子どもの発達と感覚統合

著者 : A.Jean Ayres
制作 : 宮前 珠子 
  • 協同医書出版社 (1982年7月1日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784763920034

子どもの発達と感覚統合の感想・レビュー・書評

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  • 感覚統合に障碍を持つ子どもの親向けに書かれた本ということで、かなり詳しく丁寧に
    感覚統合の障碍や症状、その対処法についてなどが書かれている。
    感覚統合に障碍があるとは、神経や筋には問題がないのに
    それらをまとめて働かせることができない状態にあることを指す。
    健常児の場合は、発達に必要な動作を求める内的欲求にしたがって「遊ぶ」ことで
    ひとつの訓練をするように、「段階を踏みながら」7歳までに大体の発達を遂げる。
    ここで遊びは感覚経験に対する目的指向反応、すなわち適応行動でもあり
    これを繰り返すことで感覚経験が組織化され、感覚統合が発達していき
    さらに次の適応行動を求めるというように、感覚統合が行われていく。
    したがって、治療に求められることは、特定の技能の学習ではなく
    脳がよく働くよう組織化することを学習させること。
    また様々な障碍により内的欲求に従うことが困難な子どもたちを自発的にさせる
    つまり内的指向性を強化し、適応反応が誘発されるように前庭覚、固有覚、触覚の刺激を
    コントロールしつつ提供することとなる。

    ではなぜ、学習障碍などを持つ子どもたちに感覚統合訓練が有効なのかということを
    本書では神経学の知識を紹介することで説明している。
    それは、神経系は古い構造を基にしてその上に発達していくものだから、脳幹での
    基本的な感覚の処理過程ができない子どもは、皮質のそれが発達できないからである。
    したがって基本的な感覚――触覚、前庭覚、固有覚を刺激し、感覚統合を進めることが
    より高次の心理機能を働かさせる基礎を固めることになるのだ。
    また、視覚や聴覚もあくまでこの基本的な感覚を積み重ねた上にあるものだからこそ
    感覚統合訓練によって言語発達の基礎も形作られるのである。

    その他に参考になったことは、神経系と皮膚は同じ細胞を起源に持つから
    触刺激は感覚統合に重要であることや
    自閉症児は十分な前庭刺激が与えられたとき、セラピストの目をより長く見る傾向があることや
    皮膚刺激への反応には防衛的なものと弁別的なものがあり、強い圧覚は
    防衛的なものを調整、抑制するから、触覚防衛のある子にも強い触刺激が有効なことや
    他人からの触刺激には防衛的になるものだから、触っても嫌がられないような
    ラポールが重要となることなどだった。
    また、訓練中に子どもを過負荷状態にさせないように配慮することの重要性や
    感覚刺激の豊かな環境にいるだけでは不十分で、そこでいかに動くかが大切な以上
    子どもたちが動ける援助はしてもリードしすぎないことが重要であるといったことも役立った。

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