未来のアラブ人――中東の子ども時代(1978―1984)

  • 花伝社
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784763408945

作品紹介・あらすじ

フランス発200万部の超ベストセラー
23か国語で刊行

シリア人の大学教員の父、フランス人の母のあいだに生まれた作家の自伝的コミック。
激動のリビア、シリア、そしてフランスで目にした、現在につながる混乱の根源とは――?

第42回アングレーム国際漫画祭・年間最優秀作品賞
池澤夏樹氏(作家)推薦


アート・シュピーゲルマン『マウス』、マルジャン・サトラピ『ペルセポリス』に次ぐ、新たな自伝的グラフィックノベルの傑作が誕生!

「面白くてたまらない!」(ニューヨークタイムズ)
「素晴らしい!……これぞ本物、胸を打つ真実の思い出。現在の出来事を理解するために役立つ」(ガーディアン)/「世界的な出版現象を引き起こした」(テレラマ)
――世界中で大絶賛!
2019年10月、作者来日予定

フランスの大学で「ドクター」になるという夢を叶えた父は、カダフィ政権下のリビア、ハーフィズ・アル=アサド政権下のシリアで働きはじめる。貧しくも温かく、信心深いシリアの親族たち、優しいフランスの家族。父が「未来のアラブ人」になれと望むリアドは、文化のはざまに戸惑い、歴史的事象を目撃しながら、たくましく育っていく。
――リアド、誕生から6歳までの記録

感想・レビュー・書評

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  • 著者が幼少期を過ごした、リビアとシリアでの日々をつづる。
    新聞の書評でこの本をはじめ、バンドデシネ(フランスやベルギーのまんが)について書かれていたのを読み、図書館に予約。

    いや~ちょっとビックリ。
    カダフィのリビアと、アサド父のシリア…暮らしぶりとかそういったこと以上に、人々や子どもの内面的な部分に驚かされる(著者の記憶によるものなので事実とは異なる部分もあるのかもしれないが)。
    西加奈子さんの「サラバ!」のイスラム世界をイメージしてたら、全然違った…。

    著者の母親はフランス人なのだが、当時のフランスからすれば180度違う世界だっただろう。
    そんな中で普通に(じゃなかったのかもしれないが)生活していたなんて、凄いお母さんだ!
    2021.3.6

  • 著者近影を見て美男子はともかく金髪は?と思ったけど、続編でその辺りが明らかになるのか、とても気になる。絵のタッチは独特で、読んでて水木しげるを思い出した。街の臭いや人間の体臭、癖や発せられる擬音語など、よく覚えているなぁと感心させられるほど生理の描写が多い。「ヒヒヒ」とか年寄りの「アヘアヘ」とか、間寛平のようだし、シリアの子どもが水飲み場で口をつけたあと、その飲み口に向かって小便をするシーンなど、そのコマいるかなぁというシーンが多いんだけど、だんだん著者のリズムとシンクロして、病みつきになってくる不思議。

  •  シリア人とフラン人の間に生まれた作者が、中東で過ごした6才までの少年時代を描いた自伝マンガ。フランス語圏でバンド・デシネと呼ばれるもので、メビウスなどは名前だけ知っていたが、日本語に翻訳されたバンド・デシネをちゃんと読んだのは初めて。

     いちばん古い記憶のリビア、一時帰国したフランス、父親の故郷であるシリアでの生活が、ユーモラスにかつ、こと細かに描かれている。日本のいまのコミックに比べるとコマ割りは平板で、作者が憶えていることをたんたんと綴っているだけ。それなのに、ブッとんだ性格の父親に振り回される母親と作者の心情や、異国でかいま見た風景、言葉の通じない人々との少年時代の交流など、なんて細かいことまで覚えているのだろうとその記憶力と客観的な写実性に驚かされる。
     読んでいるうちに、すべてが初体験の幼い作者と同じ目線になり、見知らぬ土地で珍しいものを見て、異国の不思議な風習を自ら体験している気分になってくる。
     巻末の訳者の詳しい解説も親切で、次巻以降も読みたい。

  • 自らの子供時代の体験をもとにしたバンドデシネ。何を主張するでもなく淡々と描いているのだけど、かえってヒンピンと批判的な眼差しを感じてしまう。
    続刊に期待して読んでみたい。
    私が知らなかったこと、知っているつもりで違っていることがたくさんわかりそう。そして主人公はじめキャラがトボケてて楽しい。
    マルジャン・サトラピに出会って以来の興奮。

  • ★リアル多文化★インテリのシリア人の父と、留学先で出会ったフランス人の母の間に1978年に生まれた著者。父が教職を得たリビアへ行き、フランスへ戻ってはシリアへ移る。その6歳までの出来事を振り返る。当時の中東の生活の状況と、文化と規範が場所によっていかに簡単に変わるかが、とても分かりやすく印象深い。本当にこんなに覚えているのだろうかと思いつつ、抜群に面白い。子どもの視点だからこそ、ルポでは味わえない実感があるのかも。ついて回った母親の強さもすさまじい。
     現在のアラブ人の状況に不満を持っている父の思いが「未来のアラブ人」という表現とのこと。素晴らしく、また切ない言葉だ。
     カラーのバンド・デシネで、背景がリビアは黄色、シリアはピンクに塗られている。ともに土の色からきているという。フランスはグレイブルーの印象とのこと。色の変化が場所の移動を見事にフィットしている。

  • BOOKMARKから。その前後で読んだブックガイドと合わせ、海外漫画のオススメを色々と目にしたこともあり、図書館で借りられるものが多いことも影響して、最近、立て続けに界隈を読み漁っている。ところがこれ、どうしても日本の漫画を凌ぐものとは思えないんだな。慣れ親しみもあるかもしらんけど、明らかに優劣が付くように思えてしまう。本書もイマイチ入れ込めず、以降続刊にも手を伸ばす気にはなれないのであった。

  • 作家のリアドの生涯を漫画で描いてます。
    中東の文化、風習、当時の生活環境など理解できて面白いです。
    母がフランス人、父がシリア人の異文化同士のやりとりも魅力的です。
    特に日本は中東に対しての理解があまりにも薄いので、異文化の対立や中東文化の理解にはピッタリな漫画です。

  • シリア系フランス人の作家リアド・サトゥフによるBD作品。

  • アラブ社会、理解不能…。

  • アラブの価値観は、自分には、受け入れ難い。特に衛生面、男女の平等性、動物愛護等。本当は、相互理解が大切なのだろうが。欧州で移民が生み出す文化の衝突は、かなりのものと思う。

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