きながら読んだ。短いからあっという間に読み終わった。
    組織を機能不全に陥らせないために、常に頭の片隅に置いておきたい。

  • かつて組織の破壊工作に用いられたマニュアルの邦訳です。最近まで機密情報として公開されていませんでした。大企業や役所でありがちな「会議」「文書」「議論」この3点を積極的に行う事が組織破壊に効果的なようです。現代にも通じる反面教師マニュアルともいえます。

  • 自身が務める会社組織にマッチしすぎていて、途中から怖くなりました。後半の一部は、物理的なスパイ活動の記述が長く、現代のサラリーマンは読み飛ばしていいかもしれません。(ガチのスパイを目指す方は除く。笑)

  • 組織を機能不全にするためのマニュアル。
    今の日本の組織の至るところで見られる。
    実はサボタージュマニュアルを実践することを
    強要された結果なのではないかと思ってしまう

    機能している組織は、
    ヒト 
     正しいことに工数を効率的に使う
    モノ
     可動率と稼働率を最大化する
    カネ
     投資対効果を最大化する
    チエ
     必要とする情報を必要な人がいつでも
     利用できる
    なのだと思う。
    これらが機能しないようにするために
    何をすれば良いか、がわかる。

  • CIAの前身の組織が作成した、敵国にスパイを送り込んだ際のサボタージュ活動のマニュアル。
    さぞ壮大なマニュアルかと思いきや、書かれていることがサラリーマンあるある的な要素が多くて笑えてきます。

    例えば
    ・何事をするにも決められた手順を踏んでしなければならないと主張せよ。簡略手続きを認めるな
    ・頻繁に会議を開け
    ・会議では以前の会議で決議されたことを再び持ち出してその妥当性を巡って議論せよ
    ・あまり重要でない生産品に完璧さを求めよ

    これどこの会社でもあるあるだと思うんですよね。
    こんなことがたくさん出てきます。

    仕事でモチベーション下がったり、進まなかったりというのは自分だけのせいでもなく、こういった原因によるところが多かったりもするのだと思います。

    こういった問題は、大きな組織ほど分かっていてもどうにもならないことが多いから根深い問題ですよね。
    実際にここに書かれていることを把握しておくだけでも、仕事が進まない際に抱え込まずに客観的に見れるようになるはずです。

  • インターネットでよくレビューを見かけるので気になって読んでみました。
    「(妨害・破壊工作などの)行為をひとつひとつを眺める事により、組織がなぜうまく回らなくなるかを逆照射しようというのが、本書の狙いであるようだ」(あなたの会社はなぜ非効率?-HONZ)との解説もあるように、このマニュアルに書いてあることを逆張りすることによって会社組織を効率よくする……みんなそんなに会社好きなのか。正社員はえらいなー大変だなー。

    前半部分は「日本版の発刊に寄せて」と、このマニュアルをビジネスに活用するための解説に割かれていますが、肝心の後半マニュアル部分はそんなホワイトカラー向けよりもむしろ工場・炭鉱・交通機関などの労働者階級の市民に向けた、小さなことからコツコツと、小市民的草の根破壊工作for騒乱計画(プロジェクト・メイヘム)。誰でも簡単にDIYできる発火装置の作り方、ガソリンエンジンに砂糖を混入させて動かなくさせたり、蒸気ボイラーの効率をまめに下げたり、収穫した作物を家畜にこっそり食べさせたり、用務員はわざとゴミをため込んで自然発火しやすくさせたり。そして市井に紛れて生活するためにいつもはまじめに、ヤバくなったら謝りまくっていざとなったらとぼけろ!みたいな。ちょっと牧歌的とも言えます。なんといっても70年前のもの。

    きっとこれはビジネス書ということにしておかないと公序良俗に反するということで第三〇館や〇田出版みたいに目をつけられてしまうからこういう風に出版したのだな、と勝手に思いました。どんな職業のどんな立場の人も、「道具」を「武器」にすることができる。怖いと思うか、楽しいと思うか。さてどっち。

  • これは「サボタージュ・マニュアル」という、物事を良くするのではなく、悪くするための本です。作者は米国戦略諜報局。実に興味深いものです。

    諜報活動において妨害工作は非常に重要で、市民レベルでも簡単に行える内容になっています。大規模な破壊にはならないものの、相手国をじわじわと疲弊させる方法がこの指南書には多数掲載されています。

