- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784763018281
作品紹介・あらすじ
「とにかく、ぼくは死んでここにいる」
突然の事故で死んでしまった少年ハリー。あるときハリーは青空のむこうから地上に降りてくる。
やり残したことがあるから……。
死んでいるのに、あっけらかんとしてユーモアたっぷりの主人公ハリー。
そのハリーが物語を通して、「生きている今が大切なんだよ」というメッセージを私たちに伝えてくれる、読後感の爽やかな感動の一冊。
多くのファンをもつYAの名手アレックス・シアラーを日本で初めて紹介したのがこの作品。
多くの読者に感動を与えた64万部突破のベストセラー小説。
文庫化を望む声に応え、このたび待望の文庫化!
感想・レビュー・書評
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新年度中学生にお勧めの本を探して。
11歳のハリーは<死者の国>に来たばっかり。家族と喧嘩して家を出た後トラックに轢かれて死んでしまったのだ。ぼくはいつまでここで死んだままなの?ここにいる他の人達は何をしているの?
<死者の国>のことは150年くらい前に死んだ同年代の少年アーサーに教えてもらってる。アーサーが言うには、死んだ人に心残りがなくなったら<彼方の青い世界>にいくんだって。捨て子で馬屋で熱病に罹って死んだアーサーはずーーーっとお母さんを探しているんだ。
ではぼくはなぜここにいるんだろう?そうだ、お姉ちゃんに言いたいんだ。家を出る前にあんな酷いことを言ってごめんなさいって。でもどうやればいいんだろう?
アーサーは言った。「気分転換に<この世>に行こうぜ!!」
よくわからないけれどぼくはアーサーについていって、生きているの世界に降りたんだ。
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語り手は幼くして亡くなった少年ですが、全体的に前向きで軽妙です。
<この世>に降りて、自分が死んでも学校や友達には影響がない(あるけれどいつまでも引きずってはいない)ことにショックを受けながらも、その後家族があまりにも嘆き悲しみ悔やんでいる様子を見て先に進んでほしいと願います。
11歳の少年らしいユーモアもあり、<この世>に留まって文句をいうだけの幽霊たちに「あんなのがいるから幽霊の評判が落ちるんだ!自分が死んでいるのが恥ずかしいよ!」なんて思います 笑
この11歳の少年を通して、死んだ人は生きている人の心に残ること、死んだ後はまた自然そのものとして還ってくるんだということが語られます。
ハリーは家族に思いを告げられるのか、<死者の国>に、または<この世>で幽霊として留まる魂たちは心残りを解消できるのか…。
爽やかな物語です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
はじめて好きになった本。物語が素敵。
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表紙から見るにとても内容とは想像のつかないものでした。さわやかな幅跳びの少年の話とか部活動の男の子の話かと思えば、すごく切なくもなり、涙溢れる一冊でした。もし自分の家族や自分の周りの誰かが亡くなった時おもいっきり気持ちを紙に書いて
あなたを忘れないよって伝えたいです。
アレックスシアラーさんの本って何歳が対象とかでなくたくさんの年代の人に手にとってもらいたいです。 -
トラックに轢かれて死んでしまったハリー。まだやり残したことがあって、死後の世界から〈彼方の青い世界〉へ行けないでいるハリーは、死んだあと150年もお母さんを探し続けているアーサーと一緒に、〈生者の国〉へ行く。残された家族や友達をただ見ることしかできないハリーは、やり残したことをやり遂げられるのか。
この本を読んで、死後の世界はどういうものなのかをユーモラスに描いているところ、死んでしまった主人公の〈生者の国〉での切なさ、最後目的をやり遂げられるのかといったところが興味深く読んでいた。でも訳者のあとがきで、「これは死についての本でもなく、死後の世界についての本でもなく、この世界で生きることについての作品」と書かれていてハッとさせられた。ハリーが死んでから一番気にしてたのは、死んでから自分がどうなるかより、生きている家族や友達がどうしてるか、これからどうしていくのか、ということだったかも。そしてそのわだかまり?が解消されて初めて、死んだあとのこと、生きるとはどういうことなのかがわかってきた。こんな話を題材にするのが、すごい作者だと思う。 -
