チョコレート・アンダーグラウンド

  • 求龍堂 (2004年5月13日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (507ページ) / ISBN・EAN: 9784763004208

感想・レビュー・書評

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  • チョコレート禁止令!
    チョコレート大好きなわたしは、もしこんな世界になったら禁断症状でとんでもないことになりそう。

    「リンゴさくさく気分を」
    「ジューシーオレンジ気分をどうぞ」
    「どうぞバナナを」
    挨拶だけならユニークな健全健康党だけど、やっていることはまるで恐怖政治。
    チョコレートを忘れられない子どもたちを再教育という名の下、洗脳じみた嫌忌療法を行ったりする。
    訳者があとがきで書いているように「チョコ」を「自由」に置き換えると確かにぞっとして少しコワイ。

    チョコレート禁止令に怒り、チョコレートの密造と密売をする主人公の少年二人スマッジャーとハントリー。
    二人と組んで密売に手を貸す売店のバビおばさん。
    同じようにチョコを愛し革命組織を結成、秘密集会を開く古本屋のおじいさんと出会い、チョコレートマンというキャラでCMに出ていたために失業しホームレスになってしまった役者を巻き込み、密売行為はだんだん大きなものになっていく。

    チョコを食べたいという気持ちだけではなく、密造と密売という行為にドキドキワクワクしてしまうスマッジャーとハントリーが可愛い。
    そして同じように浮かれてしまうバビおばさんも(おばさんというものの、おばあさんという年らしいが)とても可愛らしい。
    ちょっとしたロマンスがあったりするところも可愛い。

    革命のところは駆け足で書かれているような気もするけれど、終章の「謝辞とあとがき」が同じ世界で書かれており、後日譚が語られていて嬉しい。
    人々が捜査官にした「仕返し」がしゃれているのだけれど、この仕返しがとても効果的だったとみえて後日譚に出てくる彼のその後がステキです。

    お話だけでなく、装丁もすごく好き。
    表紙カバーも可愛いのだけど、カバーをはずすと表紙は少しつやのあるチョコレート色で、扉の紙もチョコレート色、本文の文字も全部チョコレート色!
    本からチョコレートの匂いがしそうで、読んでいる間に何回か嗅いでしまった(^^;)
    (ふと知り合いがチョコの香りつきボウリングボールを使っていたのを思い出したり)

    チョコ好きは読み終わったとたん、ピカピカのアルミホイルをばりばりと破ってチョコバーをかじりたくなること請け合いです。

  • ときは現代のある国。
    選挙で勝利をおさめた『健全健康党』は『チョコレート禁止法』なるものを発令する。
    それが狂気のはじまりだった。
    国じゅうからありとあらゆる甘いものが処分され、
    街には四六時中、パトロールするチョコレート探知車があふれ、
    横暴なチョコレート警察による強制捜査が行われた。
    いつしかチョコレートだけでは飽きたらず、スーパーマーケットや商店の砂糖や蜂蜜、シロップにプリン、漫画までもが健全なものに取り替えられ、
    チョコレートの包み紙を誤ってポケットに入れていただけで『再教育』という名目で刑務所に収監される恐ろしい世界と化していった…。


    いやぁ~児童書ながら背筋がぞ~っとした。
    荒唐無稽の作り話だと笑える人もいるかもだけど、僕にとってはあたかも自分の思春期を補完、肯定してくれるような圧倒的なリアリティを感じた。
    この物語の中で魔女狩りにあう甘いものやチョコレートを
    僕の好きなロックや不良文学、映画に置き換えて読んだからだ。
    いや、真面目な話、共謀罪法案の採決が強行された今の日本を考えるとまったくもって人ごとじゃない。
    監視社会となり、言論を封じられ規制される不安や危険性は誰もが持っているハズ。


    個人の趣味や嗜好品が取り締められ奪われる恐怖感。

    大人になればなるほど、時間が足りなくなるので生きるために必要なものだけになってくるのは仕方のないことだ。
    人は歳を重ねるごとにあんなに好きだった音楽を捨て、本を読まなくなり、夢を諦めていく。
    想像し夢想することを止め、チョコレートだってスナック菓子だって大人には必要のないものだと
    どこか言い聞かせて。


    でも歳をとってあとから振り替えってみれば、なんてことはない。
    一見必要のないことや役に立たないと思うモノの方が
    実は人間的な深みを作るためには欠かせないモノだったり、それに触れることが人間力を養ってくれてたりすることがよ~く分かる。


    好きなものがなんの理由もなく
    ある日突然禁止されたら、人はどうするだろう。
    (それは自由を奪われることと同じだ)

