長谷川りん二郎画文集静かな奇譚

  • 求龍堂
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本棚登録 : 55
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784763010124

作品紹介・あらすじ

心を澄まし日常の異界に遊ぶ謎の画家。全貌を伝える唯一の画集。"猫"との日々を綴った「タローの思い出」ほか、幻の随想多数収録。

感想・レビュー・書評

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  • 2010年度展覧会の公式図録。今回初めてまとまった数の作品を見ることができたのだけれど、長い画家生活において20代(1930年頃)から一貫したスタイルを維持し続けていたということが驚きだった。ややスモーキーな、それでいて透明感のある色使い、端正に整えられ不思議な「間」を感じる構成など、いつまでも愛でていたくなる一冊。地味井平造(じみいへいぞう)の名義で探偵小説家としての顔も持っていたという画家の、穏やかなユーモアのある人柄がしのばれるエッセイも収録されている。表紙の「猫」(1966、宮城県美術館)はいつか見に行きたい。

  • 回顧展の図録となったものだが、本人の文章あり作品集としてだけでなく、読み物としても貴重な一冊。

  • いやあ、なんとも。この猫が。

    ヒゲが片方にしかないのは、必ず見ながら描くこの方、これを描くのに何年?もかかり、その間にこの猫が死んでしまって、描けずに終わってしまったから、らしい。

    愛された猫。

    この長谷川さん、探偵小説もお書きになるんですね、読んでみたくなりました。

  • 長谷川潾二郎--明治37年、函館生まれの画家。遅筆・寡作で、画壇ともあまり関わらず、存命中から物故者と誤解されたこともある。兄は『丹下左膳』の林不忘であり、他の兄弟も文芸に才があったそうだ。潾二郎自身も地味井平造の名で小説を書き、江戸川乱歩に認められていたそうである。

    実物を見ないと描けない人だったそうだ。表紙の猫の絵は片方ヒゲがない。猫が同じポーズを取るのを待っているうちに、猫が死んでしまったらしい。

    静謐な風景画は、夕暮れのかくれんぼを思い出させる。隠れているうち、みんな帰ってしまって1人になったときの不安。懐かしくどこかシュールな。

    静物画の陶磁器やガラスに映り込む、窓の影が美しい。

    個人的には『木と鳥』の絵が一番好き。次が『窓とかまきり』。

    絵に加えて、エッセイも収録されている。写生の際の通行人との会話など、何気ない一コマのスケッチが独特の味わいを醸し出している。

    今年、大規模な回顧展が巡回で開かれているが、本書はその公式図録ともなっているそうである。
    『静かな奇譚』というタイトルがいい。

    *この人の絵を見てみようと思った直接のきっかけはテレビの『日曜美術館』だけれど、そのまたきっかけは新聞の書評で、でもその書評に目が行ったのは、そもそもたなぞうで見かけたから。というわけでThanks to Tanazouです。

    *中学時代の友人には久生十蘭がいたという。

    *地味井平造っていうのは、江戸川乱歩みたいに、「ジミー・何とか(何だろ?)」のもじりなのかな・・・? 

  • 平塚市美術館で購入。
    洲之内徹の「きまぐれ美術館」で引用されていたタローの履歴書が全文読めた。
    このような画文集を出す出版社、編集者に感謝。

  • 2010.04.25 日本経済新聞に紹介されました。

  • 解説を読むまで気付かなかったのですが、表紙の猫には片方のヒゲしか描かれていない。なんでも実物が前にないとかけないそうです。猫はきっと途中で目が覚めて何処かに行ってしまったんでしょうね。風景画が綺麗です。でも上記の解説を読んだ後なので、絵の中に描かれている子供達はじ〜っとしていたのだろうかと余計な心配をしてしまいます。

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