マッドジャーマンズ ドイツ移民物語

制作 : 山口 侑紀 
  • 花伝社
4.34
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本棚登録 : 150
レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784763408334

作品紹介・あらすじ

移民問題に揺れる欧州
ドイツに衝撃を与えた社会派コミック
モザンビークからやってきた若者たちは、欧州で何を見、何を感じたのか?
3人のストーリーが描く、移民問題の本質。

感想・レビュー・書評

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  • 幼少期をアフリカで過ごした白人ドイツ人女性がマンガに描いた、モザンビーク系ドイツ移民のライフ・ストーリー。
    絵はヘタウマ。マンガなのですぐ読める。個人的に、幼少期を新世界で過ごした系の「特権階級」白人様のウエメセなセンチメンタリズムは虫唾が走るのだが、内容はなかなか興味深かった。
    なお、モザンビークはポルトガル語圏である。

    (1)内気でもの静か、読書や映画鑑賞を好む青年。コミュ障の傾向があり、同期の同胞男性のウェーイノリにはついていけない。やがて同胞女性と相愛になるも、相手を妊娠させる。妊娠は即国外退去になるというのに何の目算もなくお花畑な夢を語り(地獄のような内戦中の母国に強制送還されるのは彼女のほうなんだが)、中絶を選んだ彼女を「裏切り者」「人殺し」と口をきわめて罵倒し離別。内戦終結後、帰国。「外国帰り」「外国かぶれ」「内戦の苦労を分かち合っていない部外者」として浮きつつも、やがて結婚。しかし劣悪な医療状況下、子供は夭折。妻は同じく劣悪な医療状況下での妊娠・出産により、二度と子供は望めない身体になっていた。
    (2)(1)の同期。ウェーイ系。在独中は人種問わず女性と遊びまくり。仕事はテキトーで、(1)と違って評価も低く、東西統一で低賃金単純労働の需要がなくなると即クビに。帰国するも相当額が天引きされ、積み立てられていたはずの給料は横領されており(ドイツではなくモザンビーク国内の問題らしい)、失意の日々を送る。
    (3)(1)の彼女。地獄のような母国を脱出する際、性被害に遭う。ドイツで中絶する際には、顔の広い(2)を頼った。ドイツでは湯たんぽ製造工場に配属され、母国に帰ってもスキルを活かせないことは最初から明らかだった。誠実に生きてドイツ人(女性)の信頼を獲得し、東西統一の混乱の中、大学進学資格の獲得に成功。医師となり、時に差別を受けつつも、もはや帰国の意志はない。

    …という3つの人生(複数の人間の体験をまとめたものらしい)が語られるが、まあ、みごとに性差が表れている。
    ドイツで踏まれるモザンビーク人男性だが、国では女性を踏みまくり。ドイツでもモザンビークでも、人種でも性別でも踏まれ、身も心もズタズタにされながら、誠実に真摯に生きてまっとうなチャンスをつかむ女性たち。片や、しょーもないことで被害者意識を募らせ、すぐサボり、自己研鑽を怠り、酒に溺れて破滅しながら不平不満ばかりの男ども。さらに、積立金を横領していたのも、モザンビークの権力者=男なのである。
    昨今話題の中東系移民も、みごとに若い~中年の男ばかり。地獄のような母国から、弱いオンナコドモを蹴り倒して我先に脱出してきたあげく、やらかすことと言えば移民先の女性を侮辱、レイプ。
    移民難民は女性に限るべきだし、各国は日本女性を世界有数に苛酷な女性差別からの難民と認定してほしい。

    2019/10/29読了

  • モザンビークから東ドイツに働きに行った三人の若者を描いた漫画。
    絵が非常に良くて、心情を背景などでも切々と表現している。
    移り住んだ先で差別され、祖国の政府に裏切られ、国に戻ってもまた孤立してしまう。
    辛い。
    キャラクターはフィクションだけれど、丹念なインタビューを元に作られたものだということで、この痛みは現実だというのがひしひしと伝わった。
    日本の外国人技能実習生のことも考えないではいられない。
    身近なこととして読まれて欲しい作品。