    そういう方法がさまざまに書かれている中で驚くのは、硬直した組織では「当たり前」に起こっている現象が妨害工作そのものであるという点です。

    特にお役所関連の記述には感服しました。例えば「徹頭徹尾に規則に従え」と指示することです。確かに柔軟な対応を通じて効率化が図られる一方で、規則通りでなくても非公式なチェックや事前の相談をやめることで混乱が生じます。納得のいく内容です。

    私たちの身の回りには失敗や不具合が溢れています。他にも数多くの物理的な方法が紹介されていますが、痕跡が残れば罪に問われることになります。それでも完全に回避するには手間やコストが莫大で、現実的ではありません。結果性が失われます。そして、それこそが作戦の成功につながります。

    マインドフルネスが浸透している国であれば別ですが、多くの場合、この手法は成功するでしょう。さすが米国戦略諜報局の手法といったところです。

  • 今年一番に、読む前と読んだ後で、自分への変化を感じた本
    2022-07-22 2度目の観測

  • 昨年、働き方改革の関連で話題になっていて、ようやく手に取った。

    組織や生産活動に関する、一般的な意味での「妨害」のありかたの数々。

    「議事録や決裁の『言い回し』で細かく議論せよ」とか
    「長い説明をせよ」とか
    「手順を重視せよ」とかいったことは、大企業や省庁にとって耳が痛いはず。
    ただし、そういうことばかり記された文書ではないことには注意。

    トイレットペーパーは補充するなとか、排水管の詰まらせ方とか、あるいは
    「とぼけろ」「指示を誤解せよ」とかも並列で書いてあるのも面白かったし興味深いが、
    「非効率な仕事をする者をおだてて、気持ちよくさせ、昇進させよ」というのも印象に残った。というか、どきっとしたな。

    なお、期待していたほどではなかった。「本文」の前の「解説」が、冗長に感じられ、それでいて「本文」だけだと今一つのインパクト。

  • マニュアルそのものは、、諜報機関の文書とは思えないくらい散漫だった。。 が、日本語の解説は学問的裏付けのある分析もあり素晴らしい。
    アンチイノベーションの本として何度か読み返したい。

  • 【由来】
    ・「イスラエル情報戦史」のamazon関連本で。

    【期待したもの】
    ・人のいやがることをあまり思いつかないので知っておきたいかなと。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • 「こうすれば敵の組織は混乱に陥る」誰でもできるスパイ活動の実在したマニュアル。とにかくながったらしい文章で回答しろ!会議を開いて何も決めるな!士気を下げろ!などなど、一種の風刺、あるあるネタと笑うこともできる。が、無意識に自分もこういう行動をしているかもと気付いたら、ちょっと怖くなった。自らをモニタリングすることから始めなくては。

  • いかに組織を回らなくするかという視点で書かれた非常に興味深いマニュアル。
    徹底的に瑣末なことにこだわる、意思決定までの決定者を増やす、頻回に会議を行う、マニュアルの内容をできるだけ細かくするなどなど、どこの組織でもある程度見られる悪習が書かれている。
    これがCIAが昔に敵対組織を妨害するためのマニュアルとして使用していたので説得力もある。
    反面教師として利用すれば自分の組織の改善に繋がるであろう。
    元々のマニュアルがそうなのだろうから仕方ないが、全体的にボリュームは少なめで、もっとホワイトカラーのサボタージュに関して様々な事柄が載っていれば更に良かった。

  • 大人数での会議や執拗な書類確認が、サボタージュにつながることは何年も昔から指摘されている。なのにどうして減らないのか!

  • あなたの会社がイケてないのは、もしかしてCIAの工作かも!?

    自分がいる組織は「非効率」なのではないか?
    もう少し、上手くまわっていかないのか!?

    そう思ったことがある人は、多いのではないでしょうか。
    その上手くいかない原因、実はCIAの秘密工作かもしれません。

    ・・・というのは冗談ですが、この本には、組織が非効率になる原因がハッキリ言語化されています。なぜなら、「非効率を生みだす」ための本だから。

    CIAの前身、アメリカ軍戦略情報局(Ofice of Strategic Services)が第二次世界大戦中にまとめた、「一般人のためのレジスタンス・マニュアル」です。

    枢軸国にダメージを与える目的で

    「組織がうまく回らなくなる方法」
    「うっかり事故を起こしやすくする方法」

    などが具体的に説明されています。軍人じゃないあなたも、ちょっとした工夫で強力なレジスタンス活動が出来ますよ!・・・という、内容。

    近年機密解除され、それが和訳されましたものです。(ちょっと前にWEB界隈で話題になった記事の、元ネタのようです。)

    「何事をするにも、決められた手順を踏まねばならないと主張せよ。」
    「文面による指示を要求せよ。」
    「重要な仕事をするときには、会議を開け。」

    など、妨害工作の内容が、そのまま現代大企業の機能不全の原因を指摘していると話題になりました。

    読んでみると、確かに自分の会社のことを言っているのではと、冷や汗のでる指摘が随所に!

    コミュニケーション妨害についても言及されていて、

    ・伝達を、遅らせる。
    ・誤解を生じさせる。
    ・理解できないふりをする。
    ・わざと難解に言う。
    ・大切なことを、伝達しない。

    ことで、組織のパフォーマンスを下げられる、とのこと。

    このマニュアルの逆張りをしていけば、
    パフォーマンス低下の原因は着実に取り除ける!?

    企業の現場レベルでのコミュニケーションを改善するのにも、お勧めの一冊です。

  • 傾いた企業には、サボタジューの実践者が目立つようになる。
    サボる の語源ではあるが、意味が換骨奪胎されているな。

  • 前半が解説,後半がマニュアル部分。マニュアルは80年前のものだから,今,戦争状態になっても物理的なサボタージュに関与するとすぐに犯人が特定されるだろう。
    この本の核は「組織や生産に関する妨害」であり,サボタージュを目的としない個人や組織でも,非意図的に妨害を熱心にしている可能性が高いということ。裏を返せば,妨害させずに促進させるにはどうするかというヒントが得られる?かも。

  • 「作業効率に関係していたのは、フォーマルな職場の環境ではなく、むしろ、職場での人間関係、特にインフォーマルグループといわれる非公式な職場集団における人間関係だったのです。」

    敵組織の作業効率を下げる方法について書かれている。現場に侵入し、現場を混乱に陥らせば自分たちに有利に働く。しかし、サボタージュは組織的に画一的にすべきではない。現場に合わせて行わなければならない。ばれたら意味がない。

    では、実際に現場では何に対してどのようにすればいいのか。その具体例もたくさん書かれている。さらに、管理職としてもできる行為が書かれている。しかし、その管理職が敵組織内ですべき行為が、自分たちの組織内で行われいてると知って驚くだろう。なんという皮肉。

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著者プロフィール

越智 啓太(おち・けいた)
法政大学文学部心理学科教授。
横浜市生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科心理学専攻修了。警視庁科学捜査研究所研究員などを経て現職。臨床心理士。専門は、プロファイリングや虚偽検出等の犯罪捜査への心理学の応用。その一方で、素朴なオモシロ研究を愛しさまざまな論文を密かに読み進めてきた。また、これらの研究を追試することを生きがいにしている。最新論文は「恋愛関係における『恋は盲目』バイアス」(法政大学文学部紀要)で、今の恋人は過去の恋人よりもかっこよく(美しく)みえることを科学的に明らかにした。
著書は、『ケースで学ぶ犯罪心理学』(北大路書房)、『テキスト 司法犯罪心理学』(北大路書房)、『臨床心理学と記憶心理学のコラボレーション』(北大路書房・共著)、『美人の正体』(実務教育出版)、『恋愛の科学』(実務教育出版)、『progress and application 司法犯罪心理学』(サイエンス社)など多数。
テレビ・映画等メディアでも、犯罪心理学や社会心理学の観点から多くの人気ドラマを監修、コメント出演をしている。
趣味は授業と資格取得。「甲種火薬類取扱保安責任者免状」「警戒業務管理者・専従警戒要員」「心電図検定」などマニアックなものを中心に多数の資格をもつ。

「2021年 『すばらしきアカデミックワールド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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