ほどよく距離を置きなさい

  • サンマーク出版 (2017年11月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (191ページ) / ISBN・EAN: 9784763136633

作品紹介・あらすじ

人を裁かず、心をほどく。
90歳の現役弁護士が見つけた、自分らしく生き抜く知恵。
人間関係の中で生まれる小さなトゲや心のからまり。
やさしい自分でいたいのに、本当はもっとやさしい自分のはずなのに、
怒りや嫉妬がそれを邪魔することって、ありませんか?

長く連れ添った夫や妻、子ども、嫁や婿。そして、気心知れた友人、ご近所さん。
自分の周囲の誰かと、思っているよりもう半歩だけ、ちょっと距離を置いてみると、やさしさを取り戻し、本来の自分らしく、心地よく生きられる。
そう説くのが、本書の著者、90歳の現役弁護士、湯川久子氏です。
九州第1号の女性弁護士として福岡市に開業してから、おもに離婚や相続といった人間関係の交通整理を専門に人間関係のもつれをほどいてきた湯川氏。1万件を超える相談案件を通して、「どんな人でも、外からはうかがい知ることのできない、悩みや迷いを抱えている」こと。そして、「ほどよく距離を置くことこそ、人が心地よく生きていくために必要な心がけ」と実感するに至ったそうです。
人の心は法で裁くことはできず、法廷で裁かれる「勝ち」あるいは「負け」が、人生の本当の幸せを決めることはない。60年以上にわたってそれを実感しながら、法で裁くことのできない人間模様を目の当たりにしてきた著者が、「それでは、本当の幸せとはなんだろうか」と思いを馳せ続けた結論が、この本につづられています。

離婚、介護によるトラブル、自殺など、多くの問題を抱える現代。人とつながることは簡単になっているはずなのに、それに反比例するかのように、人間関係は希薄になり、孤独な人を増やしているのかもしれません。
そんな今だからこそ、時代が移ろおうとも変わらない、本当の幸せな生き方とは何か、考えてみませんか?  
やさしく、しなやかに、あらがわず、でも、流されず――。多くの相談者が「話すだけで心が軽くなった」と信頼を寄せる現役弁護士の生き様から紡ぎ出される言葉が、あなた本来のやさしさを、きっと思い出させてくれることでしょう。

感想・レビュー・書評

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  • 帯に書かれている事が1番大切で分かりやすいかも。話の内容は弁護士という仕事を通しての人との関係性なので少し思っていた内容とら違ったかもしれないけれども客観的に見たらこういう事なのかなと思ったり。帯に書かれている事だけでも忘れずに覚えておきたいです。

  • 「争いごとで命の時間を無駄にしない。和を尊び選ぼうとする人は、必ず幸せへと導かれる。」その言葉に全てが詰まっているように思います。弁護士として60年余りを過ごした筆者の言葉はわかりやすくてするすると心に響いてきました。

  • スタエフで紹介されて読みたくなった本。一歩引き、程よく距離があるとき、人は不思議と優しくなれるということ。これは夫婦、子供や親、近所付き合いや友達、会社の同僚など、どの人にも当てはまり、さらには自分自身を見つめ直す際にも役立つ考え。
    問題の真っ只中にいる時はそれしか考えられないが、一歩引く・俯瞰してみることで問題が一部分であったり実は大したことでなかったりしてくる。
    1人で生きてきたつもりでも、まわりの人に支えられ、生かされてきたのだと知る。
    人は素直な気持ち、本当の気持ちを隠してしまいがちだが、そこに気づけた時にはいがみ合っていたとしても許せる心も芽生えてくる。一人一人の考え、価値観は違うから、そのことに理解し頷いてあげられる心のゆとりが大切。
    心の糸をほどいていくという感覚、いいな。
    281冊目読了。

  •  争うことで幸せは訪れない。分かってはいるけれど、渦中にいるときはなかなかそうは思えない。だからそんな時こそ「程よく距離を置きなさい」なのですね。

    「争いごとで命の時間を無駄にしない」
     …本当に時間の無駄。自分の幸せになれる方法をさっさと模索した方が絶対幸せになれる。

    「問題の中に自分がいるのではなく、夢や希望、自由がある自分という世界の中の一点に、一つ問題が起きているだけ。俯瞰して自分と問題を見つめることが出来れば、問題解決の糸口は必ず顔を出します」
     …問題の渦中にいるとどうしても視野が狭くなりがち。問題は自分の中のほんの一部にしか過ぎない、と気付く事が出来れば幾分気持ちが軽くなります。
     
