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Amazon.co.jp ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784763139122
作品紹介・あらすじ
上野千鶴子氏(社会学者・東京大学名誉教授)推薦!
正解がないなかで、迷い、悩む医師たちは何を考え、何を感じ、何を学んだのか
オランダベストセラー! 世界中で続々翻訳される話題のノンフィクション。
新型コロナ、出世前診断、虐待、安楽死……人生の「特殊な時間」でしか得られない学びが詰まっている。
科学ジャーナリストである著者がオランダの日刊紙『デ・フォルクスラント』で始め、話題となった連載コラム「ある特別な患者(Die Ene Patiënt / That One Patient)」。本書はそのうちの89の話をまとめた1冊。1話5ページほどのストーリーの中で医師や看護師、医療従事者たちが、「自分の人生を変えたひとりの患者」について語っていく。新型コロナウイルスや難病、安楽死などを巡る場面で、忘れ難い思い出や素晴らしい教訓を残した患者について医療従事者の葛藤や心情が語られていく。「人はどう生きるべきか」を考えずにはいられない自己啓発書としても読める1冊。
感想・レビュー・書評
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オランダの医療現場が主たる背景となっている。特に安楽死が合法化されている国での判断など、日本人には難しい判断が必要となる場面も有るが、患者の気持ちに沿った治療をするべきか医者として治療ありきで考えるのか当事者として悩んだ、そして忘れられない結末だったからこそ、ここにストーリーとして本に残ったのだろう。私にとってなんとなくだが命に対する考え方が変わったように感じられる一冊だった。
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医師や看護師などになる人に読んで欲しい1冊です。皆1人の人間であることを忘れてはいけない、医師も看護師も患者と同じなのだと思いました。日本には無い安楽死の話もかなり考えさせられました。安楽死にするもしないにも相当の苦難があることがわかって難しい問題だと感じました。
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89の医療関係者の声。
医師と患者の繋がり、そしてその家族も含めてさまざまな経験を経て、医療は成り立っていると実感。
やはり人と人のコミュニケーションや思いやり、お互いに成長し医療が向上する、とすべての人が理解できると願う。
オランダの安楽死について、もう少し知りたい、学びたいと思う気持ちも芽生えた。 -
医療スタッフ達にとっての特別な患者たちの話。どのエピソードも感銘するところがあるが、全体を通して感じた事は「相手(患者、あるいはその家族)の話を真摯に受け止めて、彼らの背景に想いを寄せる」という気づきがあったこと。かつ、私情を挟まないという客観性も必要。命を扱う現場は、即断即決が求められることがあるが、こういう経験を経験としてしっかり振り返る力のある人が身につけていけるのかも…と。
いざという時に、そういうスタッフに当たりたい。
自分としても人と対峙する時、その人の背景に配慮できるようになりたい。 -
オランダ、イギリス、アメリカの医師たちが語る、自分にとっての「特別な患者」にまつわる89のエピソード。
患者の年齢も、病気の種類も様々なケースを見るにつけ、時にギリギリの選択を迫られる医療従事者の過酷さを思う。
「ほとんどの医師は、心のなかに“墓地“を持っている。これまでに亡くなった患者たちが眠る場所だ。
彼らの重みを背負う事は、私たち医師に課された義務だといえる。たとえ自分にミスがなかったとしても、医師はすべての患者の死から何かを学びとろうと努めなければならない」
最後の言葉が重く響いた。 -
こちらの話を聞かず、冗談にも笑わず、冷たくて、偉そうで、サービス精神がなく、話は専門用語ばかりでわかりにくく、高い金を平然とした顔でもらっていく人。
医師に対してはそんなイメージがあるかもしれません。
彼ら彼女たちは、私たちがどんなに苦しんでいる時にでも全く動じず、平然としているようにみえます。それどころかこっちが必死で訴えているのに、それを面倒くさそうに感じているように見えることもあります。
私たちの病気の体験は、体の変化から、受診するかどうかの悩み、実際の受診、血液検査、CT検査、結果報告と治療方針の決定まで、一切が非日常。医療には驚くほど生活感がありません。頼れる医者は目の前のただ1人だけです。
しかし医師にとってはどうでしょう。起きる、食事、医療、トイレ、寝る。医療は日常、医療は仕事です。医師はたくさんの患者と毎日毎日接しており、私達はその中の1人です。
医療と人生における関係の、患者と医師のこの圧倒的な差。
それが最初にあげた私達が思う医師のイメージを作っているのかもしれません。
本書はオランダの日刊紙のコラムで、医療従事者(医師だけでなく)が「自分の人生を変えたひとりの患者」として語ったものがまとめられた本です。
本書を読むことで、医師も目の前の患者としっかり向き合っており、そこには人間的な感情がしっかり存在するのだと安心することができます。
医者は苦しんでいる患者がいれば救いたいともちろん思っていますし、治療の過程では多くの悩みや葛藤もあるし、結果がよいものでなかった時には悲しんでいます。
そしてそういう経験から多くのことを得て、また次の一歩をすすんでいくのです。
この本を読んだ私たちは、医療をうけるときに医師に対してどのような態度で臨めばよいのでしょうか。
人生を変えるような特別な患者だと思ってもらうために、大袈裟に必死でアピールをする必要はありません。
