忘れられた古典を翻訳する セオドア・ドライサー『アメリカの悲劇』の新たなる発見

  • 花伝社 (2025年1月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (160ページ) / ISBN・EAN: 9784763421555

作品紹介・あらすじ

アメリカ文学の金字塔に、もう一度息を吹き込む
小林秀雄や谷崎潤一郎らも注目した小説『アメリカの悲劇』。「死刑制度」「中絶の権利」「宗教二世」などを描いたこの先駆的名作は、今や忘れられつつあった。
百年の時を経て新訳に取り組んだドライサー研究の第一人者が、研究者として再発見した〈メッセージ性〉と、翻訳家として格闘したその〈難解さ〉を語る。
海外文学を研究/翻訳する時の〈落とし穴〉とは——?

感想・レビュー・書評

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  • 1. クライドの人物像
    - 人間的な側面: クライドは観客や読者と同じレベルの「凡人」として描かれ、彼の行動は外面的な描写だけでなく、内面的な心理からも捉えられている。
    - 心理描写の深さ: クライドの心の奥底には、罪の意識や自己反省があり、彼の内面の葛藤が物語の重要な要素となっている。

    2. 悲劇の要素
    - 実存的な目覚め: クライドは物語の終盤において、自らの存在に対する深い思索を始め、内面的な戦いが描写される。
    - 苦悩と自己批判: クライドは、自分に罪があったのか、なかったのかというあやふやな問いに直面し、その苦悩が彼のキャラクターを形成している。

    3. 社会的背景
    - 社会の圧力: 小説では、クライドが社会によって強いられる無理な期待や欲望が、彼を犯罪へと駆り立てる様子が描かれている。
    - 犯罪の被害者としての側面: クライドは、単なる犯罪者ではなく、社会の構造によって犠牲となった存在としても描かれる。

    4. キリスト教的要素
    - 救済への抵抗: マクミラン師から救済を受け入れるように説得されるが、最終的にはその安易な解決策を拒否し、心の割り切れなさを抱えたまま死刑に向かう。
    - 宗教的な苦悩: クライドは、精神的な救済を求めつつも、それを受け入れられずにいる複雑な心情が描かれている。

    5. 文体と表現技法
    - 自由間接話法の使用: ドライサーの文体は、自由間接話法を巧みに用いており、登場人物の内面を豊かに表現する手法が使われている。
    - 文体の多様性: 物語は客観的な描写だけでなく、登場人物の主観を交えた文体で構成され、読者に感情的な共鳴を生む。

    6. 社会批判としての側面
    - 性道徳の批判: 小説は、アメリカ社会における性道徳や中絶禁止法に対する批判を展開し、これが物語の重要なテーマとなっている。
    - 文化的背景の描写: 物語は、第一次世界大戦後のアメリカの若者文化における性道徳の乱れを描写し、当時の社会問題に対する鋭い観察がなされている。

    7. 結末におけるテーマ
    - 英雄性の欠如: クライドの最期は、英雄的な姿勢を持たず、社会からの批判にさらされながらも自分自身を見失う様子が描かれる。
    - 自己疎外の感覚: クライドは、自らの行動がもたらした結果に直面し、自己疎外感を強く感じながら処刑されるという悲劇的な結末を迎える。

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著者プロフィール

東京都立大学名誉教授。1944年、北海道生まれ。北海道大学文学部卒業。東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。國學院大學、一橋大学、東京都立大学、東洋大学で教職に従事する。フルブライト・プログラム、米国学術団体評議会(ACLS)からフェローシップを得てペンシルヴェニア大学、コロンビア大学で客員研究員。著書に『セオドア・ドライサー論――アメリカと悲劇』(南雲堂、1987年:日米友好基金アメリカ研究図書賞受賞)、『エドガー・アラン・ポーの復讐』(未來社、2004年)、『ドライサーを読み返せ――甦るアメリカ文学の巨人』(花伝社、2022年)など。主な訳書に、ドライサー『シスター・キャリー』(岩波書店、1997年)、クーパー『開拓者たち』(岩波書店、2002年)、ドライサー『アメリカの悲劇』(花伝社)を新訳刊行中。

「2024年 『モヒカン族最後の戦士 一七五七年の物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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