人生の暗号: あなたを変えるシグナルがある

著者 :
  • サンマーク出版
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784763192431

感想・レビュー・書評

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  • 村上さんは高血圧の鍵を握る酵素「レニン」の遺伝子を世界で初めて解読したことで知られるバイオテクノロジー分野における世界的な権威で、日本の学術賞としては最も権威があると言われる日本学士院賞を1996年に受賞しています。

    本書で村上さんは今までの研究者人生を振り返ったときに、後から考えるに偶然としか思えないような人との出会いや出来事に度々助けられてことで何とかやってこれたと言い、幾つかの運命的なエピソードを紹介しています。

    人との出会いは、最初から「ああ、この人とは……」とピンとくるときと、あとになって「あのときが運命的な出会いだったのだな」とわかる場合とがあります。どちらにしても、よい出会いをするためには一つの条件がある。それは「何かを必死に求める」ということです。
     こちらが求めていて向こうも求めていると、お互いに何か放射するものがあって、よい出会いになる。よい出会いをしたいと思うなら、最低限、まず自分のほうから求める何かをもっていなければなりません。(p.26)
    人生には、こちらが求めていると、それに関連したことに出会うという何か不思議な暗号めいたものがあります。(中略)しかし、こうした暗号に出会えるときというのはどんな状態でしょうか。
     私の体験からいうと条件は三つあります。一つは先にも述べたように「こういうことをやりたい」という明確な目的意識があること、第二にその目的に向かってひたすら努力を重ねていること、そして第三は何かの障害があって手詰まり状態になっていることです。この三つの条件が揃ったとき、論理的、科学的にはちょっと説明しにくい不可思議な現象が起こることがある。(中略)
     木からリンゴが落ちるのを見てひらめいたニュートンも、風呂に入っていてひらめいたアルキメデスも、まったく結びつきそうもない要素を結びつけて大発見をしたのです。(p.53)

    このくだりを読んだとき、すーっと心に入っていきました。思いがけず推薦で大学に入学できたこと、人生の伴侶との出会いとプロポーズ、社費でのMBA留学候補に選抜されたもののGMATの点が伸びず苦しい思いをしていた時に体験した奇跡、社内SNSを立ち上げる時に出会った仲間の顔ぶれの妙…。人生の節目、節目を振り返るにつけて、確率論では到底説明できないような不思議な出会いや出来事があって今日まで導かれているような気がしてなりません。いわば目に見えない大きな流れに乗っているような。

    いずれも何かに夢中になって必死だった時に、思いがけず誰かが横からふっと手を差し伸べてくれることで一気に状況が好転、もしくは前進するような感覚です。ただし、いずれもその時に自分自身が全身全霊をかけて何事かに集中していて、できる限りの手を尽くしていることが大前提。本当にここぞ!という瞬間に、後で思い返しても「あのタイミングで一体あれ以上の何が望めたんだろう」としか思えないような大きな転機が訪れているように感じます。

    …と、そんなことを思いながら通勤電車に揺れれながら本書を読み進めていた昨日、またそんな暗号めいた不思議な出会い、Synchronicityがありました。今はまだ詳細は書けませんが、僕が参加しているあるプロジェクトにおいてどうにもメンバーの気持ちが根っこでひとつになり切れていないような歯がゆさを感じていた折、重要な期日を直前に控えた昨晩に偶然が幾つも重なった末に期せずしてプロジェクトの主要メンバーが顔を合わせる機会に恵まれました。それまでは忙しくてメール等でしか議論ができておらず、僕の想いも正しく伝わっていなかったのが、ギリギリのタイミングで対面で向き合って議論ができた、そのたった3~4時間の間に事態は急展開。微妙にベクトルがずれていたメンバー間で初めてプロジェクトの基本スタンスがピタッと重なって腹まで落ちた瞬間でした。

    例えば昨晩、金曜18時からのお客様との白熱したディスカッションですっかりお疲れモードだった僕がそのまま帰宅していたら、あるいはあのミーティングに誰か一人でも欠けていたら、あるいはプロントのラストオーダーがあと15分遅かったら昨晩の奇跡は起こり得なかった訳であり、だとするときっとこのプロジェクトはどこかで頓挫していたかもしれないと思います。裏返すと、昨晩のミーティングを経て、僕は初めてこのプロジェクトは成功すると直感できました。

    村上さんは本書をこう締めくくっています。

    科学技術はこれからますます発展していくでしょうが、これまでもふれてきたように精神世界との連携がないと危険なものになる恐れがある。そこで科学者のなかにも、科学と精神世界を結ぶことの必要性を感じて、サムシング・グレートの世界を論じる人が宇宙物理の世界には現れています。(中略)
     下手に舵を取れば、地球生命を台なしにして人類は滅びかねない。たんに自分の欲望ではなく、人間はもっと精神的に成長してバランスをとらなければならない。(p.226)