自分もきっと後ろを振り返り
家族に逢いに行ってしまうと思った。
そんな簡単にお別れなんてできるはずがない。
亡くなった親父もすぐそばで見守ってくれている気がした。
ハリーの頑張りで鉛筆を動かし
エギーに気持ちを伝えられたシーンは嬉しかった。
この世とあの世、どちらも素敵な場所であって欲しい。
そう思いたい。 -
私が学生の時に家族に勧められて読んだ本を、最近祖母が亡くなって改めて読み返しました。主人公ハリーが死んでやり残した事をして成仏する話なのですが、重く悲しい雰囲気にならずユーモアのある表現が使われていました。非常に読み易く、作中に出てくる個性豊かなキャラクターに愛着も湧く作品です。
人が亡くなった後、魂は世界の一部になると思いますが、残された人達も辛い気持ちと良い思い出を心に残して生きていくと思います。読後に感じる達成感と寂しさ両方を味わえる本になります。 -
古い友人が好きな本。
シンプルに、今を生きる大切さを教えてくれる。1分先の未来に後悔のないように。
早くに父親を亡くしたその友人は、この本に大きく影響を受けて乗り越えたんだと、もしくはそれからの生き方を決めてきたんだと感じた。その友人と喧嘩をしたら、喧嘩をしたまま別れることができない。泣きながらも私の腕を掴んで離さない。ある程度話を落ち着かせてから帰らされることになる。当時はその行動が鬱陶しくも感じた。なんとなく感じとってはいたが、この本を読んで改めてその行動の理由を確信した。喧嘩をしたまま別れると、この後何が起こるかわからない、後悔したくないからだと。
自分の経験上、大切な人を失くした時、何かしら必ず後悔をする。どれだけベストを尽くしたとしても、私は必ず後悔をする。何かできる事があったんじゃないか。だけど、少しでもその後悔の数を減らしたいと思う。だから今、自分と目の前にいるあなたと過ごす時間を大切にする事で少しでも報われるのではないかとも思う。
子ども時代にこれを読んでいたらどのように感じたのだろうか。「生」と「死」がよくわからなかったあの時期に何を感じたのだろうか。大人になった今も正直何かはわからない。それでも年齢を重ねた今の自分は、むしろ「死」に対して考えさせられているように感じる。「もういつ死んでもええわ。みんな、おおきに。」と言っていた90代半ばだったおばあちゃんの言葉を思い出す。私にとっては衝撃の言葉だった。自分は「死」を前にして、この言葉が言えるだろうか。まる1世紀近く生きた自分の人生、「あの時こうすればよかった」「そうや、あの時‥」と悔いが一つもないわけがない。あんなこともあった、こんな事もあったと言いたくなる事柄を一切無かったことにして、すべてをひっくるめて「感謝」に変換して「死」を迎えられるだろうか。残した人に後悔をさせない生き方ができるだろうか。
前半は、児童書になれていないからか、一つの場面からなかなか次の場面へと切り替わらず、想定外のテンポで、繰り返される同じような言い回しが続くループで苦しんだ。後半からは、読み方に慣れてきたのか、そのゆったりとした世界観に入ることができた。まるで自分もフワフワとした雲の上に浮いているような、暑くもない寒くもない心地の良い空間でいるようにも感じた。 -
トラック事故に巻き込まれ気がついたら死んであの世にいた少年ハリー。100年以上前に死んだ少年アーサーと出会い、自分のいなくなった現実世界を幽霊として見に行くお話。
最初学校へ行った時は「みんなに自分の喪失を惜しみ悲しんでいて欲しい」と思っていたハリーが、我が家で自分の死を悲しみ続ける家族を見て「自分の死を受け入れて前を向いて生きていってほしい」と思うようになるところで家族への深い愛を感じた。
負の感情は一切なく、喧嘩ばかりしていた姉に嘘偽りなく謝り許しあえたところに、ハリーの幼さや少年らしい純粋さが見えて、まだまだ彼が若く社会を知らずに死んでしまったことを感じさせられて辛くなった。
アーサーが最後に探していた母と再会できたシーンはとても綺麗で感動した。
自分の愛する人がもし突然亡くなってしまったとして、その人がこういう世界に旅立ったのだと思えるようになれるなら、すごく救いのあるお話だと思う。