生物学的に、しょうがない!

著者 :
  • サンマーク出版
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感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784763139078

作品紹介・あらすじ

(編集中)

感想・レビュー・書評

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  • 様々なネガティブ感情、ネガティブ状態を「生物学的に、しょうがない!」と無罪放免してくれる書。

    「人前で話すの苦手」「おいしいもの食べて太っちゃう」「勉強嫌い」「嫉妬しちゃう」「片づけられない、捨てられない」「気が散って集中できない」「後悔しちゃう」「周りの人の目が気になる」「笑顔につられて商品を買ってしまう」「期間限定に目がない」「知ったかぶりしてしまう」「困っているけど人に頼れない」「自分が揺らいでしまう」「恋心が冷める」「人肌恋しい」「病気になっちゃう」「年とるとシワが増える」「人生がむなしくなる」「寿命で死んでしまう」etc.

    …それは私です。という人も多いのではないだろうか。
    こういった感情・状態を「ポジティブに諦めよう!」と、するのが本書の趣旨。…だって生物の本能なんだもの。

    これらの感情・状態が本能だと諦められれば、ちょっとラクになりませんか?
    「がんばればどうにかなること」と「がんばってもどうしようもないこと」を明確化するのが幸せへの秘訣、って聞いたことがある。


    章の最後にある「生物学的に、しょうがなくない!」のコラムも、ためになる。

    ちょっとふざけた語りでクスクス笑いながら楽しく読める。そこは『嵐のワクワク学校』の講師や『サイエンスZERO』『ビートたけしのTVタックル』などのメディアに多数出演する著者の腕だろう。

    • 5552さん
      Macomi55さん、こんにちは

      実はこれ、本の中で挙げられているものの中で自分が当てはまるものをリストアップしたんですよ。
      「寿命...
      Macomi55さん、こんにちは

      実はこれ、本の中で挙げられているものの中で自分が当てはまるものをリストアップしたんですよ。
      「寿命で死んでしまう」などは誰でも当てはまるとしても、Macomi55さんとずいぶん被ってますね!
      勝手に親近感を覚えてしまいました。

      仕事を辞められたとのこと。
      「どう頑張っても人並みにできない」
      あ〜、ここもものすごく親近感を覚えます。
      昔、「お前には一生この仕事は無理」って言われたことありますもん。
      中々仕事が出来ない不全感というのはつらいものがありますよね。

      年齢を重ねるにしたがって、体が老いてゆくのは当たり前のことだとはいえ、受け入れるのも大変ですよね〜。
      私も自分の増えた白髪にうわ!って、思います。
      でも最近、思うんです。
      老いてきたってことは、これまで生きてきたって事だなと。
      そうすると、今までよく頑張った、私の体!みたいな慈愛が湧いてくるんです。
      Macomi55さんの体も頑張ってきたんですよね。もちろん、心も。

      長々とごめんなさい。

      Macomi55さんの新たなスタート、勝手ながら応援します。


      2021/07/30
    • Macomi55さん
      5552さん
       有難うございます!元気がでます。
       白髪といえば、私は5552さんの頃に染め始めたのですが、今はその間隔がどんどん短くなり、...
      5552さん
       有難うございます!元気がでます。
       白髪といえば、私は5552さんの頃に染め始めたのですが、今はその間隔がどんどん短くなり、もうお金もったいなくて、少しくらい気にならなくなりました^_^。
      でも、完全に吹っ切ることはまだ出来ないんですよ。まだ心が若いってことですよね。
      2021/07/30
    • 5552さん
      Macomi55さん

      心が若いっていいことですよね。
      白髪はチラホラ見つけてたときは抜いていたんですが(抜いたらイカンと言うけれど)...
      Macomi55さん

      心が若いっていいことですよね。
      白髪はチラホラ見つけてたときは抜いていたんですが(抜いたらイカンと言うけれど)、最近は追いつかなくなってきてます。
      Macomi55さんはこの年齢の頃染めはじめたのですね。
      グレイヘアにまっしぐらというのも勇気がいりますし、やっぱり体と心って体の方が先に年齢を重ねて行くんでしょうかね。
      2021/07/31
  • 人が雨の日に出かけたくない、人前で話したくない、漠然とした不安を感じる、などネガティブな感情をもったり、浮気をしたり、マウントを取ったりするのは、すべて狩猟民として暮らしていた頃の名残、あるいは霊長類も持つ特徴であり、"生物学的にしようがない"と、バサバサと切っていく。

    ネガティブな感情に負けて鬱状態になっている人にとっては、「自分が悪いのではない、人間の性だから」、と割りきることも大事だと思うし、そういう人を意識して、面白く書いたてもりかもしれないが、人間関係などにモヤモヤしながらも、事態を改善したいと考える読者にとっては物足りない内容。

