- Amazon.co.jp ・本 (385ページ)
- / ISBN・EAN: 9784763405609
作品紹介・あらすじ
金日成総合大学に学んだ、気鋭のロシア人研究者による最新レポート
ビデオ革命、草の根資本主義……
静かに進行する深部からの変化
北朝鮮はどこへ行く?
感想・レビュー・書評
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ソ連で生まれ育ち、大学時代の1984年から1年間、北朝鮮の金日成総合大学に留学、現在は韓国の大学で教鞭をとる著者が、北朝鮮の「民衆」とその「社会」「暮らし」に焦点を当てて描いたもの。
北朝鮮独特のものに見える様々な事柄(指導者の遺体の冷凍保存から歴史の「改ざん」に至るまで)が、決して北朝鮮で「創造」されたものではなく、共産主義国の「伝統」であり、多くはソ連の模倣から端を発したものであること、それが次第にオリジナルを越えて強化、発展されたいびつな形で北朝鮮で生きつづけていることについての指摘は、ソ連出身の著者であるからこその視点だろう。
民主的とは言い難いソ連から来た著者さえ、「北朝鮮は非効率、残忍さ、とりわけ抑圧的独裁国家を具現化したものであった」と書いているが、同時に「最も抑圧的な社会政治的な状況下であっても、大多数の人々は普通の生活をしようとし、一般的にはそうやっていけるのである」とも指摘している。
北朝鮮が西側のメディアで取り上げられるときには、核問題や拉致問題、「先軍政治」や指導者らの「猥らな生活」にばかり焦点が当てられがちだが、国家を見限って市場に出て自らの力で生きていく庶民や、娯楽を求めて(処罰も恐れず!)韓国や海外のテレビを見るようになってきている一般市民によって、本当の北朝鮮の「変化」がもたらされるのだろう、という気がする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
資料ID:W0153632
請求記号:302.21||R 15
配架場所:本館2F手動式書架
気になっていた本、漸く読みました。
1980年代~2000年台前半の北朝鮮一般市民の暮らしぶりが、詳細に記されています。旧ソ連出身の著者が、祖国で体験したこととの比較も。共産主義を経験したことのない私にとっては、ぞっとする事実の連続でした。この国は一体これからどうなるのかと、読み終わってしばらく呆然としてしまいます。(S) -
101207*読了
知られざる北朝鮮の民衆の日常生活にせまる。著者はロシア人のため、旧ソ連時代との比較が興味深い。これを読むと、北朝鮮が変わるためには、上層部を変えようとするのではなく、一般の国民を変える草の根外交が必要だと感じる。他国の情報を民衆にあらゆるルートから伝えるかとが不可欠。