マッドジャーマンズ ドイツ移民物語

制作 : 山口 侑紀 
  • 花伝社
4.29
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本棚登録 : 73
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784763408334

作品紹介・あらすじ

移民問題に揺れる欧州
ドイツに衝撃を与えた社会派コミック
モザンビークからやってきた若者たちは、欧州で何を見、何を感じたのか?
3人のストーリーが描く、移民問題の本質。

感想・レビュー・書評

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  • 1〜2時間ほどで読める漫画だが、完成度の高い作品。
    東ドイツにおける社会主義と移民、社会の変遷に翻弄されたモザンビークの人々を取り上げつつも、「故郷とは何か」という問いかけがそこかしこに見え隠れする。幼年時代にアフリカで過ごした著者と、青春時代を東ドイツで過ごしたモザンビークの人々の想いが交錯し、なんとも言えない郷愁を誘う。
    さまざまな問題を提起しているが、それ以上に美しいと感じてしまう作品だった。

  • 『マッドジャーマンズ』について - 花伝社の窓から 事務所だより
    http://d.hatena.ne.jp/kadensha/20171027/1509095041

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    移民問題に揺れる欧州
    ドイツに衝撃を与えた社会派コミック

    モザンビークからやってきた若者たちは、 欧州で何を見、何を感じたのか?
    3人のストーリーが描く、移民問題の本質。

    推薦 多和田葉子さん(作家)
    「わたしはこれまで少なからず東ドイツなど社会主義圏を舞台にした物語を読んできた。
    アフリカ文学やアメリカ黒人文学を読んで近しさを感じることも少なからずあった。
    移民文学については、もう読み飽きたと思うことさえあった。
    ところがこのグラフィックノベルはこれまで知らなかった入り口から、私の中にすっと入ってきた。
    登場人物ひとりひとりにちゃんと体重があって、顔も身体も美化されていないのに目をひきつける。
    社会主義の歴史は個人的な記憶のディテールでできているんだなと思う。
    いつまでも同じページに留まりたくなるような愛おしい線の描く人間や事物。
    誇張のない、シンプルで驚きに満ちたアイデアが至るところに満ちていて、ページをめくるのが楽しかった。」
    http://www.kadensha.net/books/2017/201710madgermans.html

  • モザンピークからドイツに出稼ぎにやってきた人々の物語。東西ドイツの合併が移民たちの排斥に大きな影響を与えていたことがわかる。

  • 1975年、ポルトガルから独立したモザンビーク。
    モザンビーク内戦の裏側で、若者がエリート教育を騙る派遣プログラムで、社会主義の兄弟国・東ドイツへ送られて単純労働に従事させられた。
    本国への送金の名目でピンハネされた金は党幹部へ。それでも、電気や水道や鉄道や映画のある生活は魅力的だーー東側にも南北問題はあったのね。

  • モザンビークという国のことを全く知らなかった自分を恥じた。そして当時の東ドイツのことも。病院の待合で目を潤ませながら一気に読んだ。レイヤーを重ねた絵が斬新。セリフ回しの翻訳も自然。私もこういう作品を手がけてみたいと思った。

  • 「故郷とは何だろう?」
    ゼーバルト「移民たち」(ドイツからの移民)の次に読む「マッドジャーマンズ」(ドイツへの移民)。
    どちらの国にも属せなくなってしまった、ゆらめく人々の物語。

  •  モザンビークから東ドイツへ出稼ぎに出ていた元労働者への聞き取りに基づく物語。作者は、幼少期をアフリカ諸国で過ごした経験のあるドイツ人漫画家、ビルギット・ヴァイエ。

     かつてアフリカの社会主義国モザンビークは、「兄弟国」である東ドイツに労働力の輸出を行っていた。東ドイツで出稼ぎ労働者として働き、やがて帰ってきてからは故郷のはずのモザンビークでも冷遇される、彼ら「マッドジャーマンズ」(「メイド・イン・ジャーマン」の意味)が、物語の主人公。

     表向きは社会主義国同士の交流であり、モザンビーク政府も「国のためのエリートだ」といって送り出すが、実際には体のいい安価な労働力であり、単純労働や肉体労働、「汚れ仕事」など、現地の人々がやりたがらない仕事をあてがわれる。また、東ドイツでは言語の壁があり、文化の壁があり、そして当然のように差別がある。
     西ドイツでは、労働力輸入としてトルコ人を受け入れていた話がよく知られているが(この前見た「国際市場で逢いましょう」という韓国映画で知った話では、韓国からも西ドイツに労働力が輸出されていたらしい)、東ドイツでもこのような取り組みがなされていたというのは初めて知った。とはいえその立ち位置はどちらも曖昧で、所在なさが付き纏う。

     しかも、東ドイツでの生活に馴染んできた頃に、モザンビークでは大規模な内戦が起こり、またドイツでは冷戦の終結により東西が統一されていく。社会が流動化していく中でネオナチの足音も近づき、いたたまれなくなり帰国しても、家族は内戦で離散し、あるいは「内戦逃れ」呼ばわりされるなど、本国にも居場所はなくなっている。

     この物語は、フィクションではないが、同時に体験談をそのまま載せたものでもない。様々な人に聞き取りをし、そのエピソードをつなぎ合わせて、三人の人物の物語として構成し直したもの。一つの出来事についても、三人の視点から語られることで、見え方が変わるし、何が真実なのかはボカされている。このあたりが、ナラティヴ的なものの曖昧さを表現しているが、それぞれが語る物語は、各人にとっての真実であるとも言える。

     で、この漫画の見どころは、物語そのものもそうなのだが、それを表現するイラストの力がすごい。僕自身はそうした表現に明るくないのでうまい言い回しができないが、間違っても日本人にはできない表現というか、ヨーロッパ的なものとアフリカ的なものの混淆とでも言うのか…とにかく迫力がすごい。

  • ドイツの移民の話はトルコだけだと思っていたら、東ドイツにモザンビークから社会主義の国ということで移民が労働者として入ってきた。このことは日本のニュースではほとんど取り上げられていない。

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