さもなければ夕焼けがこんなに美しいはずはない

著者 :
  • 求龍堂
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本棚登録 : 31
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (112ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784763011084

作品紹介・あらすじ

安曇野にこもり、ただ一人の力で執筆と作庭に明け暮れる小説家のエッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 安曇野に移り住み、いまやガーデニングならぬ庭園作家としての活躍が目立つ、孤高の作家の独特の美学と内面的なつぶやきを綴る12か月のエッセイ集。実に極私的な庭作りへの思いと独自の美学、そして文学論が語られる。 老境を迎えた孤高の作家の眼は、自己の行く末も見据えながら、自ら手がけた庭の中の生の謳歌を讃え、季節の移り変わりの悠久を見定める。語るのは、冬の静謐、高揚する春の訪れ、夏の虚脱、そして紅葉に彩られる秋の絢爛だ。まさに人の一生にも匹敵する庭の移り変わりが、生の喜びも滅びの美学ももたらすという。本書のやや抒情的なタイトルは、冒頭に置かれたヨハン・ペーター・ヘーベルの『アレマン詩集』の一節から取られたものだが、未来を語るその詩句の先に、著者は自ら予感する死の影を重ね合わせているのではないかという気がする。

  • 「この世に存することの唯一の命題は、ひたすら生き抜くことのみであって、決してほかの何かではない。」生きる勇気と元気を貰った。

  • 13/01/28 

  • 安曇野で執筆と庭作りに明け暮れる小説家の随筆です。
    植物を通して導き出された言葉がすばらしい。

    1か月ごとに語るテーマが違っていて、(以下、目次より)

    3月「鳥だって、この世を生きているかぎりはいろいろある」

    10月「紅葉がもたらす陶酔の一日を
       くぐりぬけることができさえすれば
       上出来の生涯と言えるのではないかと、そう本気で思う」

    12月「本来具わっているその力を信じ、万難を排して
       その力を発揮しようとする者たちの輝きは
       バラのそれをはるかに上回る見事なものになるだろう」

    著者の理想とする庭は、、、
    四季を通じての花いっぱいの空間のを作る事が目的ではなく、
    年に数日間ほど力一杯咲いて見せてくれればそれで充分と
    いう意味の事を言われています。

  • よくよく磨がれた刃物で皮膚を風が通るように触れると、その爽やかなタッチに、痛いというより何か起こったのか分からないことがある。サムライの神経が爪の先まで神経鋭く美を深く一瞬にして見つめつくす。
    もう、怖いです。しかし何度も覗いてみたい本。

  • 2011/06/07 文教堂で見かけて以来気になっていたIT批評の出版社サイトをのぞく→意外にもそこにWEB丸山健二

  • [さもなれば夕焼けがこんなに美しいはずはない]

    Author [丸山健二]
    Publisher [求龍堂]
    Reading Date [Thu.Mar. 10 , 2011]
    Contents 
    ・われわれにとって何かよい未来があるにちがいない。
     さもなければ夕焼けがこんなに美しいはずはない。
      ヨハン・ペーター・ヘーブル『アレマン詩集』の一節より

    ・本物の美は必然的に進化と深化の道をたどらなくてはならず、
     それを可能にするには飽くなき追求と地道な努力の積み重ね
     以外にあり得ない。美は無限であり、底なしであって、
     ために、ひとたびそこに足を踏み入れ、本道を歩むことの
     醍醐味を味わってしまった者は、二度と抜け出せない。

    Impressions 
    ・タイトルの美しさと園芸が好きなので、
     手に取ることになったこの本。
     初めて丸山健二氏の本を読んだが、
    「全ての芸術は偶然の産物であるとする説は
     、どうやら正しいのかもしれない」という
     芸術観はどうなんだろうと、ちょっと考えてしまう。

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著者プロフィール

丸山 健二(まるやま けんじ)
1943年長野県生まれ。1964年国立仙台電波高等学校卒。
1966年に第23回文学界新人賞を受賞した小説「夏の流れ」が、1967年に第56回芥川龍之介賞を受賞。23歳0カ月での芥川賞最年少受賞記録は2004年に19歳の綿矢りさが受賞するまで破られなかった。男性作家としては最年少受賞者。
1973年に「雨のドラゴン」が第9回谷崎潤一郎賞候補作、1976年に「火山の歌」が第12回谷崎潤一郎賞候補作、1987年に「月に泣く」が第14回川端康成文学賞候補作となる。しかし全て受賞を辞退。
2013年、丸山健二文学賞創設。2015年丸山健二塾を開始。長野県安曇野に移住し、文壇と一線を画した独自の創作活動を続けている。

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