そうではなく、医師がこれまで患者と向き合ってきたことでたくさんのことを得たのだと信じて、安心してそこにいればよいのではないでしょうか。
それにしても…
たくさん語られるどの物語も、あまり構成がうまくありません。あと文章中にところどころ「ここ大事なポイントやで〜」的な太文字の箇所があるのも余計なお世話だと感じます。
この原因は一つに、著者や翻訳者側の問題なのでしょう。
もう一つ、「医師は誰しも、語るべき物語をもっています」との医師の言葉が本書のはじめに引用されていましたが、そこにこう付け加えなければならないのかもしれません。「しかし、医師はうまく語る能力を持っているとは限りません。」
まあそうだとしても、それは単純な能力だけのせいではないのでしょう。
物語が非日常、病気、生と死などのテーマであるために、話す機会はなかなかなく、また話し方の技術に磨きをかけることに後ろめたさのようなものを感じて抑圧もかかるのだと思います。(あとそういうことを語っている自分に酔っちゃってる医師もたまに見かけます)。聴き手もその物語のテーマゆえ圧倒されて、内容が内容だけに批判的なこともいいにくい、という状況になってしまうことが多いのではないかなと思います。
医師も語ることを磨かなければいけませんね。
といって、語るのがうますぎる医師もなんだか胡散臭い感じはするのですが。
そんなことを感じた一人の医師です。 -
一つ一つもっと詳しく知りたいと思った。それぞれの話の気づきが結局よく聞く内容になってしまうのが惜しい。
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各話が少し短いので 一冊に89人の話になっているのが できれば 20人ぐらいで1冊ぐらいがよいのかなと思う。翻訳はよいのが、腸壁破裂は腹壁破裂の誤り。これは校正ミスだろうか。サブタイトルの〈医師たちの人生を---〉というのは 医療従事者たちの に直したほうが良いと思う。
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オランダの日刊紙の連載コラム『ある特別な患者』に寄せられた医療従事者たちへのインタビューをまとめた作品。文化や歴史的背景が異なっていても、オランダと日本の医療従事者が悩み葛藤する部分は同じなんだとわかった。ヘロインに手を出したことをきっかけに転落していく移民の患者さんを診ていた医師の言葉『素晴らしい資質を持った人でも「運」に愛されなければ幸せにはなれない。』は重く、現在自分が手にしている幸運に感謝しないといけないと思った。
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当初の予定では、夏限定の短期連載で終わるはずだった。
6人の医師に、これまでに担当した忘れがたい患者との思い出を語ってもらうというだけの、言ってみれば「穴埋め」企画。
しかし日刊紙に連載が始まるとたちまちに好評を博し、読者から熱烈な手紙が届くようになる。
しかも記事を読んだ医療関係者の方から、"語っておきたい"と声がかかるようになり、看護師や臨床心理士、ケースワーカーまでが登場する、毎週連載の人気シリーズに成長。
本書はそれをまとめたもので、オランダではすでにベストセラーとなっているのだが、日本でも人気が出そう。
成功の要因は、医師や看護師が思いのほか率直に自らの心のもろさを告白したことにある。
医師は患者に共感を寄せつつも、自らの感情を抑え込み、仕事ではプロとして、無意識のうちに患者と距離をとろうとする。
本書に登場する「特別な患者」は、そうした医師の心のバリアを何らかの形で突破した人たちで、医師と非常に密度の濃い時間を共有した人たち。
彼らは、医師の感情に触れ、考え方やその後の行動まで形作ってしまう。
もちろん、そうした患者たちの多くは、亡くなっている。
「ほとんどの医師は、心のなかに”墓地”をもっている」というように。
自らのミスや不注意、あるいは型通りのプロトコルに盲目的に従ったがために、患者を死なせてしまうことがある。
ときに医師は、踏みならされた道を外れる覚悟を持たなければならないし、患者に対しては、正しい情報を伝えることより、感情を汲み取ることが優先されるべきだ。
可能なかぎり多くの情報を提供することに力を注いだり、理詰めで治療方針を説明しても、不安や恐怖に曝された状態では混乱が増すばかりで、そうではなく、そっと寄り添い、じっくりと耳を傾けることこそ、医師に必要なのではないか。
また、時には何もしないことも最善の決断になりえる。
よい医師とは、「いつ治療を始めるか」だけでなく、「いつ治療をやめるか」「どのように治療をやめるか」を知っている医師のことだとも言える。
「医師はふつう、患者の助け方については学ぶが、看取り方については教えられない。この仕事を続けるかぎり、患者の死を避けては通れない。『助けられない患者もいる』という現実を認めることで、医師は患者の苦しみと真摯に向き合えるようになる。そのためにはまず、私たちは『人生は有限である』という考えを受け入れなければならない」
世界は不条理で残酷だが美しい。
本書でもっとも忘れられないエピソードは、ある男性が晴れた日にバイクに乗って出かけた先で起きた事故現場のシーンで、誰にも気づいてもらえず世界から切り離された場所に横たわる遺体と、太陽が慄然と輝き、神々しいまでに美しい小麦畑の対比。
とてつもない悲劇と、宇宙の冷淡さが重なって、曰く言いがたい心持ちになる。
「死は私たちの存在の中心にあり、人生の半ばで急に訪れてもけっして不思議ではない」。
本を閉じた時、いつでもこれが最後となりうるのだなと感慨を覚える。 -
どれもこれも考えさせられる話、共感したり、うなったり、拍手したりしました。
特にいくつかあった安楽死のエピソードは、大変興味深かった。
素敵な自己啓発本だと思います。
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