  • 2016年「マックス&モーリッツ賞」最優秀ドイツ語コミック賞受賞作。
    1970年代以降にアフリカのモザンビーク共和国から、同じ社会主義の東ドイツに行った、移民の漫画。
    インタビューした人たちの話から創造した3人で、それぞれの人生が読めるところもとてもいい。
    一回離れると、故郷でも故郷と単純に思えなくなったりするのがよくわかる。いろんな背景があるし、物理的に精神的に故郷かはともかくとして、誰しも心の拠り所みたいなものは必要だなと思う。

  • ドイツ移民物語
    マッドジャーマンズとは、モザンビークからの労働者の

    1964年以降、モザンビークではポルトガルの植民地支配に対して武装闘争が繰り広げられていた。

    マルクス主義解放戦線、フレリモが主体
    1975年モザンビーク独立
    初代大統領サモラ・マシェル
    社会主義

    1976年モザンビークの内戦

    1980年初頭 派遣プログラムとして、東ドイツへ

    ジョゼ・アントニオ・ムガンデ

    バジリオ・フェルナンド・マトラ

    アナベラ・ムバンゼ・ライ


    三人のモザンビーク人の経験談
    フィクションであり、ノンフィクション

    故郷ってなんだろう

  • BD
    社会
    政治

  • 2017年の翻訳大賞候補にもなっていたグラフィックノベル(マンガとは違うのだろうか)。
    モザンビークからの移民としてドイツで暮らした経験を持つひとたちにインタビューして、それを3人の架空の人物のストーリーとしたのが本作なのだそう。
    なにかと話題の移民というキーワードだけど、それぞれの国にそれぞれの複雑な歴史的背景を抱えていてひとくくりにはできない。
    メロドラマ仕立てにしているわけではなくてシンプルで素朴なタッチで話が進んでいくけれど、それがよけいに哀しみを誘うというか。
    結構グラフィックノベルというジャンルは海外では盛り上がっているようで、ブッカー賞にノミネートされたりしている作品もあるそうな。でも確かにこれを読んでクオリティ高いんだなと思った。

  • 週刊ダイヤモンド20181013号掲載

  • 1〜2時間ほどで読める漫画だが、完成度の高い作品。
    東ドイツにおける社会主義と移民、社会の変遷に翻弄されたモザンビークの人々を取り上げつつも、「故郷とは何か」という問いかけがそこかしこに見え隠れする。幼年時代にアフリカで過ごした著者と、青春時代を東ドイツで過ごしたモザンビークの人々の想いが交錯し、なんとも言えない郷愁を誘う。
    さまざまな問題を提起しているが、それ以上に美しいと感じてしまう作品だった。

  • 『マッドジャーマンズ』について - 花伝社の窓から 事務所だより
    http://d.hatena.ne.jp/kadensha/20171027/1509095041

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    移民問題に揺れる欧州
    ドイツに衝撃を与えた社会派コミック

    モザンビークからやってきた若者たちは、 欧州で何を見、何を感じたのか?
    3人のストーリーが描く、移民問題の本質。

    推薦 多和田葉子さん(作家)
    「わたしはこれまで少なからず東ドイツなど社会主義圏を舞台にした物語を読んできた。
    アフリカ文学やアメリカ黒人文学を読んで近しさを感じることも少なからずあった。
    移民文学については、もう読み飽きたと思うことさえあった。
    ところがこのグラフィックノベルはこれまで知らなかった入り口から、私の中にすっと入ってきた。
    登場人物ひとりひとりにちゃんと体重があって、顔も身体も美化されていないのに目をひきつける。
    社会主義の歴史は個人的な記憶のディテールでできているんだなと思う。
    いつまでも同じページに留まりたくなるような愛おしい線の描く人間や事物。
    誇張のない、シンプルで驚きに満ちたアイデアが至るところに満ちていて、ページをめくるのが楽しかった。」
    http://www.kadensha.net/books/2017/201710madgermans.html

  • モザンピークからドイツに出稼ぎにやってきた人々の物語。東西ドイツの合併が移民たちの排斥に大きな影響を与えていたことがわかる。

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