    そう、声を上げて戦うのだ。

    子供にだって権利があることを分からせるために
    物語の中、ハントリーとスマッジャーの二人の少年は
    雑貨屋のバビおばさんと共に
    政府を出し抜いてチョコレートを密売することを思いつく。
    自由のために、全ての子供たちがチョコレートをかじる権利を求めるために
    声を上げ、巨悪に立ち向かうってところが、本当にカッコいい。

    忙しい中、1日5分でもいい。
    想像の世界を飛び回れるひとときを持ちたい、
    自分が勝ち取ってきた『好き』を簡単に放棄する大人になんてなりたくない。
    この本を読んであらためて思った。



    すべての者に、自由と正義、
    そしてチョコレートを!

  • 漫画でサラッと知り!笑
    原作って、どんなだろう?と思い購入。

    もし、自分がこの世界にいたらきっと何もせず
    甘いもの禁止を受け入れていると思う。
    だって、決まったんだし…仕方ないしって。

    でもそれを、絶対に変だ!おかしい!!!と
    大人ではなく子供が気づき、何とかしようとチョコの
    作り方を調べたり、詳しい人に会いに行ったり
    調べるのも銀の包み紙を持っているだけで
    罰になるのに…

    子供たちは、今ある最大限の知恵と勇気を使って
    行動をしてその行動が周りの人にも伝わって、団結し大人も子供も高齢者もチョコレート、甘いものを
    食べる自由を手に入れていく。

    一歩を踏み出す勇気と
    チョコレートが食べたくなるそんな一冊でした。

  • 突然発令された『チョコレート禁止法』。
    甘い物がなくなってしまった世界の物語。

    超甘党で主食はチョコレートの自分にとって、こんな世界に産まれなくてよかったと本気で思った(笑)

  • 好きですねー、金原瑞人先生の翻訳は!
    本当に。リズムがあって読みやすいです。

    原題は「Bootleg」密売 でしょうか?
    「チョコレート・アンダーグラウンド」最高にCOOLなタイトルですよねー。センスがぷんぷん匂います。
    ヴェルヴェット・アンダーグラウンドみたいなの。バナナ出てくるし、そこにかけてるのかしら?

    なんとなく、読む前から想像つくじゃないですか、チョコレートが禁止され、子どもたちと、まわりのおかしな大人が手を取って革命起こすんだろうなぁって。

    そのものですが…
    メッセージがたっぷり詰まっていて、なかなか読み応えもありました。
    それは冒頭から。選挙の結果、健全健康党が勝利を収め、砂糖やチョコレートが使えなくなるという知らせがパン屋に届く。
    そして、奥さんがパン屋の夫に言う、
    「あなたみたいな人のせいよ。他の人に投票しないから、連中が勝ったの…
    あなたはまさに、なにもしなかったのよ。」

    私これ、自分の夫に選挙の度に言ってる。。
    クソッタレ民主主義です!今の日本の政治をも、メタファとして受け取れるような、
    本当の民主主義とは?って。子どもたちにもちゃんと自分の思いを投票しよう!ってメッセージがちゃんとありました。

    そして、自由と正義は勝つのねー。

    レビューでチョコが食べたくなるってあったけど、
    わたくしは途中、チョコレートを密造するハントリーとスマッジャー、バビおばさんたちが、砂糖一袋なめちゃうとことか、チョコレートが固まらなくて全部味見してるところとか、胸焼けしてきて、もうチョコはたくさんってなったりしましたけどねww

    そのシーンでは、自分のことを「くまのプーさん」にたとえてカッコがわるいと思っているハントリーがいたり、「3びきのくま」とか「メアリー・ポビンズ」を引用したり、イギリスの児童文学は素敵だなぁと思わずにはいられませんでした。

    ラストのバビおばさんたちも素敵なんですよねぇ。

    チョコレートという、子どもたちが大好きなアイテムを通して、政治を身近に感じるように描かれる。
    文字は大きいとはいえ、500ページを超える長編ですが、ハラハラドキドキの展開と、笑っちゃうほど、子どもたちの生き生きとした姿と…
    最後まで楽しく読めました。
    ちょっとエンタメ感もあるので、文学性とか、詩情的なものはそれほど感じられなかったけども。。
    文句なく楽しいから中学生にぜひおすすめしたいです。

