新編「男の作法」: 作品対照版

著者 :
制作 : 柳下 要司郎 
  • サンマーク出版
3.39
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本棚登録 : 98
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784763195852

感想・レビュー・書評

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  • 一部作品が載っていて
    どうやら未完作品も紛れているそうな!!
    私は好きな作家の一人だけど
    そこまでマニアではないのでへぇーと思いつつ
    読んでいました。

    性別が限りなく男に近い(外見も)なので
    やはり相応しい格好というのは
    大事だな、と思いました。
    幸いにも私は、そういう趣味がないので
    そうは見られてはいないのですが…

    そして、人が男女の扱いが平等になるということは
    同じ視点で見られるということ。
    だから個性がない人はある種
    厳しい世の中になったのかもしれませんね…
    著者はそれを痛切に感じていたのかな。

    そしてエロスの方面は意外…
    ちゃんと手ほどきを正規の場所で受けていたのね。
    だからこそあの作品は生まれたのですな。

  • 池波正太郎との会話を起こした作品。

    男のダンディズムが語られている。

  • 食通で人生の達人としても知られる小説家 池波正太郎の男のたしなみ。
    時代が違うと前置きしながらも、粋な生き様は勉強になる。

    池波正太郎曰く、男の作法とはみっともないことをしないこと。
    みっともないこととは人様に迷惑を掛けること。
    即ち、時間に遅れる、自分勝手に振舞う、相手の気持ちを考えないことなどなど。
    遅刻は他人の人生を浪費させる大迷惑と書かれており、反省しきり。
    初めての寿司屋や天婦羅屋に入ったときはテーブル席若しくは隅の席に座るべし。
    何故ならカウンター席は大抵常連の席となっているから。
    テーブル席についたら上だの並だの言わず、ただ一人前、とだけ注文すれば銀座の高い店でも2,500円くらいで同じものを出してくれる。著者の経験の話である。

    運良く事故や病気に出会わなくても寿命というものがあるのだから、人は必ず死ぬ。
    ならば死までどのように生きるかということを考える。無論生き様はそれぞれ自由だ。
    つい厚意に甘えわがままになりがちだ。もういい大人なのだからもう少し自分を律しなければ…。そして、どうせならなるべく気持ちよく生きたいと思う。

  • 今の世の中では、全てがこれでどうにかなる訳じゃない部分もあるとは思いますが。かつて日本にいた、居丈高でない、大人の男性たちの筋の通った格好よさや、責任の取り方、人生への姿勢を語って聞かせてくれる本でした。

    女性も社会に出る機会が多くなった昨今、これだけでは女性側から見るとしんどい部分もあります。しかし、無責任でペラペラした小奇麗な生き方よりよほど魅力的な男の姿が活写されています。

    女もまたしかり。

    その男を支えているのは女であるゆえに。

    賢く、したたかに。自分自身も一人前の女になっていくためには、どうしたらいいか考えさせてくれる本です。この男のそばにあって似つかわしい女なら、どう振る舞うかと考えるのも良いのでは。

    作品の一部分が抜粋されているので入門書としても
    読みやすい一冊です。

  • 読むなら対照版がいい。小説を読んでいて、実は読みきれなかった部分を解説されてようやくわかる事が沢山。読む側にも技術がいる。

  • 2010/5/29
    古い日本人の渋い文句が多い。

    家を引き戸にするのは、狭い日本ではいい。
    家は性格を変える。
    気が強いお袋と家内の上を行ってマネージする。
    他人に時間の上で迷惑をかけるのは恥ずべきこと。
    男として自分が自由に出来る金を持つ。
    あと自分が生きている年数はどれくらいかを基本として考える。
    朝気がついたら息が止まっていた、という大往生が理想。

    小説も読んでみたい。

  • スバルとマセラティのどっちがかっこいい車か、好きか
    家にはトヨタのライトエース、女子中学生15歳はいったいどう思うのだろう。
    便利で簡単でささやかなスバル
    派手で大仰なマセラティという一つのイメージが心の中に
    少なくとも15歳の私がそう想像できたのは、それを感じさせる物語があったから。

    よく見て、よく会って、作家が作った世界は
    想像以上に奥の深いもので、次元が厚く、いくつもの分析が重ねられて、世界は作られている。
    いつでも、エッセイやマナー本、種明かし本
    そういう類のマニュアル的語られ方には辟易していたが
    今回ばかりは、人生の長さや経験に支えられた作り上げられた知識に向かうことの重みや繊細さを感じた。
    この本の向こうにはいつでも池波正太郎の眼差しがあり
    この眼差しが描いた世界の粋や愛情には情熱がある

    寿司のおいしそうなこと、そばのおいしそうなこと
    住みたくなるようなうち、それらがどれも、当り前のことで
    (父や、祖父世代の方や会社で会う男性の大人たちも
    多かれ少なかれそう思っている。
    暮しの手帖や向田邦子が好きな女性たちが思っているように)
    一つ一つの知識に真新しさ、は少なく
    粋ということをよくよく見とらえてまとめて書いた、というのは
    それは作家に時間が割り当てられていること、彼の仕事の役割ということだととらえている。

    よくいわれそうなことでこの本に関わるけど
    そんなことではこの本がいいと思ったことが伝わらないような伝え方
    こんな目にやさしいことを書いていても、
    わたしがこの本に対して向かい合っている良さ、と情熱は書けない。
    ・この1冊を読むだけでものすごくたくさんの経験をしたような
    ・当たり前のことながら説得力のある本
    ・普段ただ生きている以上に人やものと出会うということがある種の読書の便利さである

  • 昔ながらの粋の素晴らしさがよくわかります。

    鮨や天麩羅の喰い方から、理想の死に方まで、これぞ、昔からの粋がわかるものであります。

  •  男の作法でもあるが、大人の作法、昭和の作法でもあるので女性が読んでも面白い本ではないか。
     今日ではそぐわない「男の作法」がいくつも紹介されているが、祖父や親父の時代を映し出している。核家族化、受験戦争、競争社会の平成ではなく、昭和の良き時代を生きたかった。「池波正太郎」渋いです。

    ○自分の人生が一つであるのと同時に、他人の人生も一つである。
     だから他人に時間の上で迷惑をかけるのは、非常に恥ずべきことだ。

    ○「みっともないこと」「恥ずべきこと」はしちゃいけない。
     これが「男の作法」の神髄。

    ○朝、気がついてみたら息が止まっていた。これが大往生で、人間の理想はそれなんだ。
     人間は死ぬのが怖いんだよ。体験したことのないことだから。
     だから大往生を遂げたい。
     それがために健康に気をつけるんだ。

著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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