ひまわりの海

著者 :
  • 求龍堂
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本棚登録 : 34
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784763004406

作品紹介・あらすじ

ステージ上で倒れ、世界的ピアニストから半身不随の身へ。2年にわたる闘病生活、そして左手での演奏で再起を果たすまでの道のりを語る。

感想・レビュー・書評

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  • 以前、偶然テレビで話す著者を見て、「なんか気になるおじさんだなぁ」と思っていた。エッセイを出していることを知ったので読んでみた。

    読んでみて、「あー。あの素敵なおじさんはやっぱりステキだな。」と感じた。

    まだ病気になる前の精力的な演奏活動の話しは、ちょっとした旅紀行。ワタシが見たことない世界各国をぼわ〜っと想像させられた。

    倒れてからの闘病生活。あんな素敵な人でも、こんな時期があったのかーとより親しみが出たし、そこからの立ち上がりも良かった。

    途中何度か出てくる著者のお母さんが出す雰囲気もいい。こんな母親を目指したい。

    音楽には疎いけど、一度著者の演奏を生で聴く、という目標を持った。

  • 私は音楽には疎いのでこの人を知らなかったのだけれど、有名なピアニストらしい。
    その人が脳梗塞で倒れ、右半身に麻痺が残る。
    発見が早く(というか舞台で倒れている)リハビリもして、体が動くようにはなった。
    でも、プロのピアニストとして満足できるほどには右手の指を動かせない。
    で、左手一本で弾き始める。

    大変なのは当たり前で、努力するのも当たり前だと思ってる人なんだろうと思う。
    リハビリも練習もきっととんでもなく大変だったろうに、淡々と普通に描かれる。
    それでさえ弾けない苦しみがにじみ出る。

    だから、片手の楽譜に出会った時の希望と絶望はすごいもんだったろうと思う。
    大事なものがあるっていうのはすごいことだ。

  • 【library222所蔵】【rent only】

    脳梗塞で右手の自由を失った「左手のピアニスト」舘野泉のエッセイ。

    この人の音楽は、左手だから素晴らしいのではない。
    五本の指で弾こうが、十本で弾こうが、二十本で弾こうが、鼻で弾こうが、そんなことはどうでもいいのだ。
    普通の人ではできないことをなしとげた苦労も、まるで三人が弾いているかのような素晴らしい調べが片方の手から紡ぎだされていることももちろん賞賛に値するが、何よりも素晴らしいのはこの人の音楽へま情熱、だろう。

    もしこの人がまた左手を失い、言葉も失い、表現するという手段を万が一奪われたとしても、彼の空想の庭において彼が音楽を想っている限り、彼は永遠の音楽家である。

  •  ピアニスト館野泉のエッセイ集。
     一応、脳溢血から「左手のピアニスト」として復活するまでの闘病記とあるが、闘病記そのものは、半分もない。倒れる前の精力的にやっていた演奏旅行とか、作曲家についてとか、自然のこととか、そういう方が主になっている。
     元々感受性の強い人だと思っていたが(演奏とか、音楽雑誌で見るエッセイとか、監修した楽譜の解釈とかから)思っていたとおりであった。いや、思っていた以上に感性豊かで、まじめで、とにかくピアノが好きな人だった。
     闘病記も、ピアノも、作曲家も、なにも関係ない人にもぜひ読んでもらいたい。でもって、今ここに存在しているという命の美しさを感じて欲しい。

  • エッセイも写真もすごく上手!

  • ピアノ演奏はもちろんのこと、執筆の方も大変素晴らしいです。本人は簡単に軽々と書いてらっしゃいますが、想像を絶する辛く苦しい闘病生活だったはずです。ピアニストとしてだけでなく人間としても尊敬いたします。

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著者プロフィール

ピアニスト。1936年東京生まれ。
領域に捉われず、分野にこだわらず、常に新鮮な視点で演奏芸術の可能性を広げ、不動の地位を築いた。2002年に脳溢血で倒れ右半身不随となるも、しなやかにその運命を受けとめ、「左手のピアニスト」として活動を再開。尽きることのない情熱を、一層音楽の探求に傾け、独自のジャンルを切り開いた。“舘野泉の左手”のために捧げられた作品は、10ヶ国の作曲家により、100曲を超える。2023年は数え年で88歳を迎え、「米寿記念演奏会」全国ツアーを行う。もはや「左手」のことわりなど必要ない、身体を超える境地に至った「真の巨匠」の風格は、揺るぎない信念とひたむきな姿がもたらす、最大の魅力である。

「2023年 『ハイクポホヤの光と風』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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