  • 舞台は現代のどこか豊かな国(アメリカかイギリス)。政治に無関心でいたら、ある日政権が変わり、甘いものや炭酸飲料などが禁じられる。食は健康的に、一日一回は善行を。特に目の敵にされたのはチョコレート。売っても食べても隠し持っても見つかったら収監。矯正施設へ送られる。そんな中、これはおかしいよな?と小さな反骨精神と、チョコレートを食べたい欲望で立ち上がっていく少年が主人公のハントリーとスマッジャー。そこに反骨精神のある大人が加わり、製作、密売、地下のチョコレートバーを作って…、でも、政権の力には勝てずある日バレてしまい…。
    最初、チョコレートで話が進むのが受け入れられず読むのが遅くなったのだけど、これ、「自由」に置き換えたらかなり深いお話なんです。頑張って1/3位読めば、あとはハントリー&スマッジャーの活躍を応援したり、ハラハラしたりでどんどん読めました。日本人はお弁当にパンとお菓子持っていく習慣ないし、お菓子もジュースもそんなに摂らないから話の流れにかなり違和感あるんだよね(私も最近YouTubeで外国の弁当を知った、衝撃。しかし作るのは楽だな)。
    アレックス・シアラーと金原瑞人の「青空のむこう」と「13ヵ月と13週と13日と満月の夜」が面白いので信じて最後まで読んで良かったです。

  • はじめて読んだ名作!
    これは小中学生のうちにぜひ読んでもらいたい、納得の作品。
    政治をひっくり返すラスト、すかっとしました。

    チョコレート禁止法、という突拍子もない設定だけど、「チョコレート」を別のものに変えたら、かなりリアルな政治の話になるなー、と思うなど。
    選挙に行こうね。という話をするのにもいいかも。

  • チョコレート、その他甘い物は一切食べることを禁止とする「健全健康党」に支配された世界で、チョコレートが大好きなハントリーとスマッジャーが自由を勝ち取るための立ちあがる物語。

    前半は戦う子供たちがかわいくて楽しい気持ちだが、後半からはヒトラーの時代を思わせるかのような恐ろしい雰囲気も。

    「チョコレート禁止」という法律を、差別に関する法律や、今まで歴史上にあった理不尽な支配に置き換えて読むと、考えさせれらたり、学ぶことも多い。
    そういう意味では、子どもに是非読ませたい1冊だ。

  • 選挙に行っても結果は変わらない〟という多くの無責任な有権者が「健全健康党」を政権の座に押し上げてしまい、<チョコレ-ト・砂糖および添加物禁止法>が施行されます。甘味は健康に悪いという理由からイギリス国民は甘党禁止、違反者は逮捕、人格矯正を施す強制収容所に収監されます。嗜好品を禁じられた密売人は地下に潜伏、やがて抵抗運動が始まるのでした。この物語を「国家社会主義ドイツ労働者党 (ナチ党)」が選挙結果によって国民を掌握し、第二次世界大戦の惨禍へと陥れた歴史の教訓として、神妙な緊張感をもって読み耽りました。

  • 小学校の時に読んだ大好きな本
    チョコレートが禁止され、それでも密かにチョコレートを手に入れて、国に立ち向かう勇気ある子供達の話。

    多数派に流されず、勇気を持って行動する彼らに心打たれます!
    チョコレートが食べたくなる!

  • チョコレートが禁止された!?
    与党になった〈健全健康党〉によって、甘いものが国中から消えていく。

    それに怒った少年2人が取った行動とは。



    ―リンゴさくさく気分を、どうぞ
    ―ジューシーオレンジ気分を、どうぞ
    という、〈健全健康党〉の挨拶は面白いのに、政策は極端過ぎて、残念です。

    お話は、空想上のものですが、とても上手くお話の中に、現実社会を織り込んであります。
    だから、読んでると、社会や登場人物たちの言動は、こういうこと、現実でも、確かに出来そう、しそう、言いそう、って思います。

    お話として、とても面白く、ハラハラ、ワクワクしながら読めるし、
    一歩立ち止まって、うーんと考えさせられる本でもあります。

    帯にもあるように、読んだら、チョコレートが食べたくなりました!

  • ある日突然、チョコレートが、砂糖が、そしてユーモア溢れる本が全て禁止されてしまったら、あなたはどうしますか? 味気なくなった国で、現状を何とかしようともがく人々の物語です。
    児童書という枠を超えた、素晴らしい本でした。子供だけでなく、大人にも読んで欲しいです。

  • 選挙の大切さ、一票の大きさがわかりやすく描かれている。そして力や国は政府に属していなく国民に属しているとちゃんと描かれている。導入として読むにはいい本。
    「自分は与党に投票しなかったから自分のせいじゃない」「与党は少しばかり世界の秩序を正し、住みやすくするだけだと思った」「どっちの党も同じようなもんだ どうしようもない」これらのセリフって本当によくあることで今回の参議院選もこんな気持ちの人がたくさんいるからあのような結果になったのだなと思う。民主主義とは、消極低抵抗とは、なんなのか。自由を奪い支配する政権にどう立ち向かえばいいのか、答えではないけれど参考になることがたくさん書かれている。少なからず本に書かれた内容をせずに生活を送りたいから選挙に行くし声を上げて抵抗をし続けないとね。