     著者は大変心根が美しい方です。成長期の生い立ちが複雑だったのにこんなに真っ直ぐ育つこともあるのですね。
     
     ママ友の会では他人のことではなくて自分のことを話しましょう、等という提案には素晴らしくてため息が漏れました。こういうリーダーや弁護士には着いていきたくなります。周囲の方にも恵まれているご様子で羨ましい限りです。この方が気高くていらっしゃるので類は友を呼んで、そういう方が集まるのでしょう。

     やはりここでの著者からの女性陣へのアドバイスは多くの女性先達から言われていることと同じでした。上から三番目まで。女性は自分を守っていく上での武器を身につけないと大変苦労しますから、大変大事なことだと思います。
    ・経済的自立
    ・精神的自立
    ・社会的自立
    ・自分のことは自分でやり、出来ないことは人に頼む
     最後は、このご長寿社会に必要なアドバイス。

     それと、これも多くの方が教えてくださっていますが、趣味を持って心の居場所を複数作ること。視野が広がっていくのだそうです。
     私ももう少し居場所を増やしてみよう。

  • 年をとるプラス面が印象的だった。今まで持っていたプライドや悩みがなくなるわけではないけれど、気にならなくなって、ほどけていくような感じ。物事に少し寛大になっている自分がいる。
    そして、できなくなったことにこだわるのではなく、できることに集中して楽しもうとするようになる。
    こういう生き方はいいなと思った。

  • 時代柄、女性が弁護士として活躍するには苦労も絶えなかっただろうに、自身の辛かった経験はさらっと語るに留めているところに、酸いも甘いもかみ噛み分けた筆者の成熟した心を感じる。
    どちらかというと、調停の場で出会った人々のエピソードを中心に、読者へ人生のアドバイスを送っている内容で、読んでいると背筋がぴんと伸びる。

  • 読み始めから、心に響く、常に読み返したくなる言葉が次々と。

    「話す」ことは「離す」ことであり「放す」ことにつながる。

    だから、人に話すと心が少し軽くなることがあるんですね。

    司法試験に向けて勉強する筆者に
    「勉強さえすれば通る。あとはテクニックだ」と言った弁護士のお父様に対し、
    「文学好きの頭で通るはずがない」と内心反発していたというところは、去年行政書士の勉強をした私も思ったこと。

    前向きな性格でたいがい過去に後悔はしない私でも、「ああしていれば」とか「こうだったら」と思うことはあります。
    でも、
    「過去にこだわっている限り、新たな道を選ぶことすらできない」
    「最後に目的地へたどりつけるなら、どの道も間違っていない」

    そう信じていきたいです。

    「相手のよさは『ある』かどうかではなく『見る』かどうか」

    これにはハッとしました。

    もともと私の信条としていたことも。

    「子は言うことは聞かないが、親の姿を見て学ぶ」

    そして、
    「本音を伝えることが、問題解決の第一歩」
    でも、
    「自分が言われたくないことは、相手にも言わない」

    などなど。

    人生後半に入った今(明日終わるかもしれませんが)、より幸せに生きるヒントをたくさん与えてもらえたと思います。

  • 弁護士を目指す彼女のお母さんが薦めてくれた本。
    人間関係を糸に例え、たくさんの絡まった心をほどいてきた湯川先生。
    身の回りの人を素直に大切にしようと思えた。やさしい言葉には説得力がありました。ありがとうございしました。

  • ココロがささくれてやたらと他人を責めたくなった時読むと穏やかになれそうなヒントがありました。
    .....
    司法試験に何度も落ちた末、やっと合格した時、嬉しかったと同時に「私は優秀ではないけれど一生懸命仕事をしよう」と決めました…という雑誌のインタビュー記事で著者に興味を持ちました。
    若い時に読んだらおばぁちゃんのお小言のように受け取ってしまいそうな部分もあるけれど、◯と✖︎だけではままならない事が人生多いのだと思える今ならナルホドと思うのです。

    「一歩引くとき、人は少しやさしくなれる」
    表紙裏の一言でガツンときました。

  • 人との関係性や自分の中での葛藤で悩むとき、「距離を置く」ことで解決できるような気がするくらい、「距離を置く」ことが重要であることがわかった。

    自分は、「こうしなければいけない」「こうでなければいけない」とか、自分の中で視野を狭くしがちであるが、一度その考えから距離を置くと落ち着く気がする。

    この本は弁護士である著者の経験談が数多く登場し、いろんな事やいろんな人がいるんだと、自分自身を俯瞰して見ることができるいいきっかけになった。

  • 著者の湯川久子さんは、執筆当時91歳の女性弁護士さん。長年の実務経験に加え、趣味で能楽を50年以上続けてきたそうです。熱心な父親の力ず良い支えもあって、当時女性がほぼいない、法学部、そして弁護士試験に挑まれ、くじけそうになりながらも、2回目で見事合格され、弁護士の道を踏み出されたそうです。

