舟越桂—森の声を聴く

  • 求龍堂 (2024年6月28日発売)
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本 ・本 (132ページ) / ISBN・EAN: 9784763024060

作品紹介・あらすじ

世界的な彫刻家・舟越桂と日本を代表する美術評論家・酒井忠康が語り合った4つ対話を、酒井による舟越論で挟み、神秘の作品を作り続けてきた舟越桂の作品とその精神性を丁寧に追った記述の書。
1988年、酒井忠康はヴェネチア・ビエンナーレのコミッショナーとして、舟越桂の作品を世界の舞台へ紹介し、それを機に作品は世界へ広く知られることとなった。その3年後、当時、父で彫刻家の舟越保武の屋敷傍らに建てた、四畳半ほどのアトリエで制作していた舟越を初めて訪れた酒井は、驚くほどの狭さのスペース内の彫刻道具、何かの木片や部品、メモやスケッチ、その傍らに埋もれるように在る作品等が、作家の思索や記憶とともに詰まった様子に心打たれる。以来、30年以上作品と作家を見続けてきた酒井忠康の舟越論を通じて、作家の中に満ちる創造への独自の感性が鮮やかに伝わってくる。また、酒井忠康との対話のなかで、舟越桂が人生の中で目に留めた様々なことや人々が、いかにその魂を震わせて創作の表現につながっていくのかが、気取りない語り口で驚くほど率直に語られる。2024年春、病をえて72歳で旅立った彫刻家、舟越桂を深く知ることができる貴重な一書。

感想・レビュー・書評

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  • ▼東京大学附属図書館の所蔵状況(UTokyo OPAC)https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2003705914

  • 日本人は 大きいことは大きい国にはかなわない。
     頭の中で小さいものの中に宇宙を見る。

    彫刻は露骨。
     実感させることができる。絵の方が世界が広い。
     彫刻に億とかの値段をつけてはいけないという気がする。

    時計は右に。
     叩かれる方が衝撃がある。右手なら当たる衝撃はそれほどでもない。

    調和

     整った形のことだけではなく、意味の分からない部分も含めた美しさ

    夢は彫刻では作れない。
     彫刻の不自由さ、面白さ。だから彫刻の前では判断を保留している。(酒井)

    彫刻は長持ちする。「フィレンツェの婦人」 
     こういう彫刻が人類の歴史にいくつかあって、
     その間の空間に埋まるべきものなのにまだ作られていないものがある。
     それを作るのが自分の役目。

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著者プロフィール

1941年、北海道に生まれる。1964年、慶應義塾大学文学部卒業後、神奈川県立近代美術館に勤務。1992年、同館館長。2004年、世田谷美術館館長に就任し現在に至る。著書に『海の鎖』(小沢書店)、『覚書 幕末・明治の美術』(岩波書店)、『彫刻家への手紙』『彫刻家との対話』『ある日の画家』『ある日の彫刻家』(以上、未知谷)、『若林奮 犬になった彫刻家』『鞄に入れた本の話』『芸術の海をゆく人 回想の土方定一』『芸術の補助線 私の美術雑記帖』(以上、みすず書房)。『鍵のない館長の抽斗』『片隅の芸術と文学の話』『美術の森の番人たち』(以上、求龍堂)。『横尾忠則さんへの手紙』(光村図書出版)ほか多数。

「2022年 『遅れた花──私の写真ノート』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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