  • 子供が読めば冒険のスリルと楽しさを味わえて、大人が読めばいつのまにか失ってしまった勇気の大切さを教えてくれる、そんな本

  • 児童書らしいが、大人が読んでもとても楽しめた!
    テンポよく進むストーリーに終始わくわく。
    チョコレート禁止法なんてファンタジーみたいだけど、政治に無関心だと自由を失うかもよってことなんだよね。
    「悪が栄えるためには、善人がなにもしないでいてくれればそれだけでいい」「許しは必要だ。だが、それは、忘れるということではない」そうだよなぁと考えさせられる。

  • 無関心の結果がこれよ。
    だけど、みんなあれ?こんなはずでは…と思いながらも、仕方ないと諦めちゃう。
    そうなったんだから、国が決めたんだからと、諦めちゃう。
    行きつく先はこれよ。
    立ち上がる力は残されているだろうか。
    ほんのちょっとの勇気、でも実際これは本当に大きな勇気が必要で。
    だけど、その勇気は、だれかが無駄と思えば一瞬で消え去ってしまうような儚いもので。
    そんな儚い勇気でも、みんなが集まればとても大きなものになる。革命になる。
    革命指南書でもあるのよね、この本。

  • 強権的な政府によりチョコレートが禁じられた社会で、抵抗する少年たちのお話。

    ジャンルとしては児童文学だし、ものがお菓子なので、ちょっと皮肉の利いたコメディくらいの気持ちで読み始めた。ところが思った以上に重量級の小説。

    まず、「健全健康党」による圧制が本気で怖い。
    学校でチョコレートを隠し持っていたのがバレた級友は連行され(p74)、帰ってきた時にはすっかり人格が変わっている(p292)。あからさまな暴力描写はさほど出てこないのが余計に不気味。
    チョコレート探知機を手に各家庭へ踏み込む当局、少年隊員による相互監視の有様は、ナチス政権下の社会のよう。チョコレートというモチーフ自体、茶色いナチスの制服のイメージを効かせているのだろうか。
    その少年隊員にも重層的な構造がある。主人公を密告しようとする少年隊員フランキーは、実際には捜査官に軽んじられているし、そもそも党に忠誠をアピールしていたのは拘束されている兄を救うため。個人の敵意でなく、体制がそのような振舞いを作り出している。

    その体制自体も誰かの悪意ではなく、民主主義によって成立したという点がまたリアル。
    「国民の大半が、あの党に「投票してはいなかった」(p49)」にもかかわらず、無気力層が多かったために結果として健康健全党が政権を握った。
    「どっちの党も同じようなもんだ」と投票に行かなかったスマッジャーの父に投げかけられる言葉。「ほかの人に投票しなかったから、連中が勝ったの。『悪が栄えるためには、善人がなにもしないでいてくれればそれだけでいい』って言うじゃない。あなたは、まさになにもしなかったのよ」(p15)

    こうした社会で少年たちはチョコレート密売を始める。インターネットの情報統制が行われている中(p116)、古本屋でレシピを手に入れ、尻尾をつかまれないよう工夫を凝らす。冒険のワクワク感よりも、違法行為に手を染める後ろ暗さが常に描き込まれている。
    たとえば、密売を嗅ぎつけて恐喝しようとするチンピラの登場。体制に歯向かうことをしている以上、自らの実力で排除するしかない。
    「法の外にーたとえそれが悪法であっても―足を踏み出すのは大変なことだ。そうすると、法の守りを失ってしまう。(p201)」
    また、少年たちとおばさんの心に起こる変化(p221、p241)。法に反することを続けるうち自分たちを特別な人間と意識し、金遣いが荒くなる心の弱さ。

    それでもただの違法行為が抵抗となり、革命に至る過程は力強く爽快感がある。
    気が狂ったふりをするおばさんの独白「いい、ホコリさん、ほかのひとたちが、あなたの頭がおかしいって思っても、そんなことはどうでもいいの。情報をもらさないかぎりね(p365)」、洗脳を危ぶまれたスマッジャーの本音が分かる場面(p400)。
    特にブレイズさんの演説の場面(p437)は、聴衆の逡巡を地の文に、演説の台詞と織り交ぜる構成で、読者の気持ちを引っ張っていく。

    革命の物語がエンターテインメントとして気持ちよく締めくくられる一つの理由は、その手段が暴力でなく、革命後に復讐が行われなかったことが明記されていることだろう。一番の悪役である捜査官も、最終的にチョコレートを好きになったという落ち。
    「復讐の味は甘いと人はいう。しかし、そんなことは絶対にない。(中略)復讐は酸のようなものだ。触れた者を、必ずむしばんでしまう。魂そのものをくさらせるんだよ。(p348)」
    本当の圧制への革命が、復讐なしで終わることはきわめて難しい。この点だけがファンタジーではある。

    装丁も凝っている。見返しから目次は、チョコレート色で、かつなんとなくお菓子の包装紙を思わせる質感の紙。原題の「BOOTLEG(密売)」と表紙絵を描いたステッカーまでついていたようだ。

  • ほんの少しの勇気が世界をも変える。

    読み進めるほど、チョコレートという言葉を目にするだけで、甘くて、愛しい気持ちになってくる。自分たちを信じて、ちょっとした勇気を持ち、不条理に満ちた社会に、反抗する彼ら。小さな彼らが、大きな勢力と戦うために、友人、大人、そして社会をも動かす。ほとんどの大人や友達は、社会という大きな圧力に対抗する事もなく、長いものに巻かれる状態。心の底では違和感を感じ、納得していないのにも関わらず、声を上げずになんとなく生活をしている。情けない大人たちもちらほら描かれているが、現実社会の私たち大人も全くその通りになっていないだろうか、とも思う。児童書と言えども、ほんの少しの勇気を持つこと、自分らしくあること、かっこいい大人になりたいと思うこと、恐らく人生終えるその瞬間まで追い続けていたいことなのかもしれない。

    アレックス・シアラー著書の別本とはまた違い、一文一文に場面展開、表情があり、面白かった。クライマックスからさらに一気に読み終えてしまった。この本を読み終えそうになった時、スマッジャー、ハントリー、バビおばさん、ブレイズさんに会えなくなってしまうような、少し寂しい気持ちになった。ワクワクしたあの時期が終わり、次のステージへと、新しい世界へと、彼らとともに自分も一歩踏み出さなければいけないような気持ちになった。

    この本を読んでいる間、チョコレートをいつもよりも多く食べてしまったのは言うまでもない。

  • とても面白かった!
    バレンタインが近いということで、チョコレートの出てくる話を友達にオススメしてもらって読んだ。
    まず、装丁がワクワクする!チョコレート色が基調になっていて、本文の文字色までチョコレート色。目次や登場人物紹介が横書きになっていておしゃれ。求龍堂という出版社の本を読むのは初めてかもしれない。
    チョイ役かと思っていたキャラクターが後で意外な活躍を見せたり、ストーリーに起伏があってハラハラしながら読めるし、翻訳も読みやすい。ページ数は多いがサクサク読める(リンゴさくさく気分を!)。小学校高学年くらいから、大人まで楽しめると思う。読んだ大人は、ちゃんと選挙にいかなければ!と思うことだろう。「甘党」という言葉がこれほど胸に響いたことはなかった。
    この本を読んでいるときにスーパーのチョコレート売り場に行ったら、種類も豊富でパッケージもきれいで、夢のようだと感じた。実在のチョコレートもたくさん出てきて(もちろん日本のチョコではないのだが)注もしっかりついているので、チョコレートがすごく食べたくなる。チョコレートを食べまくりながら読んでしまった。一方やたらプルーンが迷惑そうに出てくるので、逆に食べたくなった。

  • 読んでいる間のドキドキ感と、読後のスカッと感が素晴らしい作品でした!
    トンデモ法は、些細な怠惰の集合によって生まれる、という事がエンタメの中にきちんと示されているのがたまりません。
    そして何より、単なる悪を葬る話ではなく、「赦し」があるのが最高です。

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著者プロフィール

英国スコットランド北部のウィックに生まれ、現在はサマセット州に住んでいる。テレビやラジオ、映画、舞台のシナリオライターとして活躍したあと、数多くのヤングアダルト小説を執筆、ガーディアン賞にノミネートされた『スノードーム』(求龍堂)などを生みだした。映画やテレビシリーズになった作品もあり、日本では『チョコレート・アンダーグラウンド』(求龍堂)を原作としたコミックやアニメ映画が制作された。他に、『青空のむこう』、『13ヵ月と13週と13日と満月の夜』『This is the Life』(いずれも求龍堂)、『スキ・スキ・スキ!』(あかね書房)、『世界でたったひとりの子』『あの雲を追いかけて』『骨董通りの幽霊省』(いずれも竹書房)などがある。

「2017年 『ガラスの封筒と海と』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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