    タイトルを見ると、一見、ビジネス書でありそうな、他人と距離を置いて自分を高める、みたいなことかと思ってしまいますが、
    そうじゃなかった。誰かを打ち負かして自分が上に立つのではなく、優しくなることを目指す。

    自分の心は今どこにあるか、謙虚に見つめる視点を忘れない。



    和解を助ける弁護士
    そもそも、私が持っていた弁護士や裁判のイメージは、罪を裁いて正義を追求する、相手を打ち負かす、といったようなもっと固いものでした。
    でも実際には、法律は完璧な正義ではないから、弁護士さんがいるのだ、ということを知りました。

    __法律は、人間関係の問題を解決するためのルールです。もちろん、法律ですくわれる人もいますが、時として、法律が現実に起きていることにそぐわないこともあります。その隙間を埋め合わせるのが私たち弁護士の仕事だと思っています

    本書では、和解に重点を置いている著者のアプローチが伝わってきました。
    著者のクライエントとに向き合い方は、法律を通して対処することも、日常の人間関係と切り離されずにその延長としてあると感じられるものでした。
    和解の糸口を見つけることができること、そのための自分自身の心の持ち方。

    正しいことは控えめに言う、噂話ではなく、自分が何を感じているか、自分の心の居場所に意識を向ける、というようなお話もありました。

    「もつれた糸をほぐす」と表現されていますが、弁護士として現実問題に向き合い続けてこられた年月を想像すると、さらにその言葉の重みが増しますね。



    「話す」ことは「離す」こと
    著者は、「話す」ことで、問題とほどよい距離が生まれる、といいます。
    「離見の見」という『花鏡』で述べられた言葉が紹介されていました。
    演じ手が自らの身体を離れて客観的な視点を持ち、あらゆる方向から自信の演技を見る意識。
    心のなかにため込んだ苦悩や怒りを言葉にして誰かに話すことは、心の治療のような効果がある、と。
    弁護士もセラピストみたいですね。でもきっとこれは私たちの多くも日常にしていることなのだろうと思ったり。
    近視眼になっていないか、自分中心になっていないか…距離を意識する対象は、実は他人ではなく自分なのですね。

    心を温かくする
    人には心があること、まずは自分の心を温かく持つことの大切さ、が綴られています。
    紹介されていたストーリーのひとつが、『くつやのマルチン』。
    __結局、神は現れませんでしたが、自分が世界で一番哀れだと思っていたマルチンは、もっとかわいそうな人がいることに気づきます。そして、自分のような者でも、人にやさしくしてあげられることがわかり、なんだか心のなかがとても温かくなっていくのでした。
    すべての人、すべてのものには神が宿る、それらを大切に扱うことは、自分を大切に扱うことに等しい、
    愛のあるところに神もある、と。
    きっとここで述べられている「神」は、自分を超えられる存在、のようなものなのではと思いました。



    自分の残す姿
    人は老いるし、死ぬけれど、それでも、生きてきた重みがあるかと考えると、それは、大切な人に思い出されることと関係があることが述べられています。
    覚えられている人というのは多くの人から覚えられている、
    覚えられているのは、晩年の姿ではなく、はつらつとした魅力ある人物として。

    また、相続に関する数々の問題にもかかわってきた著者は、残すもの、についてもこう伝えています。
    __まずは、自分が楽しく、笑顔で過ごせる老後を送ること。そのために、お金を使うこと。余力があるなら、自分が生きてきた世界、そして自分の子どもたち、孫たちが生きていくこの世界のためにお金を使うこと。その姿を見せることが、子孫への大きな財産の継承となるのではないでしょうか。

    突然降ってきたお金は人を不幸にもすると。
    現実社会、お金を貯えることに価値を置きがちではありますが、本当に幸せを願うなら大事にすべきものはお金の量ではなくて、姿…?!

