マッドジャーマンズ ドイツ移民物語

制作 : 山口 侑紀 
  • 花伝社
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本棚登録 : 136
レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784763408334

作品紹介・あらすじ

移民問題に揺れる欧州
ドイツに衝撃を与えた社会派コミック
モザンビークからやってきた若者たちは、欧州で何を見、何を感じたのか?
3人のストーリーが描く、移民問題の本質。

感想・レビュー・書評

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  • 2016年「マックス&モーリッツ賞」最優秀ドイツ語コミック賞受賞作。
    1970年代以降にアフリカのモザンビーク共和国から、同じ社会主義の東ドイツに行った、移民の漫画。
    インタビューした人たちの話から創造した3人で、それぞれの人生が読めるところもとてもいい。
    一回離れると、故郷でも故郷と単純に思えなくなったりするのがよくわかる。いろんな背景があるし、物理的に精神的に故郷かはともかくとして、誰しも心の拠り所みたいなものは必要だなと思う。

  • ドイツ移民物語
    マッドジャーマンズとは、モザンビークからの労働者の

    1964年以降、モザンビークではポルトガルの植民地支配に対して武装闘争が繰り広げられていた。

    マルクス主義解放戦線、フレリモが主体
    1975年モザンビーク独立
    初代大統領サモラ・マシェル
    社会主義

    1976年モザンビークの内戦

    1980年初頭 派遣プログラムとして、東ドイツへ

    ジョゼ・アントニオ・ムガンデ

    バジリオ・フェルナンド・マトラ

    アナベラ・ムバンゼ・ライ


    三人のモザンビーク人の経験談
    フィクションであり、ノンフィクション

    故郷ってなんだろう

  • BD
    社会
    政治

  • マッドというのはMADとMUDの掛詞ではないだろうか?
    それほど本書で語られたモザンビークからの移民者・派遣労働者は泥を啜るような境遇で気が狂わんばかりの状況に追い込まれた。
    彼や彼女らが目指した「約束の土地」はそこにはなく、東西冷戦の集結という歴史の渦に飲み込まれて居場所をなくしてしまう。

    もう東ドイツはなく、モザンビークも内戦がおこり嘗て知った場所ではなくなってしまっていた。家族も亡くなってしまっていた。
    あとがきには「これは青春物語でもある」とあったが、歴史に翻弄され国に裏切られたビターな物語だ。

    ベルリンの壁が崩壊する直前のベルリンはラヴ・パレードがはじまったりエネルギッシュな街だったと先日来日したマーク・リーダー(MFS)は語っていた。

    マークが語っていたのは主に西からの視点ではあるが、東側でも自由を求めてエネルギーが高まっていたのは想像に難くない。

    そのエネルギー源には"マッド・ジャーマンズ"の泥を啜るような思いもあったのだろう。
    ベルリンから壁がなくなり、その混乱が一通り凪いだ後、ジャーマン・トランスはデトロイト・テクノやシカゴハウスの息吹を吸い込んでアフリカ化していった。ベーシックチャンネル主催者のマークとモーリッツはそれぞれ別の方向からアフリカ音楽にのめり込んでいった。

    その背景に"マッド・ジャーマンズ"がいるのではないか? とふとそう思った。

  • 2017年の翻訳大賞候補にもなっていたグラフィックノベル(マンガとは違うのだろうか)。
    モザンビークからの移民としてドイツで暮らした経験を持つひとたちにインタビューして、それを3人の架空の人物のストーリーとしたのが本作なのだそう。
    なにかと話題の移民というキーワードだけど、それぞれの国にそれぞれの複雑な歴史的背景を抱えていてひとくくりにはできない。
    メロドラマ仕立てにしているわけではなくてシンプルで素朴なタッチで話が進んでいくけれど、それがよけいに哀しみを誘うというか。
    結構グラフィックノベルというジャンルは海外では盛り上がっているようで、ブッカー賞にノミネートされたりしている作品もあるそうな。でも確かにこれを読んでクオリティ高いんだなと思った。

  • 週刊ダイヤモンド20181013号掲載

  • 1〜2時間ほどで読める漫画だが、完成度の高い作品。
    東ドイツにおける社会主義と移民、社会の変遷に翻弄されたモザンビークの人々を取り上げつつも、「故郷とは何か」という問いかけがそこかしこに見え隠れする。幼年時代にアフリカで過ごした著者と、青春時代を東ドイツで過ごしたモザンビークの人々の想いが交錯し、なんとも言えない郷愁を誘う。
    さまざまな問題を提起しているが、それ以上に美しいと感じてしまう作品だった。

  • 『マッドジャーマンズ』について - 花伝社の窓から 事務所だより
    http://d.hatena.ne.jp/kadensha/20171027/1509095041

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    移民問題に揺れる欧州
    ドイツに衝撃を与えた社会派コミック

    モザンビークからやってきた若者たちは、 欧州で何を見、何を感じたのか?
    3人のストーリーが描く、移民問題の本質。

    推薦 多和田葉子さん(作家)
    「わたしはこれまで少なからず東ドイツなど社会主義圏を舞台にした物語を読んできた。
    アフリカ文学やアメリカ黒人文学を読んで近しさを感じることも少なからずあった。
    移民文学については、もう読み飽きたと思うことさえあった。
    ところがこのグラフィックノベルはこれまで知らなかった入り口から、私の中にすっと入ってきた。
    登場人物ひとりひとりにちゃんと体重があって、顔も身体も美化されていないのに目をひきつける。
    社会主義の歴史は個人的な記憶のディテールでできているんだなと思う。
    いつまでも同じページに留まりたくなるような愛おしい線の描く人間や事物。
    誇張のない、シンプルで驚きに満ちたアイデアが至るところに満ちていて、ページをめくるのが楽しかった。」
    http://www.kadensha.net/books/2017/201710madgermans.html

  • モザンピークからドイツに出稼ぎにやってきた人々の物語。東西ドイツの合併が移民たちの排斥に大きな影響を与えていたことがわかる。

  • 1975年、ポルトガルから独立したモザンビーク。
    モザンビーク内戦の裏側で、若者がエリート教育を騙る派遣プログラムで、社会主義の兄弟国・東ドイツへ送られて単純労働に従事させられた。
    本国への送金の名目でピンハネされた金は党幹部へ。それでも、電気や水道や鉄道や映画のある生活は魅力的だーー東側にも南北問題はあったのね。

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