  •  20世紀末に、進化論と脳科学を介して心理学と生物学は強く結びつくようになった。アメリカの心理学教育のバイブルとされる教科書では、心理学の各項目に生物学的視点と脳科学的視点が併記されるようになった。こうした科学的知見を背景に、進化心理学者の著者が「生物学的にしょうがない」「人間だって動物なんだから」という見方で、生物としての人間、そして個人の遺伝的特性=個性に従って考えることにより悩みを解決しようと提言している。曰く、人間も、生物として遺伝的に規定された「向き・不向き」「好き・嫌い」がある。進化の過程で獲得した遺伝子の指令で得られた、人間という種として共通した「好き・嫌い」もある。また、最近の生物学の研究により、人間の数学や音楽などの諸能力や性格には、遺伝子が大きく影響しており、作り変えるには大きな努力が必要だとわかっており、人間という種内の遺伝的変異により個人の特性は大きく変わるということが明らかになっている。こうした、遺伝的に規定された自分の特性をもとに、どれを頑張るべきで、どれを諦めるべきかを見極めることが、幸福な人生を送るために必要と著者は説く。
     その上で、この遺伝的に規定される情動とうまく付き合っていく方法も併せて説明されている。著者によると、遺伝的に規定される情動や行動を「ホットハート」といい、これは狩猟採集時代に獲得された生物学的な特質である。これに対し、脳の前頭前野を中心とした機能である意識的な働きを「クールマインド」と定義し、「クールマインド」の理性的な行動で社会が高度化し、現在の文明社会が形成された。著者は、こうした「ホットハート」と「クールマインド」という両者があるという心の仕組みを知るとともに、狩猟採集時代に形成された「ホットハート」に裏打ちされた文化と、「クールマインド」に裏打ちされた現代文明の生物学的な齟齬があることを理解し、その違いを前提として「クールマインド」で  両者のバランスを取ることが重要という。例えば、「ホットハート」では、うまくいかないときに暴力に訴える対象法をとるが、文明社会では暴力をなくすという合意があるので、暴力に訴える気持ちを「クールマインド」でうまく抑制するということである。これは、本書の主張をもとに解釈すると、「ホットハート」により発動する暴力の衝動を、「クールマインド」で一方的に抑え込むのではなく、暴力の衝動が生じるのはしょうがないから受け止めるとしても、うまく逃がして別の形で表現するということだと理解できる。これは、アンガーマネージメントや、アサーションにも通じるものと思われる。このほか、「ホットハート」に対応するために、人間だけが生物学的に身につけた「想像力」を適度に発揮して対処することも有効としている。また、加えて人間の持つ「社会性」という生物学的な特性を生かすと、「ホットハート」で仕方がないことも「他者のために」と思うこともやる気が出て対応できる可能性がある。このため、生物学的にしょうがないことの一部は、自分の社会性をうまく刺激する環境を探し当てれば、改善が期待できるとのこと。
     こうした仕組みを知った上で、自身の「ホットハート」を受け止めて「クールマインド」で適応していくことが良いと思った。本書で紹介されていた、「ホットハート」、すなわち「生物学的にしょうがない」の中で、特に自分に当てはまると思ったものはつぎのとおり。これらを受け止めつつ、適応的に生きられればと思う。
    1. 人前で話すの苦手なの、しょうがない!
    →「人前で話したくない」と思うのには、オオカミなどの捕食者がいるかもしれないと感じてしまうから。人前で話すのが得意な人は、突然変異により見知らぬ人への警戒心が弱い人と、人前で話すのに慣れた人(話す内容に自信があり、経験を積んだ人)。
    2. 雨の日にでかけたくないの、しょうがない!
    →狩猟採集時代の生活習慣では、狩や木の実の採取は雨天では効率が悪くなるので、雨の日は静かにしている人々の集団の方が生き残りやすかったので、我々は雨降りでふさぎ込む心理を獲得した人々の末裔である。
    3. 後悔しちゃうの、しょうがない!
    →狩猟採集の失敗を後悔することで、行動の成功率が上がるので、後悔する傾向が遺伝子に組み込まれている。
    4. 幸せなはずなのにネガティブになるの、しょうがない!
    →生物学的に感情は、動物の行動を起こしたり方向づけたりするもの。現状が満ち足りた状態であると、新たな行動を起こさなくて良いので、感情が喚起される必要がない。このため、幸せなはずの状態では、幸福感は喚起されない。幸福感は、「これからよくなるぞ」という期待によってもたらされる。また、将来のことを想像すると、心配が生じ、現在が満ち足りた状態であればあるほど、未来は現在よりも悪くなると考えてしまうため、ネガティブになる。
    5. 困っているけど人に頼れないの、しょうがない!
    →「人に頼れない」のは、人に頼ったときの負債感を過剰に予測するため。負債感の出どころは、狩猟採集時代におけるタダ乗り防止のしくみ。人に支えられたらそれを「借り」として感じ、「なんとか返さねば」と思って自分の能力に従って頑張ることで狩猟採集時代の平和的な協力集団を築いた。
    6. 人生がむなしくなるの、しょうがない!
    →人生がむなしくなるのは、何事も最大化を目指す完璧主義者であるマキシマイザーで、失敗したり、目標が亡くなったときにむなしくなる。現代社会は、経済の活性化のため、競争意識をあおってマキシマイザーになることを奨励している。人間には、適度に満足するというサティスファイサーの面もあるので、折に触れて「挑戦している今が楽しい」というサティスファイサーの気持ちを交えた人生になればよい。