    まことの姿
    たしかに、覚えられる姿って、その人の生きてきた重みがあって強く浮かび上がるもの、まことの姿、まことの花のことなのだろうと思います。
    「時分の花」ではなくて、「真実の花」。かりそめの自分の姿におごらずに、初心、つまり未熟な自分への自覚を忘れずにいることの大事さは、本書の初めのほうでも強調されています。

    そして、誰かの姿をもって、私たちはこれからの希望を感じられることもあるし、まさに、希望や活力みたいなものを、周りにも後世にも生み出すことが生きる中でできることなのかもと思ったりしました。
    自分の姿が、大切な誰かのなかに残るか。どんな姿を人生を通して生み出したいのか。実際生み出している姿との差がないか。少し自分から一歩離れた視点で考えてみたいと思いました。

  • 合理的アプローチ。
    弁護士さんが書かれてるから仕方ないかな

  • 心のきれいな人が書いた文章という感じ。
    目の前のことを1歩引いて見る視点は大切だなぁ。熱くなっちゃう時こそ。

  • 一つ一つの言葉が、じんわり響きました。
    あたたかい気持ちになれ、
    あぁ、頑張りすぎなくていいんだな
    と感じられました。

    著者の言葉をすんなり受け止められるのは
    著者の経験や人柄からくるものなのかもしれません。

    だれも答えが見えない距離感をテーマにし
    向き合わせてくれるすてきな本でした。

    思わず友人にオススメしてしまいました!

  • 趣味という自分の居場所はやっぱり大事だなー。
    「それは、趣味とは心の居場所であり、その居場所はたくさんあったほうが視界が開けると感じるからです。たとえば家庭や仕事の中で苦しいことがあっても、趣味に没頭する時間や、趣味にまつわる人間関係が自分を支えてくれます。」(144ページ)自分は今居場所のはずの趣味が楽しくないから生活がつらい。居場所を増やしたい。

  • 九州で初めての女性弁護士になった湯川さん。
    もつれた人生の糸をほどいてきた経験から書かれていた。
    心に残ったことは、話して→話して→放す
    許さないってずっと思うことよりも穏やかに生きることを選べる人でいたい。許さないって気持ちを持つこともあるけど、それに固執せずにいられるように心がけたい。許さないではなく、許したくないだと思うから。
    誰かに投げかけたものは同じ顔をして返ってくる。愛あるところ、神もある。愛を自分から投げかけられる人は、どんな状況でも再出発できる。

  •  優しい中にも芯があって強い言葉がたくさんの、とても素敵な内容でした。
     私も著者さんのように懐を深めながら時を過ごしていきたいなと思いました。

  • ~ささった言葉3選~
    1.「長生きは、もつれた糸を幸せな結末に結び直す人生のボーナスタイム」
    2.「正しさを追求していると解決から離れていくことがある」
    3.「相手を打ち負かした高揚感は、相手を裁いたむなしさに変わる」

    90歳にして現役の女性弁護士が人間関係の距離感の極意について書かれている本だけに、大変説得力があります。

  • 「はじめに」の言葉から、あー、そうなんだ、と気持ちに響いてきました。
    〈 誰かと関わるとき、その対象との距離感をはかりながら、もっと近づきたいと押しすぎたり、自分なんてと引きすぎたり、時に間違い、修正しながら人間関係を織りなしていく。人生とはその時々で誰かとのちょうどいい距離を見つける作業の連続です〉
    誰とでもうまくやれるわけでもない私は、人間関係を築くのが下手なのか、と落ち込むこともあるのですが、著者のような方でさえ、人との距離をはかることが始めから上手くいくわけではないのだと思うと気が楽になりました。
    若い頃は勢いで生きていたけれど、50才を過ぎてから、もっと違う視点でものを見たり、自分の生きてきた道を振り返って、関わってきた人たちとのことを振り返って考える時間が必要だと思うようになりました。
    本書を手元に置いて、悩んだ時は、人生の先輩である著者の言葉を参考にして、ほどよい距離感で、親子、親戚、友人たちと楽しく気持ちよく過ごしていきたいと思います。

  • 明瞭で優しい文章。
    きっと肩の力の抜けた素敵な方なんだろう。

    今の私に響いたのは
    つらかったことが幸せな記憶に変わったらそれは、成熟のしるし
    という言葉。
    苦労を思い出として語るとき、それは頑張った自分を誇らしく感じる時間であり、幸せな今を実感する時間でもある。確かにとても嬉しかったことの過程には苦労があるなぁ。

    他にも
    正しいことは人を傷つけやすいから、ほんの少し控えめに言うこと

    相手の良さはあるかどうかではなく見るかどうか

    本当の思いは行動に滲み出る

    人は一番の本音を言わずに二番目を言いたくなる生き物

    など、心に留めておきたい言葉がいくつかありました。

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著者プロフィール

中央大学法学部卒。1957年九州初の女性弁護士として福岡市に開業。1958年より2000年まで福岡家庭裁判所調停委員。宝生流教授嘱託。

「2007年 『法の花暦 弁護士五十年を生きて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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