    いま、ノーベル賞に最も近い理論物理学者と言われているハーバード大学のリサ・ランドール教授は「わたしたちの暮らす3次元世界は人間の目には見えない5次元世界に組み込まれている」という人類の世界観を覆す概念を発表し話題になっています。

    ファクトとロジックの積み上げによるロジカルシンキングはビジネスの世界では必須ですが、一方で最先端の科学ですら我々が暮らすこの世界のほんのごく一端しか説明できていないという事実を謙虚に受け止めるバランス感覚もこれからの時代にはとても重要になってくると感じています。

  • 起こる出来事には意味がある、志を明るくもてば未来は拓ける。バラバラに見えることは秘められた意味(暗号)があり人生を送るなかでその意味が理解できるって感じだろうか。著者は天理教信者だけど、仏教のご縁のようなものを感じた。

  • 13年前が初版の冊子。内容に古さは全く感じない。13年前に出会ってたらこの本の良さは分からなかったかなあ。

    世界的な科学者が説く、生命・宗教・生き方について。文系の出る幕がない(笑)。

    元々西洋科学は神学だったんやね。神様を讃えるために始まったのが西洋科学。それから科学と宗教は分離していったけど、科学があまりにも進み過ぎた今はもう一度原点に返る必要があるのかも知れない。

    「生命」に関する科学はあるけど、「いのち」は目に見えない。ヒトゲノム遺伝子は解析できたけど、「なぜ人間は生まれたのか?」「人間はどう生きればいいのか?」「いのちとは何なのか?」

    これはもう「神(サムシング・グレート)」の領域だよね。本当に心に響く一冊でした。

  • 前著(生命の暗号)と内容的には似ている箇所もあるが、内面にアプローチしている印象が強い本。遺伝子暗号が解読できた後の科学の進むべき方向を示唆し、目に見えないもの(サムシンググレート)の存在・思いを知ることの重要性も説いている。(例:精神と欲望のバランス、利他の精神の重要性など)また、とるべき行動としてあげていることが今まで読んできた本の内容と似ていることもびっくり!
    まずはコントロールできる自分の精神状態・生活様式から(遅すぎることはないので)見直していこう、と思った。読了後前向きになれることは前著と同じだが、遺伝子とかの話はどうも、と思う方にはこちらをすすめたい。

  • 単純に、遺伝子ってすごいんだなって思える本です。

  • 個人が遺伝子としてかかえているものにそう大きな違いはない。差がでてくるのは遺伝子のON/OFFが関係してくる。
    だめだと思わない限り可能性は無限にある。
    命の不思議。病は気のもちよう。科学でわりきれないことってあるものね。前向きに生きるって大事なこと。

  • 人生には、こちらが求めていると、それに関連したことに出会うという何か不思議な暗号めいたものがあります。
    私の体験からいうと条件は三つあります。
    ・「こういうことをやりたい」という明確な目的意識があること
    ・その目的に向かってひたすら努力を重ねていること
    ・何かの障害があって手詰まり状態になっていること
    このとき、論理的科学的にはちょっと説明しにくい不可思議な現象がおこることがあります。
    ===
    求めよさらば与えられん、なのでしょうか。
    不思議な現象、実感したいものです。

  • サムシング・グレートについて知りたくて読書。

    船井幸雄氏の著書によく登場していた著者。初めて読むことができた。

    本業は科学者だが、自己啓発とも宗教、哲学ともとれる内容を書いている点が面白い。

    21世紀は非競争社会、自然との共生、日本人的な考え方、価値観、習慣が世界のモデルとなる。

    果たしてこんな方向へ向かっていくのだろうか。

    よい遺伝子をONにするために必要な条件は興味深い。

    黄金律に基づき相手主義で、感謝と謙虚さを持って生活する。
    これが幹となっていると読み取る。

    読書時間:約50分

  • 貴重な内容

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著者プロフィール

筑波大学名誉教授。米国オレゴン医科大学、京都大学農学部、米国バンダービルト大学医学部等を経て、1978年より筑波大学応用生物化学系教授。同大遺伝子実験センター長、先端学際領域研究センター長等を務め、99年に退官。83年に高血圧の黒幕である酵素「レニン」の遺伝子解読に初めて成功、世界的な注目を集める。90年、マックス・プランク研究賞、96年、日本学士院賞を受賞

「2021年 『コロナの暗号 人間はどこまで生存可能か?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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