  • 生物としての人間を解説しつつ、現代人が悩みがちな事柄について「しょうがないよ」と慰めてくれる本。勉強しながら甘やかされる感覚が新鮮で面白かった。

  • なんとなくでも知っていれば、ミスをした時に自分を責めてしまう度合いは薄くなるかもしれない。
    いろんな考えがある事を教えてくれる本でもあると思う。

  • 遺伝子が強力すぎて、人間は到底太刀打ちできない……数日前に読んだ『スマホ脳』にも通ずるないようでした。
    タイトルや帯を見ると、「できない自分を許す」ための本という印象がありましたが、ある意味「自分の許容範囲を広げる」ための本でもあるかなと。他者を受け入れる余裕、「なんでそういう風なの?」「なんでこんなこともできないの?」余裕がないときはそうやって他者に厳しくなってしまうことが多々あると思います。だけど、「遺伝子レベルで組み込まれているシステムなのだからしょうがないよね」とすこし俯瞰してみることで、自分の心にも余裕が生まれる気がします。

    「人生を楽しむことが最終目標であり、お金や仕事はその手段であるサティスファイサーならばハッピーですが、お金や地位が目的格するマキシマイザーであると人生がむなしくなります」

    わたしはまだまだ若い。思考を転換して自分に優しく、他者にもほどほどに、充実した人生を送ります

  • タイトルからも分かる通り、進化心理学の見地から、ヒトの習性を読みとく。
    ただ、一般の読者向けにかみ砕くのはいいが、面白さを優先したあまり極端な例が多すぎて、実際はまだ検証も曖昧な学説も全て言い切ってしまっている。
    もちろん、実際に研究の参考にするような本では当然ないし、まずは進化心理学に興味を持つには良い一冊。
    (高校生や大学生向けかな)
    ただ、結論の多くが”しょうがない”で終わってるのには違和感を感じる。

  • 全て「しょうがない」で終わるむなしさが残念

    面白おかしく書こうとしているのだろうが、投げやりな感じで諦念の塊のような語り口調が続くので読み続ける気持ちにならない。
    「どうすれば集中力を高め維持できるのか」など、実用的なテーマに対して、古来からの人間の特性などを織り交ぜてその理由を紹介し、その上でどうすればいいのかを教えてくれればいいのに、と思う。その手の類書との差別化を図ったのかもしれないが、全て「しょうがない」「諦めなさい」で終わるむなしさが残念で仕方がない。是非、リニューアルして、行動の意欲が湧いてくる内容で再度出版して欲しい。

  • 高校生程度の知識があれば頭にすっと入ってくる易しい文章だと感じました。

    自分や他者の欠点を「生物学的にしょうがない」と慰めたり、理由付ける点において、「それは分かるんだけど、しょうがなくしたらアカンやろ」と思わずつっこんでしまうところもありました。

    遺伝子や脳科学の視点の話と、社会集団が形成された時代の名残の視点から語られていました。

    読んだ感想としては、生物学うんぬんよりも、人類の生物学的な本能と理性、社会集団としての「当たり前」という、長い年月をかけて獲得してきたものが、技術革新等による現代の生活状況にそぐわなくなってきているからこそ、問題が生じていると言い換えられるかなと個人的には考えました。

  • YouTubeのオススメで知った本。
    理系の方がオススメしてたから、そういうゴリゴリ学術的な話し口なのかと思いきや、読みやすかった。
    人間も動物とは私も思ってたけど、それはあくまで感覚的な主観。この本では、生物学という学問の視点から展開してくれるからよりフラットに捉えられた。
    しょうがないよね、と思えない時の方が多くて苦しむことがあるから、折に触れて読み返したい一冊。

    ちょこちょこ天使みたいな人が無罪の紙を持ってるのがじわじわおもしろかった。

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著者プロフィール

1959年東京生まれ。明治大学情報コミュニケーション学部教授。東京工業大学理学部応用物理学科(生物物理学)卒。同大学院物理情報工学専攻、企業の研究所や政府系シンクタンクをへて、1997年に明治大学に赴任。人工知能技術を遺伝子情報処理に応用する研究で博士(工学)を取得。専門は認知科学で、生物学と脳科学と心理学の学際領域研究を長年手がけている。著書に、『生きづらさはどこから来るか』(ちくまプリマ―新書)、『人間とはどういう生物か』(ちくま新書)、『ざんねんな職場図鑑』(技術評論社)、『なぜ疑似科学が社会を動かすのか』(PHP新書)、『だまされ上手が生き残る』(光文社新書)ほか多数。

「2022年 『だからフェイクにだまされる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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