- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784763010278
感想・レビュー・書評
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青空文庫で読んでいた松園の随筆だがまとめて読むとかなりボリュームがある。花鳥風月や季節の移ろいを描写した鏑木清方の随筆と比べると松園先生は最初から最後まで本当に絵の話しかしておらず「この人、本当に絵が好きで好きでたまらなかったのだな〜」と沁みた。息子たちと中国に旅行していたのは知りませんでした。「普段は夜は絵を描かないが夜絵を描いて浸り切るのがたまらなく幸せ」というのは、松園先生に爪の先ほども及ばないアマチュアの私も共感しました。生意気にすみません。かなり気の強く意志が強い女性だったのだなあと思いました。
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上村松園の言葉を聞きたくて、手に取った。
さまざまな苦難の中で、手にしたものを
大切にし、妥協せずに突き進んできたこと。
それを、しっかりと支えてこられた母への愛、
深い感謝の思いが感じられる。
うまくいかないとき、
あぁ失敗した!
と、投げ出しがちがちなことも
そこに、諦めずに工夫し、結果
より自らの芸術を進化させる契機にしたという。
「一点の卑俗なところもなく、
清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ
私の念願とするところのものである。
その絵を見ていると邪念の怒らない、
またよこしまな心を持っている人でも、
その絵に感心されて邪念が清められる……
といった絵こそ私の願うところのものである。」
どの作品にも流れる清潔な気品は、
こうした想いから生まれてくるのだと知る。
気魄と克己心の人。
読んだことで、背筋が伸びる想いになった。 -
美人画でいいなと思う絵がことごとく上村松園だったので、わたしはこの人の描く絵がとにかく好きなのだと思う。凛とした品のある女性の姿。描く上で画家が何を考えていたのか、どう努力してきたのか、本人の言葉で語られる。文章を集めたものなので重複も多いけど、ほとんどぶれがない。能楽について語られる内容が多くて意外だったけど、題材をみれば自明なことかもしれない。
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「美人画」を確立し、「花がたみ」、「焔」、「序の舞」、「草紙洗」などで知られる日本画家、上村松園のすべての随筆(青眉抄、青眉抄その後)を収録したもの。時に苛烈な物言いからは、画業一筋に生きた松園の想いが伝わってきます。作品の背景が窺われるなど、非常に読みがいがありました。