恋愛旅人

  • 求龍堂 (2001年3月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784763001108

感想・レビュー・書評

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  • 海外の色んな場所(アジア多め)を旅してきた角田さん。その土地の観光スポットがどうこうなんて話題はほとんど無い。そこで、どんな人に出会ったのか。その時、どんな気持ちだったのか。そういうことが詳しく書かれていた。
    知らない場所へ行くということは、知らない人と関わるということなんだな、としみじみ思う。

    スリランカのバスターミナルで、見覚えのあるバスと再会するエピソードがとてもよかった。
    「フレンズ幼稚園」と大きく車体に書かれた、古ぼけたバス。それは二十九年前に角田さんが乗っていたバスだった。車内で何度もおもらしをしてしまった当時を想い出しながら、どこに行くかもわからないバスに乗る角田さん。

    旅は出会いだけじゃなくて再会もあるんだな、と思うと、なんとも言えない、感動のような気持ちで胸が熱くなった。

  • 角田さんの独り旅日記。

    地図読めず迷子になるのによく一人で海外に行けるよね。外で食事を一人でできないと言うが一人で海外に行けることの方ができないよ普通は。

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/439258

  • とても美しい情景が浮かぶ記述と生々しい記述が同居している、なかなか独特な旅行エッセイだと思う。

    「砂浜にたどり着いて私は横たわった。幾人かの旅行者がそうして横たわったり、座りこんだりしていた。青と灰いろのまじった奇妙な色の空も、いやに繁殖している木々の緑も、世界全部がぐるぐるまわっていた。ぐったりとして首を傾け、打ち寄せる波と、おもしろいように揺られている旅行者を見つけてぎょっとした。欧米人の若い男で、彼は膝の上にペーパーバックを広げて、おとなしく読んでいるのだった。まるで晴れた昼下がりの図書館にいるみたいに、穏やかに、静かに、振り子のように揺れるボートの上で。
    世界が広いということを感じるのは、つまりこんなときである」(p.138)

    「異国を旅するたびに、そこにある空の表情が違うといつも私は思っていて、そういえばここモロッコの、世界全体に蓋したような巨大な空は、何か意志を持ってこちらを見下ろしているように思える。どこにいっても見られている。頭上に空があるかぎりその視線からはのがれることができない。
    私はこの国の人々の宗教を感覚的に理解することはできないが、この巨大な視線を持った空を、私の知っているほかの言葉で表現しようとすれば、神という言葉がもっとも近しいように思える」(p.192)

  • 方向音痴で危ない目にも遭っているのに外国で一人旅するのってすごく勇気ある。大変なことのほうが多そうだけど、何かを通してではなく、ちゃんと自分の目で見ることができるのは羨ましいと思った。

  • いつか角田さんのような旅がしてみたいと思う。だけど角田さんのような恋はごめんこうむりたい。角田さんの恋がどんなものか知らないくせにこんなことを言うのは失礼だけれど、でも角田さんのいくつかの小説を読んで、そう思う。だけどそれらは私が知っている恋に、とてもよく似ている。
    そしてやっぱり旅と恋はよく似ていると思う。
    角田さんが初めて旅という旅をしたのは、24のときなのだそうだ。もうすぐ、私も24になる。
    20140816

  • すごく良かったです!
    角田さんが、1人でアイルランドやらスリランカやらモロッコを旅した話。
    いくつかのエピソードを軸に一つ一つのお話は短く、軽妙なテンポでつづられているので読みやすい。

    ややシニカルなのがまたいい。
    これ読んだら一人旅に出たくなっちゃうよ!
    誰もが素敵な旅をできるわけではないと思うから、角田さんは何かを持ってるんだろうな。
    運か、人柄か、感性か、何なんでしょ。
    でも、旅先で知らない人についてっちゃうのはだめー。

    モロッコで荷物を乗せたバスに撒かれて、人っ子一人いない灼熱太陽の下で田舎道を歩いている時に空から視線を感じるくだりが好き。

    以下、引用。
    「単純な美しさというものを好きになれない。…ペンキの一箇所もはげていない、赤や青の建物も、また、建物に描かれた花や飾り文字や、そんなもの好きになれない…空き缶の一つも落ちていない、スナック菓子の空き袋の落ちていない公園の芝生もきらいだ。生ぐさくない魚屋や、血のにおいのしない肉屋もなんだか胡散くさく思える。」激しく同意。

    「…それでもその場所をでるとき、その場所は引き止めてはくれない。いかないでくれとすがってくれることはない。たとえそこで生まれたとしても、何十年暮らしたとしても。そんなあたり前のことをわかっていながらやはりいつのまにかある場所を深く思う。」

    「場所を思うことは恋に似ている、…」

    「場所と自分と、なにかしらかかわりあい混じり合う接点を見いださなければならないのに、それがまったく見つけられない軽い恐怖感、その場て言葉を何一つ持たないというたよりなさ。…そして私は、そのたよりなさがそんなに嫌いではないことに気づいた。」

  • 人は誰でも旅先で出会いがあるのだろうか?飛行機で騒ぐおじさんの話が面白かった。自分はどんか旅をするのだろう。

  • 角田さんの、バックパッカー記録。

    前半は、異国での出来事を日記調に書かれておりリアル感があります。
    旅先でのシュールな出会いが、笑えました。
    角田さん、ホントに色んな経験されてるなあと・・・


    後半も、その地での出来事を綴ったものです。
    しかし、その地での出来事、角田さんの感情、周囲の景色などが
    うまくミックスされており、単純な旅先日記ではない、しっかりとした深みがある。
    異国情緒に富み、かつ何となくセンチな気分にさせてしまう
    文